スズキカプチーノ後継登場?復活する可能性&どんな車になるのか分析
スズキ・カプチーノに後継モデルが出るという噂が出回っております。実際に出る可能性はあるのでしょうか?
カプチーノが復活する可能性と、復活したらどんな車になるのか分析しました。
目次
スズキ・カプチーノってどんな車?
スズキ・カプチーノは1991~1998年に販売されていた軽自動車のオープンスポーツカーです。
軽自動車なので排気量は660ccですし、最高出力は64馬力に制限されていましたが、2シーターFRオープン・フロントミッドシップ・前後重量配分51:49というパッケージングは完全なスポーツカーでした。当時「軽自動車の二人乗りスポーツカー」というジャンルには他に2台あって、合わせて「平成ABCトリオ」なんて呼ばれていました。
A | B | C | |
---|---|---|---|
車名 | マツダ・AZ-1 |
ホンダ・ビート |
スズキ・カプチーノ |
販売期間 | 1992~1995年 | 1991~1998年 | 1991~1998年 |
駆動方式 | MR | MR | FR |
特徴 | ガルウイング FRP外装 MTのみ |
手動ソフトトップ 自然吸気エンジン MTのみ |
手動ハードトップ MT/AT |
販売台数 | 4,392台 | 33,892台 | 26,583台 |
一番売れたのはビートですが、64ps/6.1kgmのビートに対して、カプチーノは64ps/8.7kgm。さらにマイナーチェンジで64ps/10.5kgmに強化されました。ビートは軽自動車ながらエンジンをリアミッドシップに搭載するという意欲作でしたが、実際の走行性能はカプチーノの方が上だったというのが一般的な評価です。
車種 | マツダ・オートザムAZ-1 | ホンダ・ビート | スズキ・カプチーノ |
---|---|---|---|
全長 | 3,295 mm | ||
全幅 | 1,395 mm | ||
全高 | 1,150 mm | 1,175 mm | 1,185 mm |
ホイールベース | 2,235 mm | 2,280 mm | 2,060 mm |
車重 | 720 kg | 760 kg | 690 kg |
駆動方式 | MR | FR | |
トランスミッション | 5MT | 5MT/3AT | |
エンジン形式 | 直列3気筒 | ||
排気量 | 660cc ガソリンターボ | 660cc ガソリン | 660cc ガソリンターボ |
最高出力 | 64ps / 6,500rpm | 64ps / 8,100rpm | 64ps / 6,500rpm |
最大トルク | 8.7kgm / 4,000rpm | 6.1kgm / 7,000rpm | 10.5kgm / 3,500rpm |
価格 | 150 万円~ | 139 万円~ | 146 万円~ |
カプチーノの屋根は3分割式(運転席側、助手席側、中央)になっていて、外したルーフはトランクに入るようになっていました。さらにリアガラスも収納でき、すべて収納すればフルオープン、一部を残せばタルガトップやTバールーフにすることもできました。
ABCトリオはいずれもバブル崩壊の波に飲まれるように1998年までにすべて生産終了してしまいました。
カプチーノ後継が登場?
そんなスズキ・カプチーノの後継車が登場するという噂がにわかに持ち上がってきました。でもちゃんと見てみるとどうやら眉唾な側面が大きいようです。
そもそも明らかな根拠はない
この手の話は頻繁に登場しますが、だいたい明確な根拠のない噂話です。カローラにBMWが載るとか、アルファロメオの新型SUVのCGが流出したとか(後に発表されて偽物だと判明)、そういった話はよく出てきます。コンビニに売っている自動車情報誌なんかはこんな話が頻繁に載っていますね。
たいていは「こんな車が売れてるから他のメーカーからも出るんじゃないか」という予想だったり、「あの車が復活したらいいなぁ」という願望だったり、「こんな特許を取ったからこんな車が出るんだ!」という誇張だったりで書かれる記事です。
日産シルビア復活!! か!?
なんてよくある手法ですね。
でもカプチーノが復活するかをマジメに分析してみると、あながちあり得ない話でもないようです。
ホンダ・S660 の人気
カプチーノ復活の一番の根拠とされるのは「ホンダ・S660」の存在でしょう。販売から約2年が経ちましたが、すでに約2万台を販売していて日本専売のスポーツカーとしてはかなり売れています。
S660はリアミッドシップエンジンで後輪駆動というビートと同じ形式を引き継ぎながら、内外装や装備はもちろん現代的。幌の格納方法や収納の無さには問題があるものの、趣味のセカンドカーと割り切れば面白い車です。
マツダがロードスターを生産し続け、トヨタが86を出したことで少しずつ復権しつつあるスポーツカー市場。スズキが参入したとしても、少なくとも不思議ではありません。
「軽スポーツ」が無いのはスズキだけ
現在軽自動車を生産しているのはダイハツ・スズキ・ホンダ・三菱の4社のみ。車種展開の小さい三菱を除くと、ダイハツにはコペンが、ホンダにはS660があり、スポーツタイプの車を持っていないのはスズキだけです。日本では軽自動車を販売の中心に据えるスズキが、軽の1ジャンルを参入すらせずに放置している状態です。
一応スズキには「アルトワークス」というコテコテのスポーティカーがありますが、残念ながらベースは実用車。専用ボディを持たなければ世間は「スポーツカー」だとは認めてくれないでしょう。面白い車なんですけどね。
ちなみにコペンとS660に対して「スポーツカー」と呼ばずに「スポーツタイプの車」と呼んだのには理由があります。S660はもちろんスポーツカーなんですが、現行コペンは残念ながらスポーツカーと呼べるような走りではないからです。
それでも2シーターオープンというパッケージングの車を販売していることはスポーツカー市場にとってはとても良いことです。スズキにも是非とも参戦してもらいたいですね。
復活するならどんな車になる?
