フェアレディZ試乗レビュー!大排気量エンジン・アメリカンスポーツの走りは?

   

今や数少なくなった国産スポーツカーのひとつ、日産・フェアレディZを試乗してきました。

3.7L自然吸気という大排気量スポーツカーの走りはいかがなものなのでしょうか?

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日産・フェアレディZってどんな車?

フェアレディZは日産のスポーツカーです。

初代フェアレディZ(1969~1978年)

初代フェアレディZの発売は1969年で、初代モデルは世界販売台数55万台という「単一モデルとしては世界で最も売れたスポーツカー」としてその名を残しています。2000年から2年ほどの絶版期間があったものの、現在に至るまで販売され続けている名車です。

フェアレディZの販売先は昔も今も主にアメリカです。実際Z34発売以降だけで見ても、アメリカが6割を占めます。日本はせいぜい15%くらいのものなので、日本の交通環境や日本人の嗜好に合うかと言うと微妙です。

現行フェアレディZ

現行モデルは「Z34」と呼ばれる6代目です。3.7L・V型6気筒という大型エンジンを搭載し、狭い後席すら持たない完全な2シータークーペです。以前はソフトトップのオープンモデル「フェアレディZロードスター」がありましたが、日本向けの販売は2014年に終了しました。アメリカ向けにはクーペ/ロードスター共に販売中です。

2008年にモデルチェンジしたフェアレディZは、先代Z33型よりボディサイズを小さくしつつも、排気量が200cc増えました。

ハイブリッドダウンサイジングターボが全盛の時代、スポーツカーにおいても排気量を下げてターボ化したり、軽さと技術革新で小排気量化をカバーしたりが増えました。この時代に大排気量かつ自然吸気のエンジンを積んだスポーツカーなんてほとんどありません。3.5L以上のエンジンを積んだ車というと、最近はSUVや大型ミニバンが多くを占めています。

試しに「排気量3.5L以上のスポーツカー」という条件で探してみると、安い方から 日産・フェアレディZ、フォード・マスタング、ロータス・エキシージ、シボレー・コルベット、日産・GT-R と並びます。1,000万円以下はこの5台。日産・アメ車・ロータスしか無いわけですよ。その中で最も安いのがフェアレディZです。

デザイン

エクステリア

3.7Lという大排気量エンジン、336馬力(NISMOは355馬力)という高性能スポーツカーにしては随分とデザインが大人しいです。もっとやる気満々の顔にしても良かったような気がします。特にフロントバンパーやヘッドライトはおよそスポーツカーのものとは思えないほど普通です。

価格も排気量もかなり下の86の方がもっとスポーツカーらしい雰囲気をまとっています。

トヨタ・86

まぁでもこんな感覚は日本人のものなので、アメリカでウケれば商売が成り立つフェアレディZのような車に日本人的感覚を当てはめるのは適切ではないのでしょうね。でもフェアレディZという車が日本人にとって(というか私にとって)魅力的かという視点で見ると、デザインにはもっとこだわりとか特徴、雰囲気を出して欲しかったですね。

補足しておくと、サイドから見たルーフラインは過去のZの流れを汲む形状になっているそうです。かつてのZの栄光を知らない者にとってはどうでもいいことですが、Zそのものが好きな人には重要なことだと思います。価格帯や実用性の低さを踏まえると、フェアレディZの国内のメインターゲットは40~50歳代のオジサンでしょうから、伝統のデザインを採用することは日本向けには有効だったと思います。

インテリア

内装はスポーツカーらしくカッコ良くもありますが、多少ゴテゴテし過ぎかなぁと思います。なんかこう美しさがありません。やる気に満ちている部分は車の性格に合っているとは思います。

NISMOの内装

後述するように試乗したのはNISMO仕様だったので、ステアリングがアルカンターラだったり、シートがレカロだったり所々標準車と異なっていました。

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走り

発売から9年経つモデル末期とはいえ、驚くほどに試乗車が少ないです。2017年3月現在では、試乗車・展示車合わせて全国にたった21台しかありませんでした。ちなみにGT-Rは展示車が全国に60台(試乗車なし)あります。

しかもフェアレディZの試乗車はほとんどがAT。MTに乗ってみたかったのですが、私が住んでいるところの周辺にはATの試乗車しかありませんでした。まぁ購買層が中高年だと考えると、カッコ良いスポーツカーを安楽に楽しみたいとしてATの需要の方が多いのかもしれませんね……。実際にATの方が売れているのかは分かりませんが。比較対象にされそうなポルシェ・ボクスター/ケイマンの試乗車もほぼATしかないそうなので、このクラスのスポーツカーはどこも同じ様な状況なのかもしれません。

そしてもう一つの問題点は試乗車がNISMO仕様だったということです。単純に「フェアレディZというスポーツカー」が知りたかったので標準モデルに乗りたかったのですが、NISMO仕様・ATしか試せませんでした。NISMOは走りに関わるあらゆる面が強化されていますし、価格は標準車(383万円~)の1.6倍となる619万円~。排気量こそ同じですが、ボディサイズやエンジン出力も異なるのでほとんど別のようになっています。

