欧州でトヨタハイブリッドが好調な理由に迫る!

   

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ヨーロッパでトヨタのハイブリッド販売が好調です。その理由はどこにあるのでしょうか?

分析すると日本とは違う戦略・違う理由で販売を伸ばしてきたことが伺えます。

2016年上半期の実績

トヨタの欧州市場におけるハイブリッド販売が好調です。

2016年上半期(1~6月)のハイブリッド車の総販売台数(トヨタ・レクサス合算)は145,160台。前年比は44%増と大きく伸びました。特にトヨタ(非レクサス)に限ると52%増とかなりの伸び率です。

車種別ではオーリスとRAV4が躍進

昨年からの変化を車種別で見てみましょう。

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ステーションワゴンも用意されるオーリス

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トヨタ・オーリス ハイブリッド

トヨタブランドではCセグメントハッチバックのオーリスが躍進しました。オーリスのハイブリッド仕様は先代(初代)からありますが、今年の4月に日本にも導入されました。

欧州ではオーリスをステーションワゴンに仕立てた「オーリス ツーリングスポーツ」というのも販売されていて、そのハイブリッド仕様も用意されています。これもオーリスに含まれています。

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トヨタ・オーリス ツーリングスポーツ

ハッチバックにステーションワゴンという構成は、同じくCセグメントのフォルクスワーゲン・ゴルフに用意されるステーションワゴン版「ゴルフ ヴァリアント」と同じですね。格上のDセグメントワゴンにせず、Cセグメントを伸ばしただけなのでやや安価になります。

日本国内だと、ホンダ・フィットに対するフィットシャトルがBセグメントのステーションワゴン版です。ただ、フィットの大衆イメージを出さないためか無意味に名前が「シャトル」だけになりました。

ハイブリッドが追加されたRAV4

トヨタ・RAV4 ハイブリッド

トヨタ・RAV4 ハイブリッド

SUVのRAV4には2015年後半にハイブリッド仕様が追加されました。

3代目までは日本でもRAV4が販売されていましたが、あまり売れなくなってきたことと、プラットフォームを共有するハリアーの販売に集中させるため、現行4代目は販売されていません。

レクサスはやや増加

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レクサスは全体で12%増となりました。

車種別では中型SUVのNXが昨年・今年とも最多。大型SUVのRXは2倍超えです。相変わらずのSUV人気ですね。

欧州でもハイブリッドが売れるようになってきた

日本では圧倒的大人気を誇るハイブリッド。ハイブリッドと軽ばっかりが売れる(私的には)残念な世の中です。

でも日本以外では日本ほどハイブリッドが売れていません。理由は以下の記事の通り。

でも最近は欧州で伸びてきましたね。どういうことでしょう?

そもそも台数が少ない

売れてきたとは言っても、そんなに多くはありません。

上半期の欧州全体のハイブリッド販売台数は、日本でのプリウスのみの販売台数よりも少ないです。ハイブリッドの販売比率はまだ30%程度(レクサス含む)です。

車種の特徴がまるで違う

売れている車種の傾向は日本とまるで異なります。

日本で最も売れているのは新型プリウスです。2位のアクアの1.5倍以上売れています。一方欧州ではプリウスは全然売れていません。2月に新型が発売されたにも関わらずです。

イメージではなく品質で売れてきた

日本でハイブリッドが売れた大きな理由は、イメージと専用車種による「見栄」「環境意識のアピール」だと思います。

でも欧州で売れているのは専用車種ではないオーリスハイブリッドやヤリスハイブリッドです。

トヨタ・ヤリス。日本ではヴィッツと呼ばれている車です。日本では専用車種の方が売れるので、「ヴィッツハイブリッド」では売らず、少しだけ内外装を変えて「アクア」としてバカ売れしています。

あれが「ヴィッツハイブリッド」だったらこんなにも売れていなかったでしょう。その証拠がアクアほど売れていないフィットハイブリッドです。

欧州でオーリスやヤリスのハイブリッド仕様が売れてきたのは、イメージや見栄ではない部分でハイブリッドが評価されてきたからでしょう。ハイブリッドのメリットは何も燃費だけではありません。静粛性やスムーズさ、低振動、発進の力強さなどなど。大きなバッテリーを積んでいるので、エンジンをかけていなくてもエアコンや車内電装品を稼動することもできます。

世界のハイブリッド車の中でも、トヨタ式ハイブリッドは制御がスムーズで品質の高さを感じます。そういった面が評価されてきたのでしょう。私は正直ハイブリッドが好きではありませんが、レクサスのハイブリッド車は確かに素晴らしい完成度でした。

まとめ

日本のようなイメージ先行ではなく、欧州ではコストや走行性能が厳しく評価されます。極端な話、日本では戦略や宣伝次第でも売れてしまいますが、欧州では良いものが売れ、悪いものは売れません。

トヨタがハイブリッド販売に力を入れているのはもちろんですが、トヨタ式ハイブリッドの質が欧州でも評価されてきたということでしょうね。

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