ロードスターRF本気レビュー:RFの2.0Lの走りは1.5Lとどう違う?

     2017/03/12

マツダ・ロードスターの電動ハードトップ仕様「ロードスターRF」を試乗してきました!

国内では現行ロードスター初搭載となる2.0Lエンジンの走りはどうなのでしょうか?

ロードスターRFってどんな車?

ロードスターRFは、ロードスターの電動ハードトップ版です。2.0L自然吸気エンジンを搭載していて、ソフトトップ(1.5L自然吸気)よりハイパワーとなっています。

屋根は電動格納式ですが、格納されるのは天井部分とリアウインドウのみで、ルーフ後方は残ります。開けたとき「タルガトップ」と呼ばれるスタイルになります。ルーフ後方がなだらかなラインになっているので、屋根を閉めた姿は固定屋根のクーペのように美しいです。

電動ハードトップの動作や、オープン時の走行感覚についてはこちら↓

加速・巡航性能

とりあえず最初に言わせてください。

すばらしい! 面白いじゃないか! 幌だけじゃなくハードトップも面白いなんてふざけるなマツダ!(褒め言葉) だいたいロードスター作るだけでもおかしいのに、2種類のボディに2種類のエンジンがあるなんてまったく……(以下略)

乗ったのはロードスターRFの最上位グレード「RS」、2.0L・6速MTです。

加速感

ロードスターとロードスターRFは搭載されるエンジンが異なります。どちらも直列4気筒自然吸気エンジンですが、排気量が異なるので出力や車重には差があります。排気量が2.0Lになることで、ソフトトップ車に比べて出力やトルクは20~30%アップになっています。一方車重は10%ほどの違いなので、パワーウエイトレシオはロードスターRFの方が小さく(高性能)加速性能も上回るはずです。

ロードスターRF
[電動ハードトップ]
ロードスター
[手動ソフトトップ]
車両重量 1,100 kg 990~1,020 kg
排気量 1,997 cc 1,496 cc
最高出力 158ps / 6,000rpm 131ps / 7,000rpm
最大トルク 20.4kgm / 4,600rpm 15.3kgm / 4,800pm
レッドゾーン 7,000rpm~ 7,500rpm~
パワーウエイトレシオ
(小さいほど高性能)
6.96 kg/PS 7.56~7.79 kg/PS

※ 車重はMT、ソフトトップ車はi-ELOOPとi-stop非装着での値。

 

実際に乗ってみると、確かに1.5Lに比べて全域でトルクが上乗せされています。でも「1.5L → 2.0L」という(車重を考えない)数値から推測されるパワー向上イメージに比べて差は小さいですね。出力20%アップ・車重10%増加で差し引き10%の加速性能向上という数値通りの違いに感じました。

MT車同士で比べると、発進は2.0Lの方が楽々でした。ごく低回転域からしっかりトルクがあって、クラッチを雑に繋いでも簡単に発進してくれます。2代目NB型(1.6L)に乗っていた頃に3代目NC型(2.0L)を試乗して感じたラクラク感ほど極端ではありませんが、現行ND型の1.5L→2.0Lは楽に走り出せるなぁと感じられる差があります。

高回転までトルク変動が小さく、ほぼフラットトルクなのは1.5Lエンジンと共通する特性です。スペック表で見てみるとMTのギア比は1.5Lと2.0Lで完全に同一。排気量の差が単純に加速能力の差に使われているわけですね。ただしATは異なります(後述)。

最高出力回転数やレッドゾーン開始回転数は1.5Lの方が高いですね。実際に走ってみた感じでも、高回転まで引っ張ったときの伸びよりも、「もうレッドゾーンに来てしまった」という感じの方が強かったですね。レッドゾーンが低い上に加速力が高いので、同条件ならレッドゾーンに早く到達してしまうわけです。

下の方からしっかりトルクがあるので、普段は低回転域ばかり使ってしまうかもしれませんね。例えば6速・60km・1,500rpmからでもシフトダウン無しにスイーっと加速できます。道路が流れているときは5速ホールドでも全然走れてしまうでしょう。

NDの1.5Lには「小排気量エンジンを高回転域まで回して、パワーを使い切る」という楽しみがあります。ちょうど初代NAや2代目NB(特に1.6L)のような感じですね。NDの2.0Lでも160馬力足らずなので使い切ることはできますが、トルクが十分すぎて回さなくてもそこそこ速く走り切れてしまいます。かといって3代目NCのように「回す必要を感じないほどのツーリングカー志向」でもありません。1.5Lよりはトルクがあるけど、単純に延長線上にある加速感です。エンジンの全体的な性格は1.5Lと同傾向です。

トルク感と伸びなさの理由はギア比を見てみると分かります。

トランスミッション

トランスミッション自体はソフトトップと同じなので、フィーリングなどはそちらのレビューをご覧ください↓

ただし変速比と加速力の関係からするとやや異なります。MTは排気量によらず減速比は同じ、ATは2.0Lの方が少しハイギヤードになっています。

※ [総減速比]=[トランスミッションのギア比]×[ファイナルギア比]

これは何を意味するのでしょうか?

