[軽自動車] ダイハツ・スズキ・ホンダの自動ブレーキまとめ。作動速度や性能がバラバラなので注意!
2017/02/03
ここ数年で自動ブレーキ装着車が一気に増えてきましたね。最近では軽自動車への装備も増えてきました。
でも「自動ブレーキ」と一口に言っても、メーカーや認識方法によって作動する範囲はバラバラです。肝心なときに動いてくれなければ意味が無い! ということで、軽自動車の主要メーカー3社それぞれの自動ブレーキをまとめました。
※ ブレーキやエンジン出力抑制の機能だけに注目しているので、先行車や車線逸脱の警報機能は取り上げていません。
※ スマートアシスト3の情報を追加しました。
目次
軽自動車の自動ブレーキ メーカー別まとめ
メーカー | ダイハツ | スズキ | ホンダ | |||
---|---|---|---|---|---|---|
システム名 | スマートアシスト3 | スマートアシスト2 | デュアルカメラ ブレーキサポート |
レーダー ブレーキサポート |
シティブレーキ アクティブシステム |
|
自動ブレーキ | 方式 | ステレオカメラ | レーザー光 シングルカメラ |
ステレオカメラ | レーザー光 | レーザー光 |
歩行者 | ○ | - | ○ | - | - | |
衝突回避 | 30 km/h 以下 | 20 km/h 以下 | 50 km/h 以下 (対歩行者は 30km/h以下) |
15 km/h 以下 | (不明) | |
被害軽減 | 80 km/h 以下 (対歩行者は 50km/h以下) |
30 km/h 以下 | 100 km/h 以下 | 30 km/h 以下 | 30 km/h 以下 | |
誤発進抑制 | 前進 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
後退 | ○ | ○ | - | - | - | |
JNCAP評価 被害軽減ブレーキ (32.0点満点) |
(未評価) | 18.7~19.6 点 | 31.8~32.0 点 | 8.8~9.0 点 | 8.0~9.1 点 | |
代表車種 | タント | ムーヴ | スペーシア | 先代ワゴンR | N-WGN |
※ 回避・軽減速度は相手が停車している場合。
表で見ると、明らかにスズキのデュアルカメラブレーキサポートが優秀ですね。カメラ式なので歩行者も認識しますし、衝突回避/被害軽減が可能な速度も高いです。新型ワゴンRに装備されている「デュアルセンサーブレーキサポート」もデュアルカメラブレーキサポートと同等性能(歩行者認識や回避可能速度)です。
ダイハツもスズキに対抗して「スマートアシスト3」で歩行者認識に対応しました↓
第三者機関のJNCAP評価でもスズキのデュアルカメラが飛び抜けていますね。スズキ・ハスラーでは満点となる32.0点を獲得しています。ダイハツのスマートアシスト3が何点を取るのか気になるところです。
自動ブレーキ装備にかかる費用(オプション費)はどれも6~8万円程度であまり差がありません。性能差が大きいので、スマートアシスト3とデュアルカメラブレーキサポートのコストパフォーマンスが高いですね。ただし、スズキ・ハスラーに関しては「デュアルカメラブレーキサポート」のオプション装着ができず、トップグレード「X」のみの装備となっています。下の「G」と比べると約30万円アップなので、他の装備内容に魅力を感じなければ割高となります。
各社の詳しい特徴や作動条件を紹介します。
ダイハツ/トヨタ/スバル ― スマートアシスト3/2
ダイハツの自動ブレーキがスマートアシストです。ダイハツで生産してトヨタ/スバルで販売(OEM供給)する、トヨタ販売車(ルーミー/タンク,ピクシスなど)やスバル販売車(ステラ,プレオなど)の自動ブレーキも「スマートアシスト」です。
1種類のセンサーだけではなく、前方のレーザーレーダーと単眼カメラ、後方のソナーセンサーの3つを合わせて「スマートアシスト2」という装備にしています。
メーカー | ダイハツ | ||
---|---|---|---|
システム名 | スマートアシスト3 | スマートアシスト2 | |
自動ブレーキ | 方式 | ステレオカメラ | レーザー光 |
条件 | 自車速度:4~80キロ 相手との距離:60m以内 速度差:80キロ以内 (対歩行者は30m・50キロ以内) |
自車速度:4~50キロ 相手との距離:20m以内 速度差:30キロ以内 |
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作動内容 | 速度差30キロ以下:衝突回避 速度差30~80キロ:被害軽減 (対歩行者は30~50キロ) |
速度差20キロ以下:衝突回避 速度差20~30キロ:被害軽減 |
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誤発進抑制 | 方式 | 前方:ステレオカメラ 後方:超音波ソナー |
前方:レーザー光 後方:超音波ソナー |
条件 | 前方:4m以内に障害物 後方:2~3m以内に障害物 前進で強くアクセルを踏むと作動 |
前方:4m以内に障害物 後方:2~3m以内に障害物 前進で強くアクセルを踏むと作動 |
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作動内容 | 警報+エンジン出力抑制 | 警報+エンジン出力抑制 | |
採用車種 | タント | ムーヴ、キャスト、ウェイク、 トール、ブーン 、キャディー |
「3」と「2」では認識方法が異なります。認識範囲は「3」の方が広いですね。
誤発進抑制は、3社で唯一後退時にも作動します。普段バック駐車する人の場合、後退時のブレーキの踏み間違いやシフトの入れ間違い(前進するつもりがRに入っていた)でも作動するのは嬉しいですね。
