トランスミッションとは?CVT・DCTなどの種類&特徴を整理

     2017/02/05

トランスミッションは何のために付いているのでしょうか? DCTやCVTって何?

トランスミッションの役割と、どんな種類があってどんな特徴があるのかをまとめました。

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トランスミッションの役割

トランスミッション(変速機)の役割は、エンジンの回転を走行速度に合わせて減速(回転を遅く)することです。加速時や登り坂では低いギアにして[力強く・遅く]、平地での高速走行では高いギアにして[弱く・速く]と変速します。自転車の変速を使ったことがあればイメージしやすいと思います。

例えば時速40キロの場合、ギアによって出力や燃費が異なります。一般的な車を例に違いを表にしました。

速度 40 km/h
ギア 2速
(低いギア)
4速
(高いギア)
エンジン回転数 3,000 rpm
(1分間に3,000回転)
1,600 rpm
(1分間に1,600回転)
エンジン出力
(アクセル全開時)
60馬力 30馬力
燃費 悪い 良い

2速の方が出力が大きい(60馬力)ので、加速時や上り坂で力強く走れます。一方で回転数が高いので騒音が大きく、燃費も悪いです。それに一般的なエンジンでは最高回転数が6,000rpm程度なので、2速のままでは80km/hが限界です。

4速では出力が小さく(30馬力)なるので、アクセルを踏んだ割になかなか加速してくれません。加速には不利ですが、回転数が低い方が静かですし燃費も良くなります。一定速度で巡航する場合はこちらの方がいいですね。それに4速でアクセルを踏み続ければ、計算上は150km/h程まで出せます。

トランスミッションが無かったら

ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが力を出せる回転数はあまり広くありません(800~6,000rpmなど)。仮に変速機構が無いとすると、加速か最高速度が犠牲になります

低い速度に合わせた設計にすればエンジン回転数がすぐに頭打ちになって、100km/hすら出せない車になります。一方高い速度に合わせれば、まともに発進できなかったり加速がものすごく遅かったりしてしまいます。

燃費との兼ね合い

一般的にはエンジン回転数が高いほど高出力になる一方、燃費は悪化します。そこで、あまりパワーのいらない一定速度で走行している時には、高いギアにしてエンジン回転数を落として、燃費を向上させます。

EVやシリーズハイブリッドの場合

動力源がガソリン/ディーゼルエンジンではなく電動モーターの場合は異なります。電動モーターでは超低回転から高回転まで(1~10,000rpmなど)ほぼ安定して力を出せるので、変速機が無いか、あっても2段あれば十分実用的な車が作れます。EV(電気自動車)やシリーズハイブリッド車が滑らかに走れる要因の一つに、変速動作が無いということも挙げられます。

トランスミッションの種類

トランスミッションにはいくつかの種類があります。まず一番大きな括りが自動変速か手動変速かです。

  • 手動変速:マニュアルトランスミッション(MT)
  • 自動変速:オートマチックトランスミッション(AT)

マニュアルトランスミッション(MT)

マニュアルトランスミッションの形式は昔も今も基本的に1種類しかありません。クラッチ(断続器)ペダルを踏んでエンジンとタイヤの回転を切り離し、手でシフトレバーを操作して別のギアに変更、再度エンジンとタイヤの回転を接続します。スムーズに変速できるような仕組みはいくつも出てきましたが、基本的にはこれに尽きます。(レーシングカーなどではクラッチ操作の無いドグミッションというものもあります)

元々はMTしか世の中に存在しませんでしたが、ATが登場したことで「マニュアル」と呼ばれるようになりました。日本ではMTを指して「ミッション」と呼ぶ人がいますが、これは明らかに誤りです。MTもATもトランス「ミッション」なのは同じなので、MTを指す場合は「マニュアル」と呼ぶのが正しいです。

