ルノーメガーヌR.S.試乗記!素晴らしき足回り。独立ボディのカッコ良さはリアに注目!

   

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ルノーのメガーヌR.S.を試乗してきました!

今や数少ないMTのスポーツコンパクト、しかも専用ボディという特別さ。フランススポーツの足回りに注目です。

ルノー・メガーヌ R.S. [ルノースポール]

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「メガーヌR.S.」はメガーヌのスポーツグレードです。ルノーのモータスポーツ部門「ルノースポール」がレースで培った技術を市販車にフィードバックさせて、ルノー車に「R.S.」(=ルノースポール)の名を冠したスポーツモデルを販売しています。

R.S.は「ルノースポール」の意なので、「ルノー メガーヌ ルノースポール」という不思議な名前です。「マツダ マツダスピードアクセラ」とか「マツダ ロードスタークーペ」(ロードスター:屋根無しの意、クーペ:屋根ありの意)という不思議な車もいたので誰も気にしませんが。

マツダ・ロードスタークーペ

トゲナシトゲトゲみたいなもの

メガーヌR.S.が特徴的なのは、ベース車両と異なるボディを与えられていることです。BセグメントCセグメントの実用車をベースにしたスポーツモデルは他にもたくさんありますが、専用に異なるボディを与えられたのは多くありません。先ほど触れたマツダスピードアクセラしかり、ゴルフGTI、アバルト595、シビックタイプRなどなど、いずれもエンジンは異なってもボディは共用というのがほとんどです。

メガーヌR.S.は4ドアが2ドアになったこと以外にも、ルーフラインは低くなだらかに抑えられ、車幅も大きく増しています。

中にはゴルフRのようにスポーツグレードで2ドアになる車はありますが、実用車ベースのスポーツグレードながらちゃんと別設計ボディになっているものは結構珍しいです。これがメガーヌR.S.は396万円。独立ボディとしては結構安く作ったなぁという印象です。MTが用意されているのも貴重!

他だとプジョーRCZくらいでしょうか。RCZはプジョー・308がベースです。これにもMTがあります。

プジョー・RCZ

プジョー・RCZ

メガーヌの綴りは「MEGANE」、ローマ字読みしたら「メガネ」です。家族がメガーヌに乗っている友人から「今日はメガネで行く」ってメールが来て「?」ってなりました。君いつも眼鏡だろって。格下のルーテシアは本国名「CLIO」と異なりますが、メガーヌの方は本国と同じです。

デザイン

エクステリアデザイン

左:メガーヌ,右:メガーヌR.S.

左:メガーヌ,右:メガーヌR.S.

ベースとなるメガーヌと共用する部品も多いのでむやみに変更することはできませんが、R.S.専用ボディを与えられたことでワイド&ローなスポーティな外観に仕上がっています。ホイールベースは同一、全長もほぼ同じですが、全幅は40mm増し全高は25mm低くなっています。特に全高についてはクーペ風に後方を絞っていることもあってか、数値以上に低く見えました。

私が特に好きなのはリアのデザインです。

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後方に向けてグッと低く絞られたルーフライン。やや高めに小さくまとめられたハッチ。ノーマルボディより大きく張り出したフェンダーはワイドトレッド(左右タイヤ間距離)を主張し、力強さを感じさせる。センターマフラーはさりげなくも美しい。実用車ベースでここまでのデザインにできた車はなかなかありません。

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ベースのメガーヌを見るとさらにそのデザイン性の高さを感じますね。だって普通のメガーヌはやっぱり普通ですから。ドア周りだけでなく、リアハッチ・テールランプ・リアバンパーなどのデザイン要素を丸っと別にしているからこそできるデザインですね。

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街中で後ろ姿を見かけたとき、どこのスポーツカーだろうかと思ってしまいました。まぁある意味スポーツカーなんですが、世間一般にはスポーツカーには分類されない車ですからね。デザインのなせる業です。

インテリアデザイン

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インパネ

専用ボディでかなりスポーティなエクステリアになっているのを見てしまうと、インテリアは大人しいというかフツウな印象になってしまいます。インテリアは実用車である標準のメガーヌから大きく変更されることはなく、一部の配色変更程度に留まっています。

メーター

メーターが衝撃的角度で上を向いています。一体どんな座高、もしくはシート高さで運転することを想定しているのでしょうか? 他のルノー車や、プジョー・シトロエンの車を見ていてもここまで上を向いているメーターは見たことがありません。ちょっとどこに向かいたいのか分かりませんね。

