VWポロ試乗記。ゴルフをすべて2割引した車にしては高すぎじゃないか?

   

Der neue Volkswagen Polo

新型パサートを見に行ったついでに、フォルクスワーゲン・ポロを試乗してきました。

国産コンパクトが多数ひしめく中、ドイツ産コンパクトは存在感を出せているのでしょうか?

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車体サイズはまさに日本向け

ポロの車体サイズは3,995×1,685×1,460mmです。これはアクアやフィットを始めとする国産コンパクトカー群とほぼ同一サイズです。例えばアクアとの差は10mm以内。

2001年に発売されたホンダ・フィット以降、日本では圧倒的人気を誇るコンパクトカーセグメントに真っ向から勝負を挑んでいるワケですね。

VW・ポロ
Der neue Volkswagen Polo
トヨタ・アクア
aqua
VW・ゴルフ
golf-7th
全長 3,995 mm 3,995 mm 4,265 mm
全幅 1,685 mm 1,695 mm 1,800 mm
全高 1,460 mm 1,455 mm 1,460 mm
車重 1,130 kg 1,080 kg 1,240 kg
駆動方式 FF FF FF
エンジン 1.2L ガソリンターボ 1.5L ガソリン+モーター 1.2L ガソリンターボ
最高出力
(エンジンのみ)
90 PS / 4,400-5,400 rpm 74 PS / 4,800 rpm 105 PS / 4,500-5,500 rpm
最大トルク
(エンジンのみ)
16.3 kgm / 1,400-3,500 rpm 11.3 kgm / 3,600-4,400 rpm 17.8 kgm / 1,400-4,000 rpm
価格 229 万円~ 189 万円~
(Sグレード除く)
266 万円~

※ 1万円以下切り上げ。

アクアには一応177万円~の「S」というグレードもありますが、リアドアウインドウが手動だったり内装が悲惨なほどチープだったりするので除外しました。

ハイブリッドを搭載して(ハイブリッドとしては安いものの)コンパクトカーとしてはやや高めの価格設定のアクアでも最安価格は189万円です。ポロはさらに40万円も高い229万円~という強気の価格設定。明らかなアドバンテージが無いとこの価格で販売するのは難しいレベルの価格ですね。

車体サイズが多少大きくてもいいのであれば、ゴルフが37万円高から設定されています。エンジンを含め様々なクオリティが上がるので、予算に余裕があるならゴルフと比較されることになるでしょう。

エクステリアは小ゴルフ

フロント

Der neue Volkswagen Polo

エクステリアデザインはほぼゴルフを踏襲。サイズは一回り小さいのでやや凝縮感がありますね。ゴルフの方が堂々とした余裕を感じます。

golf-7th

7代目ゴルフ

最近の日本車に多い無駄な造形やガンダムみたいなゴテゴテした顔ではなく、地味ながらも堅実でしっかりした造りで大人な雰囲気。

fit

ホンダ・フィット

トヨタ・アクア

トヨタ・アクア

でも、エモーショナル(情緒的)な生き方をしたい人は同じ1.2Lターボでほぼ同額の222万円~のクラスにルノー・ルーテシアというフランス産コンパクトがあると知れば心が揺らぐことでしょう。

lutecia-1

ルノー・ルーテシア

リア

polo-rear

リアも地味ながら堅実です。ドイツ車らしく無駄に媚びない無難なデザインです。

ホンダ・フィット

ホンダ・フィット

トヨタ・アクア

トヨタ・アクア

分かりますか? 国産コンパクトのゴテゴテした感じ。気品なんて微塵も感じさせてくれません。それに比べポロはドイツ車の落ち着いたリアビューです。先代のBMW・1シリーズともよく似ていますね。

BMW・1シリーズ(先代)

BMW・1シリーズ(先代)

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インテリアは地味な中にも高級感あり

polo-interior

インテリアはドイツ車らしく落ち着いた雰囲気に丁寧に仕上げられています。ゴルフよりはデザイン・質感ともに若干落ちるのは否めませんが、国産コンパクトの安っぽさ溢れるインテリアとは比較にならないくらいちゃんとしています。

トヨタ・アクア

トヨタ・アクア

ホンダ・フィット

ホンダ・フィット

インテリアのクオリティで唯一ポロと戦えるのはデミオくらいでしょうか。マジメで落ち着いたポロと、スポーティでカッコ良いデミオなので趣向は異なりますが。

マツダ・デミオ

マツダ・デミオ

走り

さて走りです。ポロに搭載されているのはダウンサイジングコンセプトに則った1.2Lガソリンターボエンジン。ゴルフの下位グレード「トレンドライン」「コンフォートライン」も同じく1.2Lターボですが、スペック的にはポロの方がパワー・トルク共にやや低くなっています。1,130kgというこのクラスではやや重めの車体に、16.3kgm・90馬力のエンジンを積んでいます。

