アクセラ1.5Lディーゼル試乗記!トルクフルだけど刺激に欠ける。MCの変更箇所解説も

   

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7月にマイナーチェンジされたアクセラを試乗してきました。新設定された1.5Lディーゼルエンジン搭載モデル「15XD」です。ただし新機能「Gベクタリングコントロール」については別記事にします。

この記事では、1.5Lディーゼルの走りとマイナーチェンジで変更された箇所について見ていきます。

マツダ・アクセラ

アクセラはマツダのCセグメント車です。5チャンネル体制で大失敗した90年代の低迷期を乗り越えた2000年以降、マツダの屋台骨を支えてきた主力車種です。特にヨーロッパでの評価が非常に高く、BMW・1シリーズやアウディ・A3と戦えるほどの評価を受けています。

Cセグメント

日本でのCセグメントはあまり大きな市場を持っていません。まさにCセグメントという車種はマツダ・アクセラ、スバル・インプレッサ、トヨタ・オーリスくらいのものです。オーリスはヨーロッパ向け車種を日本でも販売されているに過ぎず、あまり力を入れているとは思えません。

一応プリウスもサイズ的にはCセグメントに属しますが、ハイブリッド専用車でクラスレスの感がありますね。ハッチバックが多いCセグメントの中でセダンメイン(+ステーションワゴンのプリウスα)というのもやや特殊です。

1.5Lディーゼルモデル

アクセラは今年7月にマイナーチェンジを受けました。このマイナーチェンジでエンジンのラインナップが変更され、アクセラスポーツ(ハッチバック)には1.5Lディーゼルエンジンが新設されました。

MC前 MC後
ガソリン 1.5L
(1.5G)
AT/MT, 2WD/4WD
176 万円~
AT/MT, 2WD/4WD
176 万円~
ガソリン 2.0L
(2.0G)
AT/MT, 2WD
228 万円~
ディーゼル 1.5L
(1.5D)
AT, 2WD
230 万円~
ディーゼル 2.2L
(2.2D)
AT/MT, 2WD
307 万円~
AT/MT, 2WD/4WD
278 万円~

※ 4WD+MTの組み合わせはMC後の2.2Dのみ。

ラインナップ

ガソリン2.0Lが廃止され、ディーゼル1.5Lが新設されました。エンジンラインナップの中間層を置き換えた形ですね。

新設のディーゼル1.5LはAT+2WDの組み合わせのみです。MC前ではガソリン2.0LのMTが後から追加されていますので、1.5DでもMTか4WDが後から追加される可能性は十分あるでしょうね。

価格変化

MC前後での価格変動はほとんどありません。1.5Lガソリンの価格は名前(15Sツーリング→15Sプロアクティブ)以外変わっていません。

2.0Lガソリンは「20Sツーリング」で243万円~でした。1.5Lディーゼルは同等の「15XDプロアクティブ」で243万円~なので同じ価格帯で置き換えた形ですね。

2.2LはMC前のグレード(XD)ではシートが標準でアルカンターラ+本革であるなど最高グレードのみの構成だったのが、MC後はよりベーシックなグレードが新設されてスタート価格が下がっています。本革シートとなる「22XD Lパッケージ」は309万円~なのでほとんど変わっていません。

エンジンの変更について

現在のマツダの方針はクリーンディーゼル搭載車の販売割合を増やしていくことです。フォルクスワーゲンが大変なことをやらかしたり、BMWのディーゼルがダメダメだったりするので、今こそマツダ式ディーゼルを押していきたいようです。

アクセラの2.2LディーゼルはMC後でも278万円~です。MC前に至っては300万円を超えていました。プレミアムCセグメント(BMW・1シリーズやアウディ・A3など)のスタート価格はだいたい300万円ですし、非プレミアムならフォルクスワーゲン・ゴルフが250万円~であります。マツダ内でも同じ2.2Lディーゼルが318万円~(16年1月のMC前では300万円~)です。乗り出し価格だと350万円ほどになるので、アクセラにしてはさすがに高すぎましたね。

