トヨタがルーミー/タンク発売!ソリオと似すぎてて気持ち悪い大きな軽を比較
2016/12/25
トヨタが小型ワゴン「ルーミー」「タンク」を発表しました。「ダイハツ・トール」としても発売されます。
軽ではない小型車のスズキ・ソリオに真っ向から対抗する車です。ソリオとの違いや、トヨタの小型車「パッソ」との違いをまとめました。
ルーミー/タンクのグレード構成&価格まとめ、軽自動車との比較は別記事にしています。
ルーミー/タンクの試乗レビューはこちら↓
ライバル・スズキソリオの試乗レビューはこちら↓
目次
トヨタ・ルーミー/タンク,ダイハツ・トール
トヨタから発表された新型小型車は、トヨタでは「ルーミー」「タンク」の2車名、ダイハツからは「トール」、さらにOEM先のスバルからは「ジャスティ」として販売されます。名前が4つもありますが、基本的には同じ車です。
トヨタとしては軽自動車を除けば最小クラスのトールワゴンで、コンパクトカーの「パッソ」に次ぐ小ささです。
開発・生産はダイハツが主体ですが、販売上はトヨタの方が選択できるグレードが広くなっているので、トヨタ車としての販売をメインに想定しているのだと思われます。
スズキがワゴンRを太らせて(車体とエンジンを大きくして)作った「ワゴンRソリオ」という車が人気になったので、「ソリオ」として別車種に独立。ソリオが人気なので、トヨタがマネして、ムーヴやタントを大きくしたような車「ルーミー/タンク」が生まれました。軽ベースのような車ですが、プラットフォームはパッソと共有しています。
デザイン
ルーミーとタンクの違いは顔(フロントデザイン)だけです。異なるのはフロントバンパーとヘッドライト・フォグランプのデザインだけ。一応テールランプの内部カラーが違いますが、こんなものはオプションのレベル。単にバンパーを2種類選べるだけなのに全くの別車名にしているということです。
ボディ形状はライバルのスズキ・ソリオをほぼ踏襲しています。というか似すぎてて吐き気すら覚えます。フロントには水平バーが並び、横長の角張ったヘッドライト、2BOXトールワゴンの車体にリアスライドドア、Aピラーが2分割したデザインまでそっくりです。
要するにパクリですね。トヨタお得意の「他社が開拓してある程度売れるようになったジャンルに参入し、販売規模の力で客をかっさらう」という手法です。スズキ・ハスラー → ダイハツ・キャストなんかが好例ですかね。
ハイブリッドカーをプリウスで独自に開拓したのはかなり特殊な例です。だから今回の ソリオ → ルーミー/タンク がパクリに見えるのはいつものこと。
ソリオと中身まで同じなら車体の大きい軽自動車と解釈すべき車なのでしょう。詳しく見ていきましょう。
フロントデザイン
フロントだけは「ルーミー」と「タンク」で異なります。まずはルーミーを見てみましょう。
ルーミー外観デザインはアルファードと似た雰囲気です。ただ、フロントグリルがメッキなのは上位グレードのみです。
一方「タンク」はどことなくエスティマ風。
現行のタントカスタムなんかもそうですが、軽みたいに小さな車体に大型ミニバン風のゴテゴテしたデザインを乗せても、車体の小ささが目立って余計に貧乏くさくなるだけだと思うんですけどねぇ。
軽SUVのハスラーが売れたのって、SUVでありながら軽とユーザー層に合わせてほどよく可愛らしいデザインにしたからだと思うんですよ。
デザインが軽自動車っぽいので忘れていましたが、ルーミー/タンクは普通車(登録車)です。
リアデザイン
リアも軽トールワゴンの雰囲気ですね。相変わらずソリオとの似方がえげつないです。
リアデザインはルーミーとタンクで同一で、タンクの方はテールランプの内部が赤ではなくクリアになっています。
インテリアデザイン
ルーミーとタンクのインテリアは完全に同一です。公式サイトではなんと全く同一の画像を背景だけ白黒で変えるという無意味なことをしています。そんなことするなら同じ車名にしろっての。
最近のトヨタ車(というかダイハツ車)に主流の中央にシフトレバーやエアコンなどをまとめたデザインです。決してカッコ良くはないけど、最低限安っぽくはありません。よく見るとステアリングやらエアコンパネルやらは他のダイハツ車のものをそのまま流用しています。
なんだ、トヨタが開発してダイハツでも販売するトヨタ車だと思ったら、トヨタでも販売するダイハツ車でしたとさ。ダイハツ・トールの方がメインですよこれは(公式にもダイハツからトヨタへのOEMだとし言ってますね)。
でも邪悪なセンターメーターを使っていないだけまだマシですね。
スペック
ライバルであるスズキ・ソリオと比較してみましょう。
※ 追記:ちょっとマシなハイブリッドも追加されましたが、価格的にメリットは無いので表からは外しました。詳しくはこちら↓