MT

MTはギア比が同じ。ギア比とタイヤサイズが同じなら、エンジン回転数と車速の関係が同じです。タイヤサイズは微妙に違いますが、純正装着タイヤでも差は2%とごくわずかです。

[計算機] エンジン回転数 から 車の速度 を計算 を使って計算してみると以下の通り。

1.5L
195/50R16
2.0L
205/45R17
4速・60km/h 2,418 rpm 2,360 rpm
2速・最高出力 92.6 km/h
(7,000rpm)
81.3 km/h
(6,000rpm)
2速・レッドゾーン 99.2 km/h
(7,500rpm)
94.9 km/h
(7,000rpm)

常用域では回転数の差がほとんどないので、単純にトルクフルな走りに感じます。一方で高回転まで回すと違います。[トルク×回転数=パワー]なので回転数を上げるほど加速力は上がりますが、パワーの増加は最高出力回転数で頭打ちになります。それ以上は「回転数が上がるのに加速力は落ちる」という領域です。

1.5Lと2.0Lでは最高出力となる回転数が違います。2.0Lの方がハイパワーですが、最高出力回転数は1.5Lより低い6,000rpm。同じ2速でフル加速をした場合、1.5Lは92キロ、2.0Lは81キロで頭打ちになります。おそらくこれが「2.0Lの方が伸びない」と感じた要因でしょう。

一般的にはトルクに余裕がある大排気量モデルの方がややハイギアード(巡航重視)にします。回転数が低くても十分加速できるからですね。でもロードスターがそうしなかったのはワインディングでの楽しさや扱いやすさのためでしょう。ハイギアードにするということは「加速を犠牲に高速巡航燃費を下げる」ということでもあります。

AT

ATはメインのギア比は同じですが、ファイナルギアが異なります。同じ車速なら2.0Lの方が低回転、同じ回転数なら2.0Lの方が高速になります。差は18%です。

1.5L
195/50R16
2.0L
205/45R17
4速・60km/h 2,170 rpm 1,784 rpm
2速・最高出力 94.0 km/h
(7,000rpm)
98.0 km/h
(6,000rpm)
2速・レッドゾーン 100.7 km/h
(7,500rpm)
114.3 km/h
(7,000rpm)

同じギアで走る場合、回転数が落ちるので加速力は落ちます。ざっくりした計算では、回転数の差が18%、排気量と車重の差が約10%で同じ車速・同じギアでは、1.5Lの方が加速するということになります。

もちろんその後の回転数の変動と変速タイミングが異なるのでややこしいですが、おおまかに言えばATでは排気量アップを回転数を落とすためにも割り振ったと言えるでしょう。2.0Lの方がトルクがあるので、低回転からでも十分走れます。それならギア比でより巡航よりにした方がいいんじゃないかということ。

1.5LのATは1~3速のギア比がMTと同等ですよね。2.0LのATだけが巡航側です。つまり2.0L・ATは現行ロードスター随一のツーリングモデルと読み取れるわけです。

コーナリング性能&足回り

まず言えるのが、ちゃんとロードスターです。最初の交差点を曲がるだけで「楽しい!」と感じられる美点は124スパイダーにはまるでありませんでしたが、ロードスターRFの動きはロードスターそのものです。

ややオーバーステア傾向

意外にも差があったのはコーナリング性能です。ソフトトップ・1.5Lに比べるとややオーバーステア傾向のようで、リアが動き出す感覚やテールスライドをより簡単に楽しめました。

開発主査のインタビューによれば前後重量配分はRF・2.0Lでも50:50とのこと。でもそんな重要なことがRFのカタログには書かれていません(もちろんソフトトップのカタログには明記されている)。ちなみに重量増の内訳は以下の通り。

1.5L → 2.0L +25kg
手動ソフトトップ → 電動ハードトップ +45kg
i-ELOOP + i-stop
(ソフトトップMTではオプション)
+20kg
合計 +90kg

50:50に調整するのは大変かもしれませんが、そんなにフロントヘビーになるとも思えません。サスペンションやステアリング特性は別設計ということですし、ややオーバーステアな特性が何によるものかは分かりませんでした。

コーナリング時のロールはソフトトップの「S」系に比べて小さかったですね。ただ「RS」にはビルシュタイン製ダンパーが装備されているので、その影響の可能性も高いです。高い位置に重量物(RFの機構)が入っていることによる影響は感じられませんでした。

乗り心地

乗り心地はビルシュタイン製ダンパーの影響が多分にあるので正しい比較はできませんでした。ただ車重差とタイヤサイズの差(16インチ→17インチ)があるので、RFの方が安定傾向なのだと思います。

ビルシュタインを装着していても、同じ2.0Lの86/BRZのようなドッドッと路面の凹凸を拾ってくる乗り心地の悪さはなく、普段街中を走るのに使っても乗り心地に起因する疲れを感じることは少ないでしょう。スポーツカーであっても足が硬すぎないのは、通勤などに使いたい人には重要でしょうね。