同じルノーでもルーテシアのメーターは普通だったので、余計にメガーヌの方が目立ちます。

ステアリングレバー

ステアリングに付いているウインカーやワイパーのレバーが少し使いづらいです。レバーの位置が悪いのか、レバーがステアリングに隠れてほとんど見えません。ヘッドライトやワイパーを操作するときに、今どのレンジに入っているのかが分かりません。

最近はオートライトやオートワイパーが普及してきたのでレバーを見ながら操作することは減ってきたのでしょうが、操作するものである以上は使いやすい位置に分かりやすく搭載するべきだと思います。もしデザインのためにこうしたのだとしたら、「デザインの勝利」などではなく「デザイナーのエゴ」だと思います。道具は使いやすさがあってこそ美しくカッコ良いのだと思います。

走り

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エンジン

エンジンは多くを語るまでもありません。よく作られた高性能エンジンだと思います。

あの車体に2.0Lターボエンジンなので、普通に走る分には十分過ぎるパワーがあります。それに高回転までトルク変動が少なく扱いやすいので、高出力ターボエンジンながら踏んでもパワーの出方に恐怖を感じません。もちろん後述の足回りの影響も多分にあるでしょうが、エンジン単体で見ても高性能スポーティカーにふさわしいと思います。

足回り

メガーヌR.S.で特筆すべきは足回りの完成度です。コーナリング中の粘り強さ適度なロードインフォメーション路面状況に対する安定感はとても高い完成度を実現しています。リアサスペンションはCセグメントとしてはややランク下のトーションビームを採用(Cセグではマルチリンクが多い)していますが、それを感じさせないほどにリアも良く動いてくれます。

ルーテシアR.S.と同じ「R.S.」を名乗っているとは思えないほどに、メガーヌR.S.の足回りはスポーツグレードらしく作り込まれていました。

ハイパワーFFなのにトルクステア皆無

FFハイパフォーマンスカーで忘れてはいけないのがトルクステアの存在です。FF車でアクセルを大きく開けると、まっすぐ走っているのに車が左右に曲がろうとしてしまいます。それがメガーヌR.S.ではまるで感じませんでした

メガーヌR.S.のフロントサスペンションには「ダブルアクスルストラットサスペンション」というものを採用しています。ストラットサスのFFの悪癖とも言えるトルクステアを、サスペンションの構造で起こさないようにしているものです。その効果は絶大ですね。

トランスミッション

シフトノブはハッチバックスポーツカーらしく、スポーツカーとしては比較的長めなシフトストロークです。

シフトノブの動きはやや渋く感じました。渋いと言っても昔のポルシェのようなヌメヌメとした動き(ハチミツをかき混ぜると揶揄された)ではなく、メカを「ガコッ」って力を入れて動かす感じです。

1速と3速の場所が分かりにくいことが少し気になった程度で、シフトパターンは一般的なものです。リバースギアはシフトレバーのリングを持ち上げるタイプで、位置は左上です。

試乗車がクラッチペダルの押し返しがやや強かったので、クラッチミートポイント付近の踏力調節が難しかったのですが、ディーラーマンによると納車したほかの車はここまでではなかったとのことなのでこの個体だけの問題のようです。踏力を置いておけばミートポイントは分かりやすいですし運転しづらさは感じませんでした。

シフトノブやクラッチのクセは(試乗車の個体であっても)慣れで十分吸収できるレベルで、総じて操作性に問題は感じませんでした。逆に言えば、特に素晴らしい点を感じなかったというのも事実です。マツダロードスターなんかはMTだけで語れるほど完成度が高かったんですけどね。

メガーヌR.S.の今後

フランス本国ではメガーヌはすでにフルモデルチェンジしています。そして新型メガーヌではR.S.は用意されないそうです。メガーヌのハイパフォーマンスモデルはアルピーヌが担うことになります。

メガーヌR.S.としては現行モデル限りとなり、しかもすでに生産は終了しているそうです。つまりメガーヌR.S.は現在生産済みの車両のみということ。日本での販売では、あと数回100~200台規模の限定車を出して、それで販売を終了するそうです。

まとめ

実用車ベースのスポーツモデルとしては、ずば抜けて完成度が高く感じました。特に足回りは素晴らしく、これなら「FRが無いから仕方なくFFに乗る」というのではなく積極的にFFスポーツを選んでもいいかもしれないと思いました。

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