ルノールーテシアRS試乗記!グレード編 MTが無いのには理由があった

   

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ルノー・ルーテシアのハイパフォーマンスモデル、ルーテシアR.S.を試乗してきました。

まずはグレード構成とスペックを見てみましょう。R.S.にMTが無い理由も調べましたよ。ルーテシアR.S.の走りはこちら↓

ルノー・ルーテシア

ルーテシアはルノーのBセグメントハッチバックです。Bセグメントは日本ではかなり人気のあるサイズで、フィット,ヴィッツ,デミオなどが属しています。

ヨーロッパではBセグメントよりも1サイズ上のCセグメントの方が人気なので、輸入Bセグメントはあまり多くはありません。それにヨーロッパでのBセグメントは2ドア/3ドア車が多いので、日本で好まれる4ドア/5ドアが用意されていないことも多いです。代表的なBセグ欧州車は、フォルクスワーゲン・ポロBMWミニ・クーパーアルファロメオ・MiToアウディ・A1(すべて試乗記へのリンク)などです。

現行ルーテシアは本国フランスを含め、5ドアのみで展開されています。全長が4mを少し超えるBセグにしてはやや大きめなサイズとはいえ、3ドア設定がありません。上に上げた4車種はすべて3ドア設定があります(MiToは3ドアのみ)ので、やや珍しいですね。

ルーテシアは日本だけ
ちなみに「ルーテシア」の名は日本だけです。日本以外では「Clio(クリオ)」という名前で販売されていますが、日本ではホンダが「クリオ」の商標を持っているので変更したそうです。初代ルーテシアの発売は1990年。2006年にホンダ「クリオ店」が消滅してしまったので、ホンダ次第ではルノー・クリオにすることもできるのでしょう。しかしクリオから「ホンダクリオ」を思い浮かべる人も多いでしょうし、ルーテシアの名も定着しているので今後も変更されることは無いでしょうね。

ルーテシアR.S.

ルーテシアのスポーツバージョンが「ルーテシアR.S.」です。R.S.はルノースポールの略で、ルノーのスポーツ部門の名称です。

ルノーのスポーツ部門「ルノースポール」が、ルノー車をチューンしたのが○○R.S.ということになっていますが、別会社というわけではないので実体は一派生車種(あるいはグレード)として開発されていることでしょうね。フォルクスワーゲン「GTI」、マツダ「マツダスピード」、ホンダ「タイプR」などと同じような感じでしょう。

グレード構成

ルーテシアはR.S.を含めると5グレード構成です。ただ、「ゼン0.9L」と「ゼン1.2L」はかなり違う構成なのに同じ名前になっています。

スペック

車種 ルノー・ルーテシア
グレード R.S. トロフィー GT インテンス
/ ゼン1.2L
ゼン0.9L
ボディ形状 ハッチバック
ドア数 5ドア
定員 5名
全長 4,105 mm 4,095 mm
全幅 1,750 mm
全高 1,435 mm 1,445 mm
ホイールベース 2,600 mm
車重 1,290 kg 1,210 kg 1,220 kg 1,130 kg
駆動方式 FF
トランスミッション 6AT 5MT
エンジン形式 直列4気筒 直列3気筒
排気量 1,618 cc
ターボ
1,197 cc
ターボ
897 cc
ターボ
最高出力 220ps / 6,050rpm 120ps / 4,900rpm 118ps / 5,000rpm 90ps / 5,250rpm
最大トルク 26.5kgm / 2,000rpm 19.4kgm / 2,000rpm 20.9kgm / 2,000rpm 13.8kgm / 2,500rpm
フロントサス ストラット
リアサス トーションビーム
燃費
(JC08)
17.4 km/L
価格 330 万円~ 259 万円~ 220 万円~ 208 万円~

ボディ

通常のルーテシア

通常のルーテシア

R.S.のボディサイズは、全長と全高が1cmだけノーマルルーテシアと違いますが、ほぼ同一です。ボディ自体が通常のルーテシアと同じで、高性能エンジンを載せた仕様ということです。専用ボディが与えられる格上のメガーヌR.S.との一番の違いですね。

