Cセグメントとは?「過不足なき実用車」のサイズ・特徴・代表車種を整理

     2017/03/07

車(特に輸入車)の説明でよく出てくる「○セグメント」って何でしょうか?

分類や各セグメントの特徴、代表車種を整理して、自分に合った車体サイズを考えてみましょう。

今回は実用車の代表選手「Cセグメント」を見てみましょう!

「セグメント」という分類

一般に輸入車について使われる車体サイズの目安が「セグメント」です。おおまかな分類は全長によって分けられていて、小さい(前後に短い)車がAセグメント、大きく(前後に長く)なるとB、C、Dセグメントとなっていきます。最大はFセグメント(Lセグメントとも呼ばれる)です。

ただ、全長だけでハッキリと分類できるものではなく、内外装や性能、ベースの車、車種のイメージなどから総合的に分けられます。全長は長いのに下のセグメントに属したり、その逆だったりということがあります。この辺はだんだん感覚を掴んでいってください。

またセグメント分類に価格は基本的に関係ありません。Aセグメントでスタート価格600万円に達する車(アバルト・695ビポスト)がある一方で、Dセグメントでも300万円以下の車(トヨタ・マークX)もあります。

分類は以下の通りです。

なおセグメントは車格の分類の一つです。

Cセグメントの分類

Cセグメントは全長がおよそ4,200~4,500mmの車です。

実用車として過不足無い内容でバランスのいい車が揃っています。人気が高く、参入しているメーカーが非常に多いことも特徴です。

一般的に、下のBセグメントでは大人4人+荷物を載せるにはやや手狭です。上のDセグメントになると、サイズも性能も実用車以上の「余裕」が出てきます。Cセグメントは、家族4人が乗るのに無理なく無駄なくちょうどいい車というわけですね。

BセグメントとCセグメントでプラットフォームやエンジンを共有していることはよくあります。フォルクスワーゲン・ポロ(Bセグ)とゴルフ(Cセグ)や、アルファロメオ・ミト(Bセグ)とジュリエッタ(Cセグ)などです。こういった車種では、セグメント間の差を明確にするために、内外装のデザインや品質、装備などに明らかな差がつけられていることが多いです。

Cセグメントの特徴

代表的な車種で特徴を見てみましょう。Cセグメントの代表車種「フォルクスワーゲン・ゴルフ」、プレミアムブランドから「BMW・1シリーズ」、国産代表として「マツダ・アクセラ」を選びました。

車種
グレード
フォルクスワーゲン・ゴルフ
TSIトレンドライン
BMW・1シリーズ マツダ・アクセラ
車体形状 ハッチバック ハッチバック セダン / ハッチバック
全長 4,265 mm 4,340 mm 4,460 mm
全幅 1,800 mm 1,765 mm 1,795 mm
全高 1,460 mm 1,440 mm 1,470 mm
車重 1,240 kg 1,430 kg 1,260 kg
駆動方式 FF FR FF
トランスミッション 7DCT 8AT 6AT/6MT
エンジン形式 直列4気筒 直列3気筒 直列4気筒
排気量 1.2L ターボ 1.5L ターボ 1.5L 自然吸気1,496 cc
最高出力 /
最大トルク
105ps / 17.8kgm 136ps / 22.4kgm 111ps / 14.7kgm
燃費 21.0 km/L
(4.8 L/100km)
18.1 km/L
(5.5 L/100km)
20.4 km/L
(4.9 L/100km)
価格 250 万円~ 310 万円~ 176 万円~

車体形状

車体形状は、トランクの独立した「セダン」か、トランク部が乗車部分と一体になった「ハッチバック」のいずれかです。

セダン

ハッチバック(マツダ・アクセラスポーツ)

 

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セダン(マツダ・アクセラ)

現在の日本ではセダンの人気が低く、特に車格の低い(Cセグメント以下)ではあまり好まれないので、ハッチバック形式の車種がほとんどです。ただ、タクシーや教習車、社用車でのニーズでCセグメントのセダンが使われることもあります。

日本ではハッチバックのみで売られている車種でも、海外ではセダンタイプも用意されていることも多いです。新興国(特に中国)ではセダンの人気が高いので、Bセグメントですらセダンが用意されていることもあります。

サイズ

日本ではいまだに5ナンバーサイズ(4,700×1,700mm以下)の需要が高いですが、Cセグメントは国産メーカー含め世界販売を視野に入れた車(世界戦略車)となることがほとんどなので、日本の規格に縛られず全幅1,700mmを超える車がほとんどになりました。

