アルトワークス試乗レビュー!とんでもない軽さでキビキビ感がおもしろい!
スズキのパワフルな軽スポーティカー「アルトワークス」に試乗してきました!
この軽さ!おもしろいぞコレ!!
目次
アルトワークスってどんな車?
アルトワークスはスズキの軽自動車「アルト」をベースにしたスポーツ仕様モデルです。
軽自動車の中でも特に小さく軽いスズキ・アルトをベースに、高性能エンジンや専用エクステリア、専用サスペンションなどを装備してスポーツ走行に耐えられるように設計された車です。
アルトワークスは1987年からその世代のアルトをベースに販売されてきましたが、5代目アルトベースのアルトワークスが2000年に廃止されてしまいました。それが、2015年12月に15年ぶりに復活となったわけです。現在販売されているアルトワークスは、現行の8代目アルトをベースにしています。
アルトワークスの復活に先んじて、「アルトターボRS」という車も発売されています。こちらもアルトワークスと同程度のエンジンを搭載していますが、残念ながらAT(シングルクラッチ式AT)のみ。アルトワークスの登場によって高性能アルト+MTの組み合わせが選べるようになりました。
アルトワークスはATとMTが両方設定されていますが、実際に売れているのはMTが9割だそうです。
とにかく軽い!
特筆すべきはその圧倒的な軽さです。ベースのアルトは2017年1月現在の日本のすべての市販車中でケーターハム・セブンに次ぐ610kg~という驚異的な軽さとなっています。アルトワークスは64馬力で670kg。とにかく軽いんです。ホンダ・S660ですら車重は830kg。アルトワークスがいかに軽いかが分かりますね。
絶対的なパワーが無いので高速域では不満が出るところですが、軽いということは加速が強力だということ。軽さが活かされる峠道やジムカーナ、4WD車ではラリーにも向いています。
馬力自主規制のきっかけ
初代アルトワークス(2代目アルトベース,1987年発売)は軽自動車の馬力自主規制値64馬力が設定されるきっかけともなりました。普通車(登録車)の馬力自主規制(280馬力)はすでに撤廃されていますが、軽自動車はいまだにこの規制が適用されています。日本の軽自動車で64馬力規制から外れているのは、唯一ケーターハム・セブン160(80馬力)だけです。
現行アルトワークスも馬力規制の対象なので、最高出力は64psです。
内外装デザイン
エクステリア
軽自動車の中でも小さく安いアルトがベースなので、デザインに迫力はありません。軽自動車最軽量のアルトですが、市販乗用車で最も安いのもアルト(70万円~)です。外観ではやはり「安い軽」という雰囲気が隠しきれません。
以前のアルトワークスでは、ベース車と微妙に異なるデザイン(角目→丸目など)だったりボンネットダクトが付いていたりしたんですが、現行アルトワークスはフォグランプやメッキ加飾、目立ちにくいエアロパーツの装備程度に留まっています。
外観に期待する車ではないことは重重承知していますが、スタート価格151万円という安くない価格設定にしては外観が物足りませんね。もう一つ何か、ボディ中央にラインを引くとか、(空力的に無意味でも)大型リアスポが付くとか、そういうのがあっても良かったのかもしれません。まぁ数ある車の中でアルトワークスを選ぶ人は外見よりも中身に惚れ込んだのだと思いますけどね。
インテリア
基本はアルトと同じですが、5MTモデルではインパネシフトが入る部分が小物入れになっています。まぁ内装についてもとやかく言うような車ではないでしょう。
メーターにはブーストインジケーターというのが付いていますが、数値の見えるブースト計では無いので役には立たなさそうです。
欲を言えばスピードメーターとタコメーターが逆だったら良かったですね。
フロントシート
フロントにはレカロシートが標準装備になっています。外見より中身というのはこういう所でもあるのでしょう。見た目はタダの軽でも走りに関わるところはこだわっています。
このレカロシート、結構なホールド力があるのでジムカーナなどで激しい動きをしても体をちゃんと支えてくれるでしょう。シートバックを倒すのはダイヤル式(中央側)なので少しやりにくいですが、この手のシートなので仕方ありませんね。
ただ気になったのはシートの設置高さです。車高の低い車ではないのはもちろんですが、もっと低く設置してくれた方が良かったと思います。単純に低い方が気分が良いというのもありますが、シートの高さとペダル配置が相まって、かなりシートを前に出して運転しないといけませんでした。スポーツカーのように足を前に投げ出す座り方が難しいのは当然ですが、まるで直角イスに座っているかのような高い座面位置は窮屈で、楽な姿勢ではありませんでした。
