ルノーがトゥインゴGTを発表!RSじゃない理由は?(追記あり)

     2017/01/08

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フランスのルノーが小型車「トゥインゴ」のスポーツバージョン、「トゥインゴGT」を発表しました。

小さなスポーツカーにはワクワクさせられますね!

トゥインゴの試乗記はこちら↓

ルノー・トゥインゴってどんな車?

トゥインゴはルノーのラインナップで最小のクルマです。日本の軽自動車に近い存在ではありますが、日本の軽自動車規格には沿っておらず軽より少し大きいサイズになっています。初代トゥインゴが発売されたのは1992年で、本国で発売されている現行モデルは3代目です。

このセグメントは「先進国の都市部向け小型車」という側面と、「発展途上国向けの庶民小型車」という側面を併せ持っています。日本では輸入車として結構な高額で販売されますが、安っぽさを感じる造りの可能性も高いので要注意です。

日本に導入されている車種での直接のライバルは「フォルクスワーゲン・up!」と「フィアット・500」でしょうね。いずれも「軽よりも少し大きく、ヴィッツクラスより小さい4~5人乗り」というジャンルです。

日本車でライバルになり得るのはサイズ的に スズキ・ソリオ でしょうが、おしゃれさのある輸入小型車と軽自動車+αなので比較されることは少ないでしょうね。

トゥインゴとライバルの詳細な比較はこちら↓

国内向けMTモデルの追加が発表されましたが、トゥインゴGTより下のグレードのエンジンです↓

トゥインゴGT

今回発表されたのはトゥインゴのスポーツモデル「トゥインゴGT」です。

ただ、一応スポーツグレードを名乗ってはいるものの、エンジン出力が多少強化されたこと以外はほとんど変更されていないようです。

デザイン

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トゥインゴGT

 

トゥインゴ(左右反転)

トゥインゴ 通常モデル(左右反転)

通常モデルとの外観上の違いは写真を見る限り無さそうです。同じ5ドアRRという形式、灯火類やフロントバンパーには変化は見られず、横に入るラインのデザインの違いと、カッコいいホイールくらいしか違いがありません。

ちなみにフェンダーとサイドステップが無塗装になるSUV風デザインは、すでに通常モデルでもグレードによって採用されています。

トゥインゴGT

トゥインゴGT

トゥインゴ 通常モデル

トゥインゴ 通常モデル

特徴的なガラスハッチやリアバンパー形状は通常モデルと同じ。変化が見られるのは左側にある給油口のようなものくらいでしょうか。右側には通常の給油口があるので、これは何なんでしょうか?

エンジン自体はほぼ同じみたいなので、意味のある機構ではないのでしょうね。

スペック比較

発表されている情報を比較してみましょう。

車種
グレード
ルノー
トゥインゴ
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ルノー
トゥインゴGT
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ドア数 5ドア
定員 4名
全長 3,620 mm
全幅 1,650~1,660 mm
全高 1,545 mm
ホイールベース 2,490 mm
車重 1,010~1,030 kg (未発表)
駆動方式 RR
トランスミッション 6DCT/MT MT
エンジン形式 直列3気筒
排気量 898 cc ターボ
最高出力 90ps / 5,500rpm 111ps
最大トルク 13.8kgm / 2,500rpm 17.3kgm
サスペンション フロント:ストラット
リア:トーションビーム
燃費 (未発表) (未発表)
価格
(フランス)
€13,500~
(約145万円~)
(未発表)

違いがあるのはエンジン出力系のみです。

エンジンそのものは「TCe」と呼ばれる898ccの直列3気筒ガソリンターボエンジンで同じです。これも流行りのダウンサイジングターボですね。同排気量ながら出力は約20馬力アップ、トルクも3.5kgmアップしています。

恐らくエンジン自体をそのままにコンピューター(ECU)チューンで出力アップした部類ではないでしょうか。最近の欧州車ではよくある手法で、BMWなんかはECUの違いだけで100万円以上の差額を取っていたりもします。やり過ぎですね。

今回は価格を含め詳細未発表なので分かりませんが、ECUチューン+多少の装備の違いということになりそうです。サスペンションやトランスミッションは専用品を使うようですが、ボディやエンジンそのものはほぼ変化無しとみていいでしょうね。「スポーツバージョン」というより「上級グレード」という感じですね。

トゥインゴR.S.ではない理由

ルノーのスポーツモデルと言えば、「R.S.」(ルノースポール)を名乗ることが慣例になっています。メガーヌR.S.ルーテシアR.S.などですね。

今回発表されたトゥインゴは残念ながらトゥインゴR.S.ではなくトゥインゴGTでした。これは上述した通り単なるECUチューンのレベルであって、R.S.を名乗るのにはふさわしくなかったからでしょう。簡単に名乗ってしまっては「R.S.」のブランド力が損なわれてしまいます。それに生産もトゥインゴGTはトゥインゴと同じく通常のルノー工場で生産されます。