パワー感

ターボエンジンではありますが、最近のダウンサイジングターボエンジンらしく低回転から過給されるのでターボラグはほとんど感じません。ラグを感じるのは回転数が低めの状態で急にアクセルを大きくぐわっと踏み込んだときくらいです。日常の運転ではターボであることはほとんど気にしなくていいでしょうね。

必要最低限のパワーは出ていますが、同じ1.2Lターボのゴルフに比べるとやや非力さを感じます。車重は軽いものの(おそらくECUによって)出力がゴルフよりも小さいためにパワー感が損なわれています。

パワーの出方は穏やかです。ほんとに1,400rpmから16.3kgmも出てるのかよと言いたくなるほど。でも踏めばちゃんと走ります。地味で堅実なフォルクスワーゲンですから穏やかな走りの方が合っているのでしょうね。もっと機敏な反応を期待するなら、ルノー・ルーテシアとか、価格帯を上げてMINIとかにした方がいいんでしょうね。MINIは3気筒エンジンでかなり低質なのを覚悟する必要がありますが。

トランスミッション

トランスミッションはフォルクスワーゲンに採用されて久しいデュアルクラッチトランスミッション「DSG」です。MT並みの燃費やダイレクト感を得られるトランスミッションです。

種類 利点 欠点 採用車種
トルコン式 発進がスムーズ
変速がスムーズ
クリープ現象あり
燃費がMTより悪い
ダイレクト感が薄い
大半のAT車
シングル
クラッチ式
燃費はMT並み
ダイレクト感はMT並み
発進がややぎこちない
変速がぎこちない
クリープ現象が無い
フィアット500
アルファロメオ159
など
デュアル
クラッチ式
燃費はMT並み
ダイレクト感はMT並み
変速がスムーズかつ高速
発進がややぎこちない
クリープ現象が無い
コストが嵩む
VW,アウディ,ポルシェ
の多くの車種
フェラーリ458イタリア
など

フォルクスワーゲンのDSGは弱めの疑似クリープ現象があります。同じフォルクスワーゲングループのアウディやポルシェとも共用しています。

デュアルクラッチ式の中でもDSGは変速は正確で発進は苦手です。発進の苦手さポルシェではあまり気になりませんでしたが、ポロでもゴルフでもパサートでも同じです。惜しい。ブレーキを離すとトルコン式より弱い力でゆるゆる発進。アクセルをじんわり踏み込むと急にクラッチがガン!と繋がってぐわっと加速が始まります。この境目が小さすぎる。ルノーやアルファロメオの方が発進はずっとスムーズです。日本では渋滞で発進→減速→停止→発進みたいな繰り返しで発進の機会が多いので結構気になると思います。

変速はデュアルクラッチらしく一瞬で完璧にこなします。DSGはアップシフト時の回転落ちがデュアルクラッチ式の中でも特に速いのが印象的です。タコメーターの針が小気味良くピュンと動くのは気持ちが良いですね。

足回り

Bセグメントコンパクトカーとしては十分にしっかりした足回りです。国産コンパクトカーのようなゆるゆるの足ではなく、ドイツ車らしいどっしりした重めのセッティング。これなら高速道路でも安心です。この辺はドイツ車の得意分野なので、高速走行時の安定性を求めるなら良い選択でしょう。

ただ、マツダ・デミオに乗ったときに感じたほどの感動はありませんでした。デミオは車体価格に対して足回りが良すぎます。

1クラス上のゴルフに比べると熟成というか動きのしなやかさが足りないのは事実。コストの差なんですかねぇ。ゴルフもポロと同じでリアがコストが安いトーションビーム(車軸懸架)なんですが、ゴルフの方が足の完成度が高かったです。車体もこのクラスにしては重めなので、コーナリングもスイスイとはいってくれませんでした。狭い島国の細々した山道をスイスイ走るにはやや重たいようですね。

ライバル

MINIの5ドアはクロスオーバーが「ONE」の6ATで288万円~、クーパーが「ONE」の6ATで298万円~と価格帯は1段上です。これと競合するのはむしろゴルフでしょうし、MINIの強い個性はマジメで地味なフォルクスワーゲンとは真逆です。