リアシート
リアシートはアルトだなぁという感じ。真っ平らで居住性は悪いです。アルトワークスでリアシートに期待する人はいないでしょうが、4人乗りだからといって気軽に乗せられるレベルではありませんでしたね。
これなら正直3ドアで良かったんじゃないかという気がするでしょうが、ベースのアルトは5ドアハッチバックのみ。ワークス用に別ボディというわけにもいかないので仕方ありませんね。
ペダル
クラッチペダルのミートポイントが結構手前です。まるでへたったクラッチのような雰囲気でした。クラッチペダルに必要な踏力が軽いことも少し気になりますが、こちらは慣れれば問題なし。
アルトベースだからか、フットレストはありません。左足の置き場所が無いのがつらいところですね。
3ペダルの配置は悪くなく、ヒールアンドトウは余裕でした。排気量も小さいので煽りやすく、初めて乗ってもダブルクラッチやヒールアンドトウはかなりやりやすかったですね。
走り
乗ったのはもちろんMT車。FF/5MT/670kg/64ps/10.2kgmです。
加速感
アルトワークスの660ccターボエンジンは、結構低回転からターボが効いてきます。軽くアクセルペダルを踏むだけでも、軽い車体がグワッと加速するなかなか機敏なセッティング。これが非常に面白い! 絶対的な速度は出ていなくても、小さく軽い車体が軽々加速するだけでかなり面白いです。
ぐんぐん加速すると小さい箱がぐわんぐわん揺さぶられるので面白くも若干不安な気もしてしまいます。でも足回りの設計が良く普通に楽しむ分には破綻することはありません。
ターボエンジンの割には低回転からトルクが大きく出てくれるので、気持ちよく加速してくれます。最大トルクは10.2kgm/3,000rpm。スペック上でも低回転からトルクが出るようですね。
小さい車がぐいぐい加速する面白さを昇華させるとアバルト・595になるのでしょうね↓
トランスミッション
試乗したアルトワークスは5MTモデル。
軽自動車とは思えないほどにクイックでスコスコ入る小気味良いトランスミッションです。車の性格にも合っていて実に素晴らしいです。
足回り
最近の低価格スポーティカーとしてはかなり硬めに組まれています。
そこそこ高速にコーナリングしてみましたが、この背の高い車体にしてはしっかり踏ん張ってくれました。FFなのでオーバーステアになる心配もありませんし、ガツーンと踏んでみたくなりますね。
スペック
比較対象は純粋な「軽スポーツ」のホンダ・S660でしょう。方向性がまるで違って面白いです。
車種 | スズキ・アルトワークス |
ホンダ・S660 |
---|---|---|
グレード | ベースグレード | β |
全長 | 3,395 mm | |
全幅 | 1,475 mm | |
全高 | 1,500 mm | 1,180 mm |
ホイールベース | 2,460 mm | 2,285 mm |
車重 | 670 kg | 830 kg |
駆動方式 | FF | MR |
トランスミッション | 5MT | 6MT |
エンジン形式 | 直列3気筒 | |
排気量 | 660cc ガソリンターボ | |
最高出力 | 64ps / 6,000rpm | |
最大トルク | 10.2kgm / 3,000rpm | 10.6kgm / 2,600rpm |
フロントサス | ストラット | |
リアサス | トーションビーム | ストラット |
燃費 | 23.0 km/L (4.3 L/100km) |
21.2 km/L (4.7 L/100km) |
価格 | 151 万円~ | 198 万円~ |
単純な加速性能では軽いアルトワークスの方が上に感じました。トランスミッションの完成度もアルトワークスが上。でもMRやオープン(タルガトップ)だったり、車内空間の設計、外観の特別さではS660に軍配です。
バランスの取れたスポーツカーという意味ではホンダ・S660ですが、「キビキビ」という言葉に当てはまるのはアルトワークスの方です。
まとめ
スポーツカーとしてバランスさせたS660とはまったく違う性格です。でも雰囲気ではなくちゃんとスポーツ性能でも完成された車になっていました。
見た目や雰囲気ならS660の方が特別感がありますが、乗ってみて「おぉ!こりゃおもしれぇ!」となるのはアルトワークスです。軽自動車でもここまで面白くできるのかと感動しました。
一方で151万円も出せばルノー・トゥインゴのMTモデル(171万円~)のような特別な車も見えてきます。これも方向性が違いますけど、小さな面白い車という点は似ているでしょうね。