2.2Lディーゼルは格上のアテンザに組み合わせるのがちょうど良く、アクセラではややオーバースペック気味だったので、今回の1.5Lディーゼル追加は歓迎です。代わりに2.0Lガソリンが退場させられたのはやや残念ですが、アクセラの場合は1.5Lの方が軽快感があって面白いので問題ないのでしょうね。デミオが1.3Lガソリンでも十分走ってくれるのと同じ感覚なのだと思います。

スペック

価格比較のために、装備が近い「プロアクティブ/ツーリング」の付いたグレード同士で比較してみましょう。参考までにデミオの1.5ディーゼルモデルも入れました。

車種 マツダ・アクセラスポーツ マツダ・デミオ
グレード 15S プロアクティブ 15XD プロアクティブ 22XD プロアクティブ XDツーリング
ボディ形状 ハッチバック,5ドア,5名
全長 4,470 mm 4,060 mm
全幅 1,795 mm 1,695 mm
全高 1,470 mm 1,500 mm
ホイールベース 2,700 mm 2,570 mm
車重 1,280 kg 1,360 kg 1,440 kg 1,130 kg
駆動方式 FF
トランスミッション 6AT
エンジン形式 ガソリン
直列4気筒
ディーゼルターボ
直列4気筒
排気量 1,496 cc 1,498 cc 2,188 cc 1,498 cc
最高出力 111ps /
6,000rpm
105ps /
4,000rpm
175ps /
4,500rpm
105ps /
4,000rpm
最大トルク 14.7kgm /
3,500rpm
27.5kgm /
1,600-2,500rpm
42.8kgm /
2,000rpm
25.5kgm /
1,500-2,500rpm
フロントサス ストラット
リアサス マルチリンク トーションビーム
燃費
(JC08)
20.4 km/L
(4.9 L/100km)
21.6 km/L
(4.6 L/100km)
19.6 km/L
(5.1 L/100km)
26.4 km/L
(3.8 L/100km)
価格 214 万円~ 243 万円~ 278 万円~ 197 万円~

デミオに搭載されている1.5Lディーゼルエンジンと最高出力は同じ(105ps/4,000rpm)です。最大トルクはデミオより2.0kgm増加しているので、アクセラ向けに増強したようですね。

ただデミオ1.5Dとの車重差は230kgもあるので、走りは明らかにデミオディーゼルに劣ります。実際走ってみてもその想像のままで、デミオディーゼルの「余分なほどの大トルク」は影を潜めます。アテンザセダンの2.2Lディーゼルは車重1,530kgでアクセラ+90kg。車重を含めると、デミオ・アクセラ・アテンザのディーゼルの中ではアクセラの1.5Dが一番おとなしいということになりますね。

燃費

JC08燃費は1.5Lガソリンに対して6%増しの21.6km/L。あまり大きな差はありません。軽油とレギュラーガソリンの差額も含めると、燃料費はおよそ24%減になります。

1.5L ガソリン 1.5L ディーゼル
JC08燃費 20.4 km/L
(4.9 L/100km)
21.6 km/L
(4.6 L/100km)
年間燃料費
(10,000km)
71,100 円 53,800 円
(-17,300 円)
生涯燃料費
(10万キロ)
71.1 万円 53.8 万円
(-17.3 万円)

※ 実燃費はJC08の20%減、燃料費はレギュラー116円、軽油93円とする。

JC08燃費に従うとすれば、10万キロでの燃料費の差額は17万円です。1.5Gと1.5Dの差額は約30万円あるので、燃料費だけを見れば元は取れないということです。ハイブリッドで元が取れないのと同じですね。高トルクな走りや騒音・振動などをどう見るかによります。