ちなみに日本でも5ナンバーと3ナンバーで税金などの差はありません。現在は単に「幅が小さい車」の目安にしかなっていませんね。

Cセグメントの全幅は1,750~1,800mm程度がほとんどですね。日本国内でも1,800mmくらいまでなら普段使いで困ることはほとんど無いと思います。私が乗っているアルファロメオ・ジュリエッタは全幅1,800mmですが、よほどの狭い道以外、幅で困ったことはありませんね。機械式立体駐車場の全幅制限も1,800mmまでが多いです。

エンジン

1.5L~2.0Lのガソリン自然吸気エンジン、1.2L~1.6Lのガソリンターボエンジン(ダウンサイジングターボ)、2.0~2.5Lのディーゼルエンジンが採用されています。

最高出力は100~180馬力、最大トルクは15.0~25.0kgm(ディーゼル除く)辺りが多いですね。(速度制限は各国それぞれですが)150km/h辺りからでも無理なく加速できる性能があります。

ダウンサイジングターボについては以下の記事をご覧ください。

現在のCセグメント車はほとんど4気筒エンジンを採用しています。3気筒エンジンになると音や振動がどうしても大きくなってしまうため、どう抑えているかに注目です。

3気筒エンジンを積極的に採用しているのはBMWです。BMWの1ブランド「MINI」の下位モデルは3気筒エンジンを搭載しており、残念ながら良い出来ではありません。Bセグメントとはいえ、「プレミアムコンパクト」を自称するには相応しくありませんね。さらにBMW自身のCセグメント車「1シリーズ」も3気筒を採用するようになりました。

一方で、アウディは3気筒エンジンながら、なかなかの品質を実現しています。ただ、アウディが3気筒エンジンを採用しているのはBセグメントのA1であって、CセグメントのA3には4気筒エンジンを採用しています。

駆動方式

予算にもサイズにも制約が強いCセグメントでは、FF(フロントエンジン・前輪駆動)が採用されることがほとんどです。寒冷地などでの4WD需要を満たすために、FFベースの4WDを用意している車種も多いです。

FFだとBセグメント車とのエンジンの共有がしやすくなりますし、センタートンネル無い分室内も広くできます。車が小さくなるほどFRを採用するのは難しくなってきています。

唯一の例外がBMW・1シリーズです。走りの質はFR(フロントエンジン・後輪駆動)の方が評価が高く、BMW自身がFRにこだわってきた歴史もあるため、1シリーズでもCセグメントながらFRが採用されています。(BMWもSUVの「X1」にはFFを採用しています

リアサスペンション

サスペンション形式にも注目です。サスペンションにも色々な種類がありますが、現在よく採用されている形式は3種類です。高価かつ高性能なものから順に並べると、

[ダブルウィッシュボーン]または[マルチリンク] > [マクファーソン・ストラット] > [トーションビーム(トレーリングアーム)]

となります。

さらに別の側面として、サスペンション機構のサイズは、一般的にダブルウィッシュボーンが最も大きくトーションビームが最もコンパクトになります。ダブルウィッシュボーンはスポーツカーや空間に余裕のある車(Dセグメント以上)のみに採用される一方、サイズ制約の厳しいBセグメントのリアは圧倒的多数がトーションビームが採用しています。

Cセグメントの実用車では、フロントにストラット式、リアは高性能なマルチリンクか安価なトーションビームを採用する車がほとんどとなっています。

実用車でありつつも、走りの性能も求められがちなCセグメントでは、リアサスペンションに、サイズと価格に優れるトーションビーム式と、性能に優れるマルチリンク式がおよそ半数ずつといった状況です。フロントはストラット式がほとんどです。

Cセグメントのリアサスペンションの実例を見てみましょう。

「BMW・1シリーズ」「メルセデスベンツ・Aクラス」「アウディ・A3」「アルファロメオ・ジュリエッタ」「ボルボ・V40」といった「プレミアムブランド」の面々はマルチリンク式を採用しています。走りの良さを標榜している「マツダ・アクセラ」もマルチリンクですね。

一方、フランスのCセグメント車「ルノー・メガーヌ」「プジョー・308」「シトロエン・C4」はトーションビームを採用しています。コストとスペースを優先させたのでしょう。

「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や「トヨタ・オーリス」は下位グレードにトーションビーム式、上位グレードにマルチリンク式という方策をとっています。ボディは共用でしょうからトーションビームのサイズメリットは失われますが、下位グレードを安くしてスタート価格を下げられるメリットがあります。走りに関心の薄いユーザーはトーションビームでも文句は言わないだろうということなんですかね。

Cセグメントの代表車種

フォルクスワーゲン・ゴルフ

フォルクスワーゲン・ゴルフ(266万円~)