日本では圧倒的にATが普及している上にAT限定免許の人も多いため、MTの設定が無い車種が増えています。2017年現在、日本で新車購入できる市販乗用車のうちMTの設定があるのは(車種の数え方にもよりますが)およそ6分の1しかありません。昨今のMTの稀少さからするとむしろ6分の1もあるのかという感覚かもしれませんが、商用にも使われるバンや小型車も含まれての「6分の1」です。

オートマチックトランスミッション(AT)

平易に運転できるように変速操作を自動化したのがオートマチックトランスミッションです。ギアの選択とクラッチペダルの操作が不要になるため、運転操作が楽になります。

クラッチペダルが無ければ基本的にAT(AT限定免許で運転可能)ですが、ギアの選択だけが手動式のものは特に「セミAT」や「2ペダルMT」と呼ばれます。ただし、これらの語は違う意味で使われる(後述するAMTやDCTを指す)こともあるので注意してください。

ATの分類方法にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると有段式無段階式に分けられます。さらに細かい分類は後ほど紹介します。

AT普及期から、MT淘汰期へ

かつてはATの方がコストがかかり有料オプション扱い、燃費もMTほど良くありませんでした。しかし、4段ばかりだった変速段数は7速・8速と増えていき、トルコンの滑りはロックアップ機構の進化で軽減、ATが主流になると価格差も解消されました。特に安楽な運転を好むアメリカや、市街地の渋滞が激しい日本ではAT率が98%を超えています。

さらには性能でMTを上回るDCTも登場し、もはやMTを選択する理由は「MTの運転を楽しむため」でしかなくなりました。今ではフェラーリやランボルギーニですら、MTの設定が無い車種が登場しています。

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各種トランスミッションの特徴

現在市販されているトランスミッションは、5種類に分類されます。機構の細かい違いによってはもっと複雑に分かれていますが、普通のドライバーに違いが感じられるのはこの5種類です。

変速操作 手動 自動
(手動でギア選択可能なものを含む)
方式 マニュアル トルコン式
(有段変速)
CVT
(無段階変速)
シングルクラッチ式
(AMT)
デュアルクラッチ式
(DCT)
概要 手動変速 スムーズ重視 燃費重視 ダイレクト重視 理想追求
変速段数
(主に)
5~7段 4~9段 無段階 4~6段 5~7段
発進フィール
(運転手次第)
変速フィール
(運転手次第)

(無段階のため)

(○*2)
変速速度
(運転手次第)

(無段階のため)
ダイレクト感
クリープ現象 × *1
*1
燃費
コスト ×
AT限定免許 不可
採用車種 最近は
スポーツカー類
のみ
大半のAT車
デミオ,クラウン
BMWなど
主に最近の国産車
プリウス,フィット
インプレッサなど
主に欧州廉価車
500,up!
ソリオなど
主に欧州高級車
ゴルフ,ポルシェ
フェラーリなど

*1 クリープ現象は擬似的に再現しているメーカーも多い。

*2 モーターアシスト付き変速の場合。

それぞれ利点・欠点がありますね。最近採用が進むAMTとDCTについては別記事で詳しく解説しています。

世界的な流れ

世界的なトランスミッションの流れは以下の通りです。

日本車 実用車 燃費重視車種でCVTが増加
トヨタ式ハイブリッドもCVT
スズキはAMTを積極採用
マツダはトルコン式を高性能化
スポーツカー MTの設定が減少
高額車ではDCTの設定も
欧州車 廉価車 高いMT率が継続
AT車はAMTからDCTに移行中
高級車 DCT採用車がさらに増加
アメリカ車 大半が継続して
トルコン式ATを採用
スーパースポーツ DCTのみの採用が増加

まとめ

ガソリンエンジン車に欠かせない設備「トランスミッション」の役割や種類を紹介しました。今後はデュアルクラッチトランスミッションの採用がますます進むと思われます。

分類上は同じタイプのトランスミッションでも、メーカーごとに味付けや完成度が異なります。何が違うのか比べてみると面白いですよ。

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