仮にカプチーノが復活するとして、どんな車になるのか現実的に考えてみましょう。
スポーツカーが売れない時代にスポーツカーを作るのであれば、実用車をベースにしたり別の車とシャシーやエンジンを共有して開発コストを抑えるのが常套手段です。すべて専用設計にしていては開発費の回収が難しくなってしまいます。
軽自動車な時点で基本的に日本でしか販売されませんから、日本での販売だけで開発コストを回収できるような車にする必要があります。
スズキが現在持っているラインナップの中で、ベースとして的確なのは間違いなくアルトワークスでしょう。この車が無かったらカプチーノ復活の可能性はさらに低くなっていたことでしょうね。アルトワークスに搭載されているエンジンは先代カプチーノと同等の比較的高性能なものです。アルトワークスのエンジンならスポーツカーとして遜色ないと思います。
残念なのはアルトワークスはFFだということです。FRにしようとすればエンジン周りを流用することが難しくなりますし、トランスミッションも別開発になります。リスクを背負ってまで別設計のFR車を作るのはさすがに厳しいでしょう。2代目カプチーノはFFでの登場となることでしょうね。
ボディ形状
コペンとS660に対抗すること、スポーツカーとして十分な魅力が出せることを考えれば、2シーターオープンボディになるのはほぼ必然でしょう。4シーターではアルトワークスとの差が出しにくいですし、2シータースポーツにするならいっそオープンにしないと先行する2台に対抗できません。
コペンは電動ハードトップ。高級オープンカーのような機構が魅力ですが、オープンではトランクがほぼ使えなくなることと、重くなることがデメリットです。一方S660は天井部分のみが開くタルガトップ。開放感はどうしてもフルオープンに劣ります。
ならばカプチーノは手動ソフトトップでフルオープンにすれば差別化しやすいですね。電動系に比べて開発コストを低く抑えられることも重要です。現行コペンは2代目なので開発ノウハウがありましたからね。世界一の手動ソフトトップを持つマツダロードスターからしっかり学んで、使いやすいソフトトップにして欲しいですね。
手動ソフトトップでFFならトランクは犠牲にならずに済むでしょう。トランクの開き方には工夫が必要にはなりますが、「カプチーノならオープンで旅行に行けます」というコペン/S660にはできない魅力をアピールすることができます。
予想スペック
車種 | スズキ・カプチーノ すべて予想値 |
ホンダ・S660 | ダイハツ・コペン |
---|---|---|---|
全長 | 3,395 mm | ||
全幅 | 1,475 mm | ||
全高 | 1,200 mm | 1,180 mm | 1,280 mm |
ホイールベース | 2,250 mm | 2,285 mm | 2,230 mm |
車重 | 750 kg | 830 kg | 850 kg |
駆動方式 | FF | MR | FF |
トランスミッション | 5MT/5AMT | 6MT/CVT | 5MT/CVT |
エンジン形式 | 直列3気筒 | ||
排気量 | 660cc ガソリンターボ | ||
最高出力 | 64ps / 6,000rpm | 64ps / 6,400rpm | |
最大トルク | 10.2kgm / 3,000rpm | 10.6kgm / 2,600rpm | 9.4kgm / 3,200rpm |
フロント サスペンション |
ストラット | ||
リア サスペンション |
トーションビーム | ストラット | トーションビーム |
価格 | 190 万円~ | 198 万円~ | 185 万円~ |
特徴は軽さです。アルトワークスは670kgしかありませんからね。オープンボディにするために補強を足したとしても、700kg台に収めることができるでしょう。
エンジンスペックはアルトワークスを踏襲しました。そのまま載せるだけでもS660と同等の性能があります。カプチーノ向けにチューニングしてきてくれればさらに面白いでしょうね。
もう一つ面白いところとしては、CVTではなくシングルクラッチ式AT(AMT)が採用されるところです。アルトには「AGS」と呼ばれるAMTが使われています。変速フィーリングはトルコン式ATに劣りますが、MT譲りのダイレクト感はスポーツカーにはちょうどいいです。先行するコペンとS660はCVTなので、MTに乗れない人に訴求するには十分な魅力になることでしょう。
スタート価格は2車種と同等の190万円辺りになるでしょうね。
まとめ
マジメに可能性を考えてみるとなかなか面白い車になりそうですね。現実的にはFFでしか作れなさそうというのが残念ですが、それでも3車種で最軽量かつフルオープンにできてトランクもあるとなけば一定の需要を獲得できそうです。
とはいえ、「軽スポーツカーを買ってくれる人」なんてのは限られています。スポーツカーという時点で苦しいのに、上にはロードスターと86/BRZ、横にはS660とコペンというライバルがいる状況で、限られたパイを奪い合うのは厳しい戦いになることでしょう。やはり復活する可能性は高く無さそうです。
200万円あれば、そろそろ86/BRZや現行ロードスターの良質な中古車が狙えるでしょう。駐車場が狭小とかの条件でない限り、そちらの方が幸せになれると思いますよ。