トヨタ・ルーミー/タンク ダイハツ・トール |
スズキ・ソリオ |
|||
---|---|---|---|---|
全長 | 3,700-3,725 mm | 3,710 mm | ||
全幅 | 1,670 mm | 1,625 mm | ||
全高 | 1,735 mm | 1,745 mm | ||
車重 | 1,070-1,100 kg | 930-950 kg | ||
エンジン | 直列3気筒 | 直列4気筒 | ||
排気量 | 1.0L 自然吸気 | 1.0L ターボ | 1.2L 自然吸気 | 1.2L+モーター |
最高出力 | 69 ps | 98 ps | 91 ps | |
最大トルク | 9.4 kgm | 14.3 kgm | 12.0 kgm | |
最高出力 | - | - | - | 3.1 ps |
最大トルク | - | - | - | 5.1 kgm |
燃費 | 24.6 km/L | 21.8 km/L | 24.8 km/L | 27.8 km/L |
4.1 L/100km | 4.6 L/100km | 4.0 L/100km | 3.6 L/100km | |
価格 | 146 万円~ | 180 万円~ | 145 万円~ | 170 万円~ |
車体サイズはほぼ同一ですが、幅はルーミー/タンクの方が 4.5cm 大きいです。全高は1,550mmを超えているので、軽のタントなどと同様に一般的な機械式駐車場への駐車はできません。全幅より全高が高く車重も軽めなので、強風時や急ハンドルでの横転のリスクが比較的高いということも承知しておきましょう。
自然吸気エンジンの方で見ると、車体サイズから燃費、価格まで似せすぎです。でも価格が同じならソリオの方が有利ですね。直列4気筒の方が3気筒よりも騒音や振動が確実に優秀ですし、排気量は2割増し、燃費もソリオの方が上です。車重もソリオの方が軽いので、確実にソリオの方が良い走りをします。
自然吸気エンジン以外では、ソリオがマイルドハイブリッドなのに対して、ルーミー/タンクはダウンサイジングターボです。
ハイブリッドとダウンサイジングターボのどちらが良いかは走る環境や走り方にもよりますが、ソリオのハイブリッドはモーターが発進にしか使われないので走りの向上には期待できません。しかも燃費がちょっと良くなるだけで、燃料費で価格差の元は取れません。
ソリオにはモーター単独での走行も可能なハイブリッドも追加されましたが、ちょっとマシになった程度で価格的にメリットはありません。
ソリオのハイブリッドにするくらいなら、ルーミー/タンクのターボをお勧めします。高速を走れる程度の走りを求めるなら、よっぽどヴィッツを買った方が良いとは思いますけどね。
電動リアスライドドア
走行以外の装備で見ると、トールワゴンの目玉、電動リアスライドドアはソリオと同じく助手席側は全グレード標準装備、運転席側は一部グレードに標準装備です。そこまで似せなくても。
ソリオは184万円の「HYBRID MZ」から両側標準装備になりますが、ルーミー/タンクは162万円の「G」から両側標準装備です。ここだけ勝ってますねルーミーさん。
自動ブレーキ
ルーミー/タンクは自動ブレーキがグレードによって(実質オプション扱い)装備できます。自動ブレーキシステムはダイハツの軽自動車に使われる「スマートアシスト2」です。
スマートアシスト2はレーザーレーダー式で、スズキ・ソリオにオプション装着できるステレオカメラ式の自動ブレーキに比べると大きく性能が劣ります。詳しくは以下の記事で解説しています↓
ルーミー発売からわずか1ヶ月後にスマートアシスト3が発表されたことで、なんだか残念な感じですね。最初のマイナーチェンジで3に切り替わることでしょう。
[nilnk url="https://newcars.jp/news/daihatsu-smart-assist-3/"]
まとめ
見れば見るほどソリオのまんまです。気持ち悪いほどに。後発なのに自然吸気エンジンモデルがソリオに勝ててないのはどういうことなんでしょうか。
結局どっちも車体サイズとナンバープレート以外は軽自動車なので過度な期待はしない方がいいでしょう。あくまで軽よりはマシというだけで、普通のコンパクトカー(パッソやソリオなどを除く、ヴィッツ以上の車)に比べると走りや内外装の低質さは否めないでしょうね。あくまでこれはセグメント区分の最下層、Aセグメントですから。
ルーミー/タンクのグレード構成&価格のまとめはこちら↓
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