 

日本には導入されるのか

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トゥインゴ自体は日本へ導入される可能性が高いものの今のところ何の情報も入ってきておりません。でも日本の道路事情や東京モーターショーの扱いから考えると夏頃までに何らかの発表があると思われます。

今回のGTに関しては、残念ながら日本で発売される可能性はかなり低いと思います。

輸入車にとって輸入するモデルを増やすことは在庫も展示も整備もカタログも負担増になります。要はコストがかかるということ。ある程度販売が見込めないモデルやグレードは最初から販売されません。

今回発表されたトゥインゴGTは、エンジン出力以外目玉が無い上にMT仕様です。通常グレードですらMTが導入されるか分からない日本でMTオンリーのグレードを作っても、販売数を稼げるとは思えません。AT大国ですからね。ギアレシオを変えた専用トランスミッションも売りの一つになっているのに、日本向けに「DCTのトゥインゴGT」を作るとも思えません。

トゥインゴR.S.なら可能性も

もしトゥインゴGTの他に、ガッツリチューンしたトゥインゴR.S.というものが登場すれば、そちらが日本に導入される可能性はあり得ると思います。

大きな販売数が見込めなかったとしても、本気のスポーツグレードは固定客がいますし、ブランドイメージの向上にも役立ちます。メガーヌR.S.ルーテシアR.S.、他社ではアルファロメオ・ジュリエッタQVやゴルフR、アバルト595、シビックタイプR(イギリスから逆輸入)なんかが扱われるのも、ボディ違いや特別なエンジンなど明らかに他とは異なるスポーツ車(あえてスポーツカーとは言わない)に仕上がっているからだと思います。

スポーツカーの分類でいうところの「実用車ベースのスポーツカー」としてちゃんと完成されれば、トゥインゴR.S.(仮称)が日本に導入されるでしょう。

ライバルはアバルト595でしょう。1,120kgのコンパクトな車体にアルファロメオ・ジュリエッタと同じ1.4Lターボエンジンを搭載して180馬力を絞り出すバケモノです。走りも過敏なほどの特性としっかりした足回りでかなり楽しめます。

アバルト・595

アバルト・595

RRなのでエンジンサイズを大きくするのはかなり厳しいでしょうが、10%ボアアップで1.0L+大過給ターボで140馬力、車重を1,100kg以内に抑えれば面白そうですね。ホントはルーテシア用1.2Lターボでも載せて欲しいんですけど、トランク容積をつぶしてまでのチューンの望むのは厳しいでしょうね。

現実は厳しい道のり

「R.S.」を名乗る車の生産は、ルノースポール社のディエップ工場で生産されています。ルノーで生産されたボディをトレーラーで輸送して持ち込み、この工場で塗装され、エンジンや内装などを組み付けられます。ただのグレードではなく、ある意味で別車種のような作り方をしています。ですからエンジンや足まわりの作り込みをルノースポールが納得するレベルにできるわけですね。ベース車両とR.S.での多少の構造上の違いや部品の相違を吸収できる生産方法になっています。

トゥインゴの場合は、Aセグメントという小さな車体な上に、RRというレイアウトです。エンジンルームはかなり狭く、サスペンションの自由度も高くありません。このような車両をルノースポールが納得できるレベルにできるかというとかなり厳しそうです。

さらに(まだ噂レベルですが)トゥインゴにはEVモデルの設定も検討しているという話があります。バッテリー搭載にはやや狭い車ではありますが、リアにエンジンルームがあるのでEV化は比較的やりやすくなっています。バッテリーは爆発する可能性のある危険物ですから、安易にフロントに置くことができません。重量バランス的にもリアの設置が好ましいので、RRレイアウトは好都合です。実際に三菱自動車がMR(ほぼRR)の「i」をベースにしたEV「i-MiEV」を生産しています。

Aセグメント車であれもこれもできるような設計にするのは難しいです。トゥインゴとしてはEV化が可能な設計にすることを優先して、R.S.モデルを開発できる可能性(大きなエンジンの搭載やサスペンション自由度など)を捨てたのかな、と推測することもできます。エンジン周りはボディ設計の重要部分ですから、衝突安全性などを担保したまま構造を変えるのも難しいでしょう。

まだ無理と決定したわけでも、何か発表があったわけでもありませんが、トゥインゴR.S.の登場はあまり可能性が高くないと思います。

まとめ

今回は残念ながら「ちょっとチューンした上級グレード」というレベルでした。しかも日本導入の可能性も低いです。

小排気量ターボのRRなので、MTならとっても面白いと思うんですけどねぇ。日本に入ってきたらラッキーくらいに思っておいて、トゥインゴR.S.の登場に期待しましょう。R.S.も厳しそうですけどね。

トゥインゴの試乗記はこちら↓

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