同クラスでの比較対象に上がるのは同じフォルクスワーゲングループのプレミアムブランド、アウディの最小サイズ「A1」でしょうね。3ドアが249万円~、5ドアが269万円~。価格は結構近いですが、エンジン1.0Lターボに格下げです。他には先ほど挙げたルノー・ルーテシアが1.2LターボのATで222万円~。

国産でこの価格帯に食い込むのはハイブリッドのアクアとディーゼルのデミオくらい。日産・ノートは上位グレードの価格がなぜか200万円超えとかになっていますが、1.2L自然吸気で3気筒なのでお話になりません。

アクアみたいなハイブリッド以外を捨てた車を選ぶ人が堅実ドイツ車と比較するとは思えないので、ルーテシアとデミオを比較対象にしましょう。

フォルクスワーゲン・ポロ
コンフォートライン
Der neue Volkswagen Polo
ルノー・ルーテシア
ZEN 1.2L
lutecia-1
マツダ・デミオ
XD
mazda-demio
全長 3,995 mm 4,095 mm 4,060 mm
全幅 1,685 mm 1,750 mm 1,695 mm
全高 1,460 mm 1,445 mm 1,500 mm
車重 1,130 kg 1,190 kg 1,130 kg
駆動方式 FF FF FF
トランスミッション 7DCT 6DCT 6AT
エンジン 1.2L ガソリンターボ 1.2L ガソリンターボ 1.5L ディーゼルターボ
最高出力 90 PS / 4,400-5,400 rpm 120 PS / 4,900 rpm 105 PS / 4,000 rpm
最大トルク 16.3 kgm / 1,400-3,500 rpm 19.4 kgm / 2,000 rpm 25.5 kgm / 1,500-2,500 rpm
価格 229 万円~ 222 万円~ 179 万円~

圧倒的なデミオのコストパフォーマンス

パワートレインの性能で言えば、デミオの1.5Lディーゼルエンジンが他の2台を圧倒しています。最大トルク25kgmの加速感は素晴らしいです。それでいて他より40万円も安い。国産車が安いとはいえ、デミオのディーゼルは安すぎです。ディーゼルのデメリットは振動と音。マツダのディーゼルは結構頑張って抑えていますが、それでもガソリンには劣ります。デミオのガソリン車は1.3L自然吸気のみのラインナップなので、1.2Lターボに比べると特に高速走行時に非力さを感じることになるでしょう。逆に1.3Lモデルは車体が軽いので街中には向いています。

ルーテシアはポロよりさらに車重が重いですが、乗った感じではポロよりも軽快に走ってくれます。フランス車らしい絶妙な足回りと、ポロよりやや性能が上回るパワートレインのお陰でしょう。

ポロにおしゃれさは求められない

lutecia-interior

ルノー・ルーテシア

内装デザインは「おしゃれ」を地で行くルノー・ルーテシアの方が良くできています。これと比べるとポロは地味で落ち着きすぎ。若々しさがまったくありません。落ち着きたい高齢世代にはむしろ良いのでしょうが、(気持ち的に)若い人はこれくらいの方がイイですね。

ただフランス車のドライビングポジションは日本人にバッチリこないという問題があります。イタリア車よりはマシですが、ドラポジについてはドイツ車の方が体格に合わせてくれます。でもそれすらも上回るのが現行デミオ。調整範囲がかなり広いのでどんな人でも合わせられるんじゃないかってほどです。デミオはシートがやや柔らかすぎますが、それを差し引いてもドラポジはデミオ(というか最近のマツダ車)に軍配。

まとめ

多少地味でも落ち着いた高級車風のコンパクトカーが欲しい人は、フォルクスワーゲン・ポロは素晴らしい選択肢になるでしょう。ドイツ車らしい安定した足回りと高品質な内装はフォルクスワーゲンの美点です。

でもこの内容で220万円は高すぎます。ぶっ飛んでるイタリア/フランス車ならまだしも、堅実なドイツ車でしかも大衆車のフォルクスワーゲンにこの価格は厳しいです。260万円台に完成度が超絶高いゴルフがいるので、なんとなくポロを検討していたらゴルフに流れていくでしょう。走りも質感もデザインもゴルフよりどれも2割ほど落ちます。

単に小さい車が欲しいだけなら、なにもドイツ車に行かなくても良くできた国産コンパクトがごろごろあります。というかヨーロッパ的なクルマ作りのマツダがデミオを作っている限り、ポロがセールスを伸ばすのは難しいでしょうね。

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