グレード ベースグレード ニスモ
全長 4,260 mm 4,330 mm
全幅 1,845 mm 1,870 mm
全高 1,315 mm
ホイールベース 2,550 mm
車重 1,500~1,550 kg 1,540~1,550 kg
排気量 3.7L ガソリン
最高出力 336ps / 7,000rpm 355ps / 7,400rpm
最大トルク 37.2kgm / 5,200rpm 38.1kgm / 5,200rpm
価格 383 万円~ 619 万円~

なので残念ながらフェアレディZを普通に評価することはできません。でも数少ない国産スポーツカーの一つを試す、と言う点では乗った価値はありました。

加速性能

大排気量自然吸気エンジンなので、低回転域から強大なトルクで加速してくれます。でも扱えないレベルではありません。「踏めば踏んだだけ加速する」という点では、昔の国産スポーツカーにあったドッカンターボ(低回転トルクが薄く、ターボがかかると急激にパワーが出る)に比べればよっぽど扱いやすいです。350馬力あるといっても、かつての280馬力車より扱いやすいでしょうね。

フェアレディZはFRです。ハイパワーFFのようなトルクステアの心配が無いので、直線なら安心して踏めます。NISMO仕様の足が硬いこともあってか、発進加速で軽く踏んだだけで気軽にホイールスピンしましたが、挙動は安定しているので恐るるに足りません。ぐんぐん加速できます。FRの動きに慣れていれば問題ないでしょうね。アバルト・595の方がよっぽどトリッキーな動きをしましたよ。

大排気量・大パワーなので踏めばとにかく速いです。すぐに速度が出てしまいます。でも車のバランスが良くて安定しているので、安心して踏み込めます。ただしスピード違反には要注意です。足の硬さを除けば走りが安定しているのであまり速度を感じません。ちょっと踏んだだけのつもりなのに、気づいたらスゴい速度になってしまいます。

足回り

なんだこれってほどに強烈に硬いです。ガチガチです。路面の凹凸を全て拾って体にガンガン伝えてきます。私が乗った中では最も硬いでしょうね。かなり硬いので普通のコーナリングでは全然ロールを感じません。タイヤも極太(NISMOのリアは285/35R19)なので、グリップ力も甚大。まるでリアの破綻が見えてきません。

あまりにも硬いので楽しいとか面白いとか以前に疲れます。明らかに公道走行には向いていません。サーキット用モデルを公道走行可能にしただけのレベルです。これで長距離を走るには相当な覚悟が必要でしょうね。

NISMO仕様じゃなければもっと常識的な乗り心地なのだと思いますが、残念ながら試すチャンスがありません……。

コーナリング特性はほぼニュートラルなので扱いやすい。コーナリング途中でちょっと踏み足してみても、ほんの少し後ろが動こうとするそぶりを見せるだけですんなりコーナーを抜けられます。誰でもそれなりに速く走れそうな車ですが、運転技術の向上には結びつかないでしょうね。それにこの車でリアが滑ってしまったら、公道ではほぼ確実にクラッシュする速度でしょうから、腕に自信が無い人がZの性能を引き出すには命を引き換えにする必要がありそうです。

トランスミッション

フェアレディZのATは通常のトルコン式です。ATの出来はまぁまぁといったところですね。ちゃんと強大なトルクを受け止められていて特別悪い部分はありませんが、とりたてて良いということもありません。

パドルシフトは日産車に共通してステアリングとは連動せず固定式のタイプです。これには思想など色々あるのでしょうが、だいたいの人は慣れれば問題なしというものでしょうね。AT車のマニュアルモードでシフトレバーの上下が逆(マツダとアルファロメオだけが加速方向に合う手前アップ)に比べれば大したことではありません。

ドライビングポジション

NISMO仕様車ではレカロシートが標準で入っています。リクライニング機能のあるセミバケットタイプです。

レカロだから、というのはあるでしょうが、セミバケの割に私の体格では腰のサポートがあまりよくありません。多くの日本人は同じ感想を抱くでしょうね。座面が広すぎます。「日本じゃなくアメリカに向けて作られた車なんだなぁ」ということを最も感じるのはシートなのではないでしょうか。

シートが体に合わないことを除けば、ドライビングポジションにはあまり不満はありませんでした。シート位置もちゃんと低いですし、前方視界も悪くありません。後方が見づらいのはボディ形状的に仕方ないことなので諦めましょう。

まとめ

限界が高すぎて「楽しい」を感じるにはサーキットに持ち込まないと厳しいのでしょうが、思っていた以上にちゃんとFRスポーツカーの走りになっていました。大排気量からくるパワーに頼って走るタイプの車ではなく、高いコーナリング性能や扱いやすさをしっかり練り込んで作られた車でした。

同じFRスポーツカーでも、公道でも「楽しい」を感じやすいのはロードスターや86でしょう。ロードスターなら交差点を一つ曲がるだけでも楽しめます。フェアレディZ(特にNISMO)を楽しめるのはサーキットに持ち込む人か、速いこと自体を楽しめる人に限られるでしょうね。

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