ただし、総走行距離が18万キロを超えるなら燃料費だけで元が取れることになります。ここまで来ると車重の軽いデミオディーゼルを検討した方がいいかもしれません。

走り

エンジン

発進からディーゼルらしく大きなトルクでラクラク走り出します。でもデミオ1.5Dやアテンザ2.2Dのようにグイグイッとずんずん前に出てはいかず、ぐわーっとディーゼルにしては少し大人しい発進感覚です。それでも発進だけなら2.0Lガソリンよりも安楽ですし、ディーゼルらしさは十分に感じられます。

回してもワクワクするような盛り上がりに欠けるのはディーゼルなので仕方ありませんね。これもディーゼルの特徴と捉えるしかありません。大きな低回転トルクは運転を楽にしてくれますが、高回転の伸びなさは楽しさを削ります。

ストップ&ゴーのつまらない通勤を楽々こなしてはくれますが、休日にアクセルをグワッと踏み込んでもぐいぐい走るのは3,000rpmまでです。休日に乗るなら1.5Lガソリンの方が日常域との差が大きい分刺激的な走りをしてくれます。最高出力が1.5Lガソリンより低いことからも分かるように、ちゃんと回して走るときにはややパワー不足を感じます。

ディーゼル特有の音と振動は、ディーゼル主要3社(マツダ・BMW・ボルボ)の中で一番上手く消せていますね。今回のマイナーチェンジでさらに進化したそうです。加速時にディーゼルの音が多少聞こえるのでさすがにガソリン車と同等とはいきませんが、これくらいなら許容できるという人も多いと思います。

足回り

コーナリング、いやただの右左折でもGベクタリングコントロールの影響は絶大で、足回り単独の変化を適切に評価することはできませんでした。直進中の乗り心地も良くなったような気もしますが、気のせいか判別できない程度の小さな差でした。

インテリアの変更

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今回のマイナーチェンジではインテリアにも微妙な変更が加えられています。

トピックはヘッドアップディスプレイがカラー表示になったことでしょう。制限速度の表示機能もあるので、「ここ何キロ制限だっけ?」と標識を探す必要がなくなります。

他の変更点はステアリングデザインの変更、メーターデザインの変更、マツダコネクトのディスプレイを埋め込んだデザインに変更と小変更に留まっています。国産車のマイナーチェンジとしては大人しめですね。私はマツダのインテリアデザインはすでに完成されていると感じるので、下手に変えて崩さない方が正解だと思います。

メーターデザイン

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メーターデザイン変更を見ると、余分なデザイン線を無くしてシンプルにしています。下手に機能を増やしてゴテゴテさせない方がいいですね。同じCセグのトヨタ・オーリスなんてデザインに一貫性がなくて見づらくて仕方がありません。配色も赤・白・青・緑・グレーとバラバラです。

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シトロエン・DS4のメーター

青いメーターならこうするのが一貫性あるデザイン。アクセラはオーリスみたいな日本的ごちゃごちゃデザインではなく、ちゃんと取捨選択ができていますね。

メーターの話だけでも広がってしまうので、今度別記事にします。ドイツ車とか面白くなさ過ぎてある意味面白いですから。

まとめ

ディーゼルが欲しいけど2.2Lは高すぎるって人には待望の1.5Lディーゼルですね。高回転での刺激に欠けるので週末ドライブではガソリンの方が良さそうですが、低回転の大トルクと燃料費の安さは通勤に使う人には魅力的でしょう。

最近ディーゼルを推しているマツダ。ディーラーによるとMC後は圧倒的に1.5Lディーゼルが売れているそうです。待っていた人も多いのでしょうね。

こうなってくると、1.3Lディーゼルを新規開発してデミオに載せて、150万円以下で発売すれば面白いなぁなんて思ってしまいます。現行の1.5Dは178万円~と少し高いですからね。デミオも年内にはGベクタリングコントロール追加などの変更を受けるそうなので、今後の展開に期待です。

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