同じボディなので、5ドア5人乗りです。車内空間はルーテシアそのものなので、使い勝手を優先するならメガーヌR.S.(3ドア5人乗り)より良いかもしれません。ただ、スポーツモデルらしい低車高で高剛性のボディになっているわけではないので、メガーヌR.S.のような別車種ではなく、あくまで「R.S.」というグレードです。

エンジン

メイングレードは約120馬力の1.2Lターボエンジンです。上のR.S.は1.6Lターボ、下のゼン0.9Lは0.9Lターボで、すべてダウンサイジングターボエンジンです。

最下位のゼン0.9Lだけは3気筒で廉価仕様という位置づけですね。そしてこれだけがMTという残念な構成です(後述)。

今回試乗したのは「ルーテシア R.S. トロフィー」というグレードです。ルーテシアのラインナップの最上位に位置するグレードで、220馬力・26.5kgmを発揮する1.6Lターボエンジンを搭載しています。車重は1,290kgしかないので、これだけあれば十分すぎるほどでしょう。

ルーテシアR.S.では他に同じ1.6Lターボで200馬力の「ルーテシア R.S. シャシースポール」があります。おそらくECUチューンのみの出力違いでしょうね。

トランスミッション

トランスミッションは6速DCT(デュアルクラッチ)です。かつては同じフランス産Bセグメントのプジョー208とシトロエンDS3がどちらもシングルクラッチトランスミッションだったので、ルーテシアに利がありました。シングルクラッチは正直乗りづらいですからね。今は208もDS3もトルコン式ATに移行したので大きな差ではなくなりました。

ルーテシアの最低グレード「ゼン0.9L」は3気筒0.9Lターボ+5MTという組み合わせです。MTが載っているのはこのグレードだけで、R.S.でもMTは用意されていません。

MTよりATの方が高かった90年代ならまだしも、今の日本でMTを好んで乗るのは車好きばかりです。ましてフランス車をMTで乗りたい人が最下位グレードにするとはとても思えません。最低グレードにだけMTを用意してもあまり意味が無いでしょうね。普通に最上位R.S.をMTにした方が面白いと思います。そして同じ過ちをトゥインゴでもしてしまっている始末。

BセグメントのスポーツモデルでMTというのは意外とありません。日本メーカーならデミオやヴィッツRS、スイフトスポーツなどがありますが、輸入車となるとプジョー208GTiかシトロエンDS3スポーツシックくらい。プジョー・シトロエンはちゃんと最高グレードをMTにしていますね。アルファロメオ・MiToにもMTがありましたが、今はラインナップ落ちしています。もうすぐMiTo自体無くなりますしね。

上で挙げたのはすべて3ドア。5ドアとなると輸入車では思いつきません。日本国内ではCセグメント(アクセラクラス)よりBセグメント(フィットクラス)の方が人気ですし、3ドアは敬遠されがちなので、ルーテシアR.S.がMTだったらなぁと思わずにはいられませんねぇ。

MTが最下位グレードのみなのは本国のせい

ヨーロッパでは今でもMTの割合がかなり高いです。本国でR.S.のMTがあるなら、単にルノージャポンが輸入すればいいだけじゃないかと思いますよね?

でも、フランス本国のルノーWebサイトを見てみると、本国のクリオ(日本名ルーテシア)R.S.は6速DCTのみの設定でした。5速MTの設定があるのはガソリンエンジンだと90馬力0.9Lターボのみ。これは日本に入っているのと同じですね。他にディーゼルでも5MTの設定がありますが、こちらも90馬力の1.5Lディーゼルのみです。高出力エンジンには本国ですらDCTしかラインナップされていません。

高性能エンジンにMTが組み合わされていないのは輸入元の問題ではなく、そもそものラインナップの問題です。なので少なくともこの世代のルーテシアでは今後もR.S.にMTが追加される可能性がありません。高性能ルノー車をMTで乗りたい人は、おとなしくメガーヌR.S.を検討するしかなさそうですね。

まとめ

5ドアBセグのスポーツグレードという設定自体は面白みがあるんですが、DCTオンリーでMTの設定が無い事がかなり残念です。本国ルノーの方針が、一部の廉価仕様車以外にはDCTを積もうということなので仕方ありませんかね。

次回は走りのレビューをしていきます。

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