日本だけハイブリッドが売れる3つの理由。プリウス・アクアばかり売れるのはなぜ?

     2017/02/14

prius

日本では売れに売れているハイブリッド。しかもトヨタのハイブリッド専用車「プリウス」と「アクア」がやけに人気です。街中を走っているとプリウスとアクアに周りを包囲されるなんてことがザラにあります。

なんでハイブリッドがこんなに売れるんでしょうか? どうしてアメリカやヨーロッパでは日本ほどハイブリッドが売れないんでしょうか?

※ ケンカ売っている記述が多いので、ハイブリッドカーを所有されている方は読まない方が賢明です。

理由① 日本の道路事情

traffic

日本はハイブリッドカーに有利な国土だと言えます。

日本はあまり広くなく起伏に富んだ国土を持っています。このような国では一定の速度で長距離巡航するよりも、カーブや上り下りが多く加減速が多い運転を強いられます。高速道路の制限速度は世界的に見ても低く、人の移動ももっぱら都市内が多く数百㎞に及ぶ長距離移動は盆と正月に限られる人が多いですね。

さらに都市部では渋滞が激しく、走行している大半が停止しているなんてこともよくあります。信号が変わって発進加速しても、すぐに次の信号で止められてしまう。日本はそんな環境です。

燃費の面で、ガソリンエンジン車が最も不得意(不効率)なのは発進時。たくさんのガソリンを噴いてもトルクの立ち上がりが遅く、発進から低速域での加速では非常に効率が悪くなります。

アメリカやヨーロッパの広大な大地を延々と定速で走るには、ハイブリッドはただの重しにしかなってくれません。ヨーロッパでは欧州メーカーの推進もあってダウンサイジングターボが人気です。

理由② イメージ戦略

eco

日本でハイブリッドが売れている最大の理由はイメージ戦略に成功しているからです。

極端な話、ハイブリッドカーを買う人の大半は「環境に優しい車に乗っている」という優越感に浸るためといっても過言では無いと思います。

なぜなら、ほとんどの人にとって以下の式が成り立つからです。

  • ハイブリッドカーの低燃費で減る燃料費  <  ガソリンエンジン車とハイブリッド車の価格差

つまり、ハイブリッドを買っても得にはなりません

ホンダ・フリードなんてハイブリッドの元を取るには20万キロ以上走らないといけません。計算して比較する場合はこちら↓

なのに買う人が多いのはイメージ戦略が功を奏しているからです。

ハイブリッドカーのイメージ

ハイブリッドカーにはこのようなイメージになっていると思います。

  • 環境に優しい
  • 燃費が良い
  • 高価

間違いではないものの、的確でもないこのイメージ。これがハイブリッド戦略の要です。損得勘定ではなくイメージで購入している人が多いからです。

環境負荷

ハイブリッドカーが環境に優しい? そんなことはありません。ガソリンを燃料として使って排気ガスを出しながら走るハイブリッドカーが環境負荷が無いはずありません。「マシ」なだけ。環境を考えるなら自転車や電車、少なくともEVやFCVの方がいいでしょう(これらの環境負荷は別途記事にします)。

でも「環境に優しい車を所有している」という満足感が得られます。

燃費

燃費が良いのは間違いではありませんが、最近では非ハイブリッドでもカタログ燃費で30km/h走る車が登場したり、理由①にあるようにハイブリッドに不利な高速道路ではダウンサイジングターボの方が有利だったりします。

でも「ハイブリッドは燃費が良いから維持費も安心」というイメージになっています。燃費の単位が分かりにくくてなんだかお得に見えるという側面もあります。

価格

たしかにハイブリッドは同クラスのガソリンエンジン車より高価ですが、ここで言いたいのは「なんとなく高そうなイメージ」ということです。つまりハイブリッドカーに乗っているだけで金持ちそうに見えるというイメージです。周りはともかく、買っている本人はそういうイメージの場合が多いと思います。

 

ちなみにプレミアムブランドのレクサスでは、ハイブリッドの価値を「低回転時のトルク」と「モーター特有の静かさ」としています。

理由③ ハイブリッド専用車

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トヨタのハイブリッド専用車「プリウス」「アクア」が売れに売れています。なぜでしょうか?

ハイブリッドが選べる車はトヨタにはプリウス・アクア以外に15車種、ホンダにはハイブリッド専用の「CR-Z」以外に10車種あります。なのにプリウス・アクアばかりバカ売れしているのには理由があります。

それは、「ハイブリッドカー」に乗っていることを実感・アピールしたいからです。

理由②のイメージにもあるように、多くの人はハイブリッドカーを損得勘定ではなくイメージで購入しています。とすれば「見るからにハイブリッドカー」である必要が出てくるわけですね。

  • 「環境に優しい車に乗ってるんですね」
  • 「ハイブリッドカーってお高いんじゃないんですか」

とか言われたいわけです。なのでカローラハイブリッドやフィットハイブリッドではダメなんです。「プリウス」「アクア」はハイブリッドカーそのもの。それが重要なんです。

つまり「見栄」ですね。「少しでもお金持ちに見られたい」という日本人らしい見栄っ張りさですね。

ホンダがもっとハイブリッドカーを売りたいなら、ハイブリッド専用車を設定するか、少なくともハイブリッド専用車名と専用の顔(この際中身は一緒でもいい)を用意すべきだと思います。イメージで買ってもらう車には、誰が見てもそうだと分かるアイコンが必要なんです。

iPhoneやiPod、MacBook Airが売れたのは、使い勝手の良さや美しいデザインだけでなく、誰が見てもApple製品だと分かるアイコンがあったからです。クリックホイールやホームボタン、白いイヤホンケーブル、シルバーの筐体に白く光るアップルマーク。ドヤリング(スターバックスでドヤ顔でMacBook Airを広げる行為)なんて言葉ができたのも、分かりやすいアイコンがあったからですね。

まとめ

プリウスを買う人の心理

  1. 不景気で車に掛けられるお金が減ってきた。
  2. でも安い車に乗りかえるのは嫌だ。車格も落としたくない。(つまり「見栄」)
  3. ハイブリッドなら車体価格は高いけど、維持費が比較的安い。維持費は安くなっても「300万円(例)の車に乗っている」ことには変わりない。
    • プリウスは車格に縛られない存在。カローラ → マークX → クラウン → セルシオ(レクサス・LS)みたいなヒエラルキーとは別の存在。
  4. その上「環境に優しい車に乗っている」高貴な人間になれる。

アクアを買う人の心理

  1. 不景気で車に掛けられるお金が減ってきた。
  2. でも見るからに安い車(軽自動車)に乗り換えるのは嫌だ。(つまり「見栄」)
  3. ハイブリッドカーなら「安い車」には見られない。
    • アクアはハイブリッドカーとしては異様に安い。でも削っているのは主に内装の品質なので、外から見れば分からない。
  4. その上「環境に優しい車に乗っている」高貴な人間になれる。

需要をうまく突いた、実にうまい商売だと思いませんか?

プリウス、アクアの試乗レビューはこちら↓

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