Cセグメントの代表車種は誰に聞いてもゴルフでしょう。「Cセグメントのベンチマーク」だけでなく「実用車のベンチマーク」とまで言われています。

取り回しの良いコンパクトなボディ、大人4人がゆったり座れるシート配置、十分な容積で使いやすいトランク、過不足無い走りのエンジン、高速走行(アウトバーンでの180km/h走行含む)も可能な安定感のあるボディ・足回り。素晴らしいパッケージングです。

ゴルフの内装

ゴルフの内装

難点は内外装とも超絶地味なこと。目立ちたくない人向けです。ゴルフにはプラグインハイブリッド版もあります。

日本車

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マツダ・アクセラ(176万円~)/アクセラスポーツ(176万円~)

国産代表はマツダ・アクセラでしょう。スカイアクティブと魂動デザインを採用して、スポーティな外観と欧州的な安定した走りが好評です。セダンの「アクセラ」とハッチバックの「アクセラスポーツ」があります。

スバル・インプレッサ(192万円~)

スバル・インプレッサ(192万円~)

日本車では他にスバル・インプレッサ、トヨタ・オーリスがCセグメントです。

トヨタ・プリウスもサイズ的にはCセグメントに属しますが、ハイブリッド専用車ということもあって別扱いされることが多いです。形状はやや異質ですが、分類上はセダンです。

ドイツプレミアムブランド

BMW・1シリーズ

BMW・1シリーズ(298万円~)

メルセデスベンツ・Aクラス

メルセデスベンツ・Aクラス(298万円~)

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アウディ・A3(303万円~)

ドイツプレミアム御三家と呼ばれるBMW、メルセデスベンツ、アウディはそれぞれCセグメント車を出しています。3台ともダウンサイジングターボを採用しています。

BMWとメルセデスベンツはCセグメントが最小ですが、アウディはさらに下にBセグメントのA1があります。

フランス・イタリア・スウェーデン

ルノー・メガーヌ(249万円~)

ルノー・メガーヌ(249万円~)

フランスからはルノー・メガーヌプジョー・308、シトロエン・C4と3社がそれぞれCセグメント車を出しています。シトロエンはややSUVっぽく仕立てた「DS4」という車も出しています。

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アルファロメオ・ジュリエッタ(317万円~)

イタリアからはアルファロメオ・ジュリエッタが出ています。

ボルボ・V40(324万円~)

ボルボ・V40(324万円~)

スウェーデンからはボルボ・V40が出ています。どれも特徴的なデザインですね。

スペック表

2017年1月現在の主要な車種を集めました。最も安価なグレードを選んだので、上位グレードではエンジン・トランスミッション・サスペンションなどが異なることがあります。

車種
グレード
スバル
インプレッサスポーツ
1.6i-Lアイサイト
マツダ
アクセラスポーツ
15C
VW
ゴルフ
TSIトレンドライン
BMW
1シリーズ
118i
アルファロメオ
ジュリエッタ
スプリント
ボルボ
V40
T3キネティック
全長
(mm)
4,460 4,460 4,265 4,340 4,350 4,370
全幅
(mm)
1,775 1,795 1,800 1,765 1,800 1,800
全高
(mm)
1,480 1,470 1,460 1,440 1,460 1,440
車重
(kg)
1,300 1,260 1,240 1,430 1,400 1,480
駆動方式 FF FR FF
トランス
ミッション
CVT 6AT 7DCT 8AT 6DCT 6DCT
エンジン形式 水平対向
4気筒
直列
4気筒
直列
4気筒
直列
3気筒
直列
4気筒
直列
4気筒
排気量 1,6L
自然吸気
1.5L
自然吸気
1.2L
ターボ
1.5L
ターボ
1.4L
ターボ
1.5L
ターボ
最高出力
(PS)
115 111 105 136 170 152
最大トルク
(kgm)
15.1 14.7 17.8 22.4 25.5 25.5
フロントサス ストラット
リアサス ダブルウィッシュボーン マルチリンク トーションビーム マルチリンク マルチリンク マルチリンク
燃費
(km/L)
18.2 20.4 21.0 18.1 15.6 16.5
スタート
価格
192 万円 176 万円 250 万円 310 万円 318 万円 339 万円

まとめ

走行性能、居住性、取り回し、デザインなどが高度にバランスされたCセグメントは、乗用車として最も優れたパッケージングだと言えるでしょう。各社気合いの入った車でしのぎを削っています。

一方でCセグメント自体が「実用車」という印象が強く、車としての走りの質やステータス性という点を望ならDセグメント以上が必要になることでしょう。

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