その他気づいた点

排気音

排気音は最近の車にしてはなかなか良いです。1.5Lと特段の違いはありませんが。クローズドでのこもり音がやや気になるというところはあります。

ドライビングポジション

今回は「RS」グレードということでレカロシートが標準装備されていました。

そんなに悪いものではありませんが、着座位置がやや高く感じます。「S」のファブリックシートだと座面が柔らかいのか、ヒップポイントがもう少し低いんですよね。乗り比べた感じでの座面高さは低い方から[Sのファブリックシート → S Leather Packageのレザーシート → RSのレカロシート]だと思います。

ホールド性が特別高いわけでもないので、シートのためにRSにするのはあまりおすすめできません。さらに気になる点としては、身長の低い人がシートを前に出して乗ると、シフトノブを握る左腕がシートのサイドサポートに当たって操作しづらく感じる場合があります。RSを買う人は要チェックです。

ソフトトップ仕様と共通するところですが、軽さのためか剛性のためか、ステアリングにテレスコピック機構(前後調整)がありません。チルト(上下調整)すらなかったNB型に乗っていた者からすればチルトがあるだけでもありがたいですが、体型によってはステアリング位置が合わないかもしれません。(NBの頃は自分で裏の固定具をいじって低くしていました)

昔と違ってエアバッグやスイッチ類の付いたステアリングを替える気にはなかなかならないでしょう。ステアリング前後位置は試乗してしっかりチェックした方がいいでしょうね。

スペック

似たグレード同士でスペックを比較してみましょう。ロードスターRFのペースグレード「S」は、オートライトやリアスタビライザーが装備されているので、幌版における「S Special Package」と同等の装備内容になっています。

車種 マツダ
ロードスターRF
マツダ
ロードスター
トヨタ
86
グレード S S Special Package GT
定員 2名 4名
全長 3,915 mm 4,240 mm
全幅 1,735 mm 1,775 mm
全高 1,245 mm 1,235 mm 1,320 mm
ホイールベース 2,310 mm 2,570 mm
車重 1,100 kg
(+9%)
1,010 kg 1,240 kg
(+23%)
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT
エンジン形式 直列4気筒 水平対向4気筒
排気量 2.0L ガソリン
(+33%)
1.5L ガソリン 2.0L ガソリン
(+33%)
最高出力 158ps / 6,000rpm
(+21%)
131ps / 7,000rpm 207ps / 7,000rpm
(+58%)
最大トルク 20.4kgm / 4,600rpm
(+33%)
15.3kgm / 4,800rpm 21.6kgm / 6,400-6,800rpm
(+41%)
フロントサス ダブルウィッシュボーン ストラット
リアサス マルチリンク ダブルウィッシュボーン
燃費 15.6 km/L
(6.4 L/100km)
(燃料消費 +10%)
17.2 km/L
(5.8 L/100km)
11.8 km/L
(8.5 L/100km)
(燃料消費 +46%)
価格 324 万円~
(+20%)
270 万円~ 298 万円~
(+10%)

※ カッコ内はロードスター比。

スタート価格では75万円の差がありますが、装備内容も含めると約45万円の価格差ということになります。価格の内訳は排気量の差(1.5L→2.0L)に10万円、幌が電動ハードトップになるのに35万円です。グレードや価格比較の詳細はこちら↓

まとめ

ステアリング特性に若干の差を感じましたが、これはこれで面白い!と思いました。

ただ数値上の差ほど走りに違いがなかったのも事実で、1.5Lの方が十分、1.5Lの方が軽いしパワーを使い切れて楽しいという感想でした。単純に速いのは2.0Lですが、ライトウエイトスポーツカーとしてより楽しいと感じたのは1.5Lです。

ソフトトップ/ハードトップとの組み合わせを考えると、ルーフ分の重量増(45kg)を打ち消すために排気量アップというのは妥当な判断でしょう。それに価格が大きく上がるRFを購入する人には、純粋なスポーツカー好き・オープンカー好きよりも「カッコ良くて面白いセカンドカー」を探している客層(つまり金のある中高年)が多いという事実もあるでしょう。そういった客層にはトルクフルで楽に走れるように排気量を上げる、ソフトトップとの差別化を明確にして商品力を増強するというのもあるでしょう。

2.0Lの国産クーペというジャンルにはオジサンにもウケるトヨタ・86/スバル・BRZがあります。86とロードスターを比べたときに言われる「幌の防犯性・耐候性が心配」「1.5Lじゃパワー不足」「2人乗りは不便」のうち、定員以外を解消することになります。86に対して競争力が強化されるということです。

RF・2.0Lは間違いなくロードスターで間違いなくスポーツカーです。でも軽くて扱いやすいスポーツカーを直接体現しているのはソフトトップ・1.5Lだと思います。あわよくばRFの素晴らしいルーフと軽快な1.5Lの組み合わせも見てみたいなぁと思ってしまいます。(欧州ではソフトトップ/RF、1.5L/2.0Lの4通りが併売されています)

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