「2」の歩行者認識は警報のみ
スマートアシスト2の場合、シングルカメラも装備しているので歩行者も認識できますが、こちらは警報のみでブレーキは作動しません。認識速度もスズキのデュアルカメラ並みに高いですが、あくまで警報のみなので運転手が認識してブレーキを踏まなければ(レーザーも認識できなければ)そのまま衝突します。
衝突警報 | 方式 | シングルカメラ |
---|---|---|
条件 (対車両) |
自車速度 4~100キロ 相手との距離80m以内 速度差60キロ以内 |
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条件 (対歩行者) |
自車速度 4~50キロ 相手との距離40m以内 |
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作動内容 | 警報のみ |
シングルカメラでは、自動ブレーキを作動させるほどの信頼性が担保できなかったのでしょう。カメラの顔認識がたまに誤作動するように、シングルカメラによる画像認識の信頼性はまだあまり高くありません。歩行者認識は「3」が必要になります。
スズキ ― デュアルカメラ/レーダーブレーキサポート
スズキは他の2社に比べて性能が圧倒的に高い自動ブレーキデュアルカメラブレーキサポートを搭載しています。ただし、デュアルカメラブレーキサポート未採用車は、他社と同じレーザーレーダー式の自動ブレーキです。
メーカー | スズキ | ||
---|---|---|---|
システム名 | デュアルカメラブレーキサポート [デュアルセンサーブレーキサポート] |
レーダーブレーキサポート | |
自動ブレーキ | 方式 | ステレオカメラ [単眼カメラ+レーザー光] |
レーザー光 |
条件 | 自車速度:5~100キロ | 自車速度:5~30キロ | |
作動内容 | 速度差50キロ以下:衝突回避 (対歩行者は30キロ以下) 速度差50~100キロ:被害軽減 |
速度差15キロ以下:衝突回避 速度差15~30キロ:被害軽減 |
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誤発進抑制 | 方式 | 前方:ステレオカメラ [レーザー光] 後方:なし |
前方:レーザー光 後方:なし |
条件 | 自車速度:10キロ以下 4m以内に障害物 アクセルを強く踏み込む |
自車速度:10キロ以下 4m以内に障害物 アクセルを強く踏み込む |
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作動内容 | エンジン出力抑制 | エンジン出力抑制 | |
採用車種 | スペーシア、ハスラー [新型ワゴンR] |
ワゴンR、ラパン、アルト |
デュアルカメラの方は、速度差50キロ以下でも衝突回避できる可能性があり、歩行者の認識も可能です。性能的には名高きスバルの「アイサイト(ver.2)」に近いレベルを達成していて、第三者機関の評価でもアイサイトに次ぐ高い評価(予防安全の総合評価が46点満点の45.8点。アイサイトは満点の46点)を受けています。
一方レーザー光の場合、停止できるのは15キロまでとかなり狭いです。せいぜい渋滞中のノロノロ運転での追突回避ぐらいにしか使えませんね。
普通車では、ソリオとイグニスが「デュアルカメラブレーキサポート」を採用しています。
ホンダ ― シティブレーキアクティブシステム
ホンダの小型車向け自動ブレーキがシティブレーキアクティブシステムです。
ホンダの上位車種にはより高度な自動ブレーキが採用されています。「シティブレーキアクティブシステム」は軽自動車向けに性能(とコスト)を落として装備した自動ブレーキです。
メーカー | ホンダ | |
---|---|---|
システム名 | シティブレーキアクティブシステム | |
自動ブレーキ | 方式 | レーザー光 |
条件 | 自車速度:5~30キロ | |
作動内容 | 衝突回避または被害軽減 | |
誤発進抑制 | 方式 | 前方:レーザー光 後方:なし |
条件 | 自車速度:10キロ以下 前方に障害物がある アクセルを強く踏み込む |
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作動内容 | エンジン出力抑制 | |
採用車種 | Nシリーズ(N-BOX、N-BOX+、N-BOXスラッシュ、 N-ONE、N-WGN)、S660 |
作動範囲は30キロまでとかなり狭いです。それに、回避可能な(停止できる可能性がある)速度範囲が明記されていません。他のメーカーのレーザーレーダー式と技術的には同じなので、おそらく15~20キロ程度までが回避可能範囲でしょう。
普通車でも、フィット、シャトル、グレイスに同じ技術が採用されています。
まとめ
並べてみると、スズキのデュアルカメラブレーキサポートが光りますね。普通車でもまだ一部車種に採用されている程度の高性能自動ブレーキを、他社に先駆けて軽自動車に装備しています。普通車との上下関係(装備による差別化=出し惜しみ)をあまり考えず軽自動車にまい進するスズキらしいなぁと思います。
普通車のトヨタ・ルーミー/タンク&ダイハツ・トールもダイハツの「スマートアシスト2」なので、スズキのデュアルカメラ採用軽自動車より劣る性能だということです。
安全に関わるところですから、他社ももっと積極的に新技術・高性能技術を採用していって欲しいところですね。第三者機関のテストでは、レーザーレーダー式を採用する自動ブレーキ搭載車が結構前方車(を模した壁)に激突していってましたよ。恐ろしい!