流行のダウンサイジングターボとは?メリットと欠点を徹底解説

  2015/09/09   

TSI-s

昨今はやりにはやっている「ダウンサイジングコンセプト」あるいは「ダウンサイジングターボ」。特に欧州車での採用率は圧倒的です。

何が良くてこんなに多く採用されているのでしょう? 逆に欠点はどんなものがあるのでしょうか?

実際にダウンサイジングターボの車を所有している私が徹底解説します。

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ダウンサイジングコンセプトとは

ダウンサイジングコンセプトとは、燃費を向上させるためにエンジンサイズ(排気量)を小さくしつつも、動力性能を確保するためにターボチャージャーやスーパーチャージャーによる過給を行うことを指す和製英語です。

昔は過給機(ターボやスーパーチャージャー)と言えば、スポーツカーや高性能な車に装着されて高出力を得られる反面、燃費は非常に悪化するものでした。さらにターボは高回転で作動するのでレスポンスは悪く、回転数を上げると急激にトルクが立ち上がるという扱いにくいものでした。

主目的は燃費向上

一方現在のダウンサイジングターボの主目的は燃費向上です。

大排気量エンジンでは燃費がどうしても悪くなるので、排気量を小さくしたい。特に巡航時での大排気量エンジンは出力が大きすぎて無駄が多い。そこで小排気量エンジンを採用します。

でも排気量を小さくすると出力が小さくなってしまうので、今度は加速時のパワーを向上させたい。そこで、ターボチャージャーやスーパーチャージャーで足りない出力を補おうというわけです。レスポンスを悪化させないために小容量のターボを用いて低回転からターボが効くようにセッティングします。

巡航時は小排気量エンジンなので燃費が良く、加速時はターボが効いて大排気量エンジン並みのパワーが得られるようになります。これが「ダウンサイジングコンセプト」です。

ダウンサイジングターボ採用車

2005年にフォルクスワーゲン・ゴルフにTSI(ターボとスーパーチャージャーを両方搭載)が出て以降、ヨーロッパではかなり多くの車種がこの方法で燃費の向上を図っています。国産車でもここ1,2年の間に同様のコンセプトによる車が登場しつつありますね。

主要な採用車種を見てみましょう。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
golf-7th-cut-s
直列4気筒 1.2L ターボ
直列4気筒 1.4L ターボ
BMW・3シリーズ
320i-s
直列4気筒 2.0L ターボ
直列6気筒 3.0L ターボ
試乗レビュー
フィアット・500
500-1-s
直列2気筒 0.9L ターボ
試乗レビュー
アウディ・A1
A1-1-s
直列3気筒 1.0L ターボ
試乗レビュー
 レクサス・IS200t
IS200t-2-s
直列4気筒 2.0L ターボ
発表記事

欧州モデルが中心ですね。レクサスもIS(Dセグメント)にダウンサイジングターボ採用車を加えましたが、メインで販売しているのはハイブリッド仕様のIS300hです。

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ダウンサイジングターボの欠点

ダウンサイジングターボの弱いところは、日本の市街地のようなストップアンドゴーが頻発する道、特に渋滞時の燃費が良くないところです。

ハイブリッドとの比較

同じくらいのパワー感の出せるパワートレインとして、以下の3つの走行性能を比較してみましょう。

  • 2.0L自然吸気エンジン
  • 1.8L自然吸気エンジン+モーター(トヨタ・プリウスを想定)
  • 1.4Lターボエンジン(主要欧州車を想定)
自然吸気エンジン
2.0L
ハイブリッド
1.8L+モーター
ダウンサイジングターボ
1.4Lターボ
発進燃費
加速燃費
巡航燃費
フィーリング

※ 私の主観が多分に含まれています。

ハイブリッドが抜群に優れているのは発進時です。トヨタ式のハイブリッドでは発進時はモーターのみで走行するため、ガソリンを消費しません。ガソリンエンジンが最も効率が悪いのは発進時なので、ここが劇的に改善されます。

一方で巡航時にはガソリンエンジンに加えて大型のバッテリーとモーターを積んでいるために、同等のガソリンエンジン車に比べて燃費が劣ります。加減速が無ければバッテリーを充電することもできないので、重りを積んで走っているのと同じ状態です。

ダウンサイジングターボの場合は、発進時の燃費は通常のエンジンと変わりません。加速時にはターボ過給によって自然吸気エンジンよりも燃費が悪くなることすらあります。

ダウンサイジングターボが本領を発揮するのは巡航時。同出力の自然吸気エンジンよりも排気量が小さいので燃費が良くなります。ターボユニットが載っているものの、ハイブリッドシステムほど重くないので巡航燃費は最も良くなります。

さらに走行フィーリングについては、ターボ過給による悪化はあるにしてもハイブリッドよりは理想(自然吸気エンジン)に近いです。走りにこだわる人はなかなかハイブリッドに踏み切れないので、いい受け皿になっているとも言えます。

他の欠点

(ハイブリッドと比較したときの)燃費以外のダウンサイジングターボの欠点は以下の3つでしょう。

  • ターボラグによるフィーリングの悪化
  • 排気量が減ることで気筒数が減り、振動や静粛性が悪化
  • エンジンブレーキが弱い

低回転からターボが効くとはいえ、ターボラグが完全に無くなるわけではありません。極低回転でグワッとアクセルを開いたときの加速感はどうしても自然吸気エンジンに劣ります。ただこれが気になるかは人によると思います。

ダウンサイジングによって排気量が減ると、エンジンの気筒数が減ることにも繋がります。3.0L 6気筒エンジンだったものが2.0L 4気筒エンジンになるなどです。特に3気筒以下になると振動や音がかなり増えるので、うまく抑えないと走りの「質」が大きく悪化します。実際BMWのミニクーパーに採用された3気筒ターボエンジンの質はひどかったです。

エンジンブレーキは排気量にほぼ比例するので弱くなるのは仕方ありません。減速時に発電ブレーキが強くかかるハイブリッドカーとは逆ですね。長い下り坂ではデメリットになりますが、最近の変速制御はかなり賢くて下り坂だとちゃんと低いギアにしてくれるので問題無いことも多いです。マニュアルトランスミッションではエンジンブレーキの弱さを踏まえて操作しましょう。

日本でダウンサイジングターボが普及しない理由

ハイブリッドとの比較を見れば一目瞭然ですね。日本で「巡航」ができるところなんてほとんど存在しません。北海道くらいでしょうか。

2桁国道や広域バイパスでもちょくちょく信号に引っかかりますし、高速道路ですら渋滞やアップダウン、トンネルで減速してしまうのでちゃんと「巡航」はできません。80km/hで走るトラックを82km/hのトラックが抜かすのを後ろでじっと待つなんてこともよくあります。

こんな国では発進燃費の向上が最も効果的です。アイドリングや発進する瞬間での燃費は0km/L(燃料は使うのに進まない)ですから、アイドリング+発進でエンジンが動いていないハイブリッドはかなり有利です。

さらに、日本ではハイブリッドカーが独特の地位を築いている(日本だけハイブリッドが売れる3つの理由。プリウス・アクアばかり売れるのはなぜ?)のでなかなか他の燃費向上方式が売れないんですね。新たな方式に挑戦するよりハイブリッドを作った方が確実に売れるからです。

まとめ

渋滞の多い日本ではなかなかメリットを享受できないダウンサイジングターボですが、ターボによるトルクフルな走りやハイブリッドに勝るフィーリングには価値があると思います。もちろん巡航走行が多い人には持ってこいですね。

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