ロードスターとフィアット/アバルト124スパイダーのスペック比較

     2016/12/15

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マツダ・ロードスターと、兄弟車のフィアット・124スパイダー/アバルト・124スパイダーを比較してみました。

アバルト版の124スパイダーは日本でも発売されるとの噂がありますので、今のうちに予習しておきましょう。

124スパイダーの試乗レビューはこちら↓

ロードスター と 124スパイダー

歴代マツダロードスター

歴代マツダロードスター

現行のマツダ・ロードスター(4代目ND型)は、アルファロメオ(フィアットグループ)との共同開発でアルファロメオ版が登場すると発表されました。

その後、アルファロメオのプレミアム化に伴って、アルファロメオブランドからではなくフィアットブランドから登場することになりました。それがフィアット・124スパイダーです。

一応マツダとフィアットの共同開発となっていますが、完全にマツダ主導のクルマ作りになっています。詳しくは以下の記事をご覧ください↓

スペック比較

3台のスペックを見てみましょう。

ATは車重や燃費などの数値が異なるため、ここではMT車のみを取り上げています。また、ロードスターはベースグレードの「S」の数値です。

マツダ
ロードスター
ND-1-2-s
フィアット
124スパイダー
fiat_124_spider_08-cut
アバルト
124スパイダー
abarth-124spider-cut2
駆動方式 FR
全長 3,915 mm 4,054 mm
全幅 1,735 mm 1,740 mm
全高 1,235 mm 1,233 mm
ホイールベース 2,310 mm
車重 990 kg 1,050 kg 1,060 kg
トランク 130L 140L
トランスミッション 6MT
エンジン名 SKYACTIV-G マルチエア
エンジン形式 直列4気筒 DOHC 直列4気筒 SOHC
排気量 1,496cc ガソリン 1,368cc ガソリンターボ
最高出力 131ps / 7,000rpm 140ps / 5,000rpm 170ps / 5,500rpm
最大トルク 15.3kgm / 4,800rpm 24.5kgm / 2,250rpm 25.5kgm / 2,500rpm
0-100km/h 加速 8.3秒* 7.5秒 6.8秒
最高速度 204 km/h 215 km/h 232 km/h
パワーウェイトレシオ 7.6 kg/ps 7.5 kg/ps 6.2 kg/ps
JC08燃費 17.2 km/L
欧州 都市燃費 12.7 km/L* 11.8 km/L
欧州 郊外燃費 20.4 km/L* 19.6 km/L
欧州 複合燃費 16.7 km/L* 15.6 km/L
CO2排出量 139g/km* 148g/km

*:欧州仕様の数値。1.5L・1,050kg。

ベースとなる車体は同じですがエンジンが異なるため、スペック上の数値は結構違っています。

フィアットとアバルトで燃費が同じなのはどうよって感じですが、公式サイトにこの値が載っていました。燃費測定をするような低回転域での走りは同じで、単に踏んだときにどこまでパワーを出すかのECUセッティングと補機類の安全マージンの違いなのでしょうね。はいきりょうは同じですし。

ボディサイズ

fiat_124_spider_08-cut

ボディサイズは124スパイダーの方がやや大柄です。特に全長は14cmも大きく、4mの枠に収まりません。

歴代マツダ・ロードスターの全長は、初代から順に 3,970→3,955→3,995(MC後4,020)→3,915 となってきました。唯一3代目の後期型(通称NC2, NC3)は4mを超していましたが、4代目では歴代最小となりました。

124スパイダーは歴代最小のNC後期よりも長いということですね。同一シャシーでホイールベースが同じですから、オーバーハングが長くなったということです。

エンジン

最大の違いはエンジンです。

ロードスターに搭載されているのは、スカイアクティブテクノロジーのひとつ、SKYACTIV-G 1.5です。自然吸気らしい軽やかな吹け上がりが魅力です。パワーは131馬力と昨今のスポーツカーとしては控えめですが、伸びやかな高回転域は往年のライトウエイトスポーツカーを思わせるものがあります。

一方124スパイダーに搭載されているのは、フィアットグループ渾身のエンジン「マルチエア」です。表を見て「今さらSOHCかよ」と侮るなかれ。カムが1つなのは排気しかカム駆動していないからです。

multiair2-cut

マルチエアエンジンでは、吸気バルブを油圧で動的に制御しています。走行シーンに応じて半開け・早閉じ・2度開け・全開と制御を変えることで、性能と燃費を両立しているわけです。

マルチエアエンジンのレッドゾーン開始は6,500rpmです。6,500rpmでの吸気工程はわずか0.004秒です。これを正確に制御するなんてとんでもない技術ですよ。

技術はともかくとしても、両者の大きな違いは自然吸気かターボかです。124スパイダーは今をときめくダウンサイジングターボです。

流行のダウンサイジングターボとは?メリットと欠点を徹底解説

 

マルチエアは愛車のアルファロメオ・ジュリエッタを始め、アルファロメオ・MiTo、フィアット・500Xを試し、SKYACTIVは現行ロードスターを一日レンタルしたりデミオやアクセラに乗ってみました。

それぞれのエンジン搭載車を試した感想は、

  • SKYACTIV-G:スポーツカーらしい軽快さと盛り上がりを重視
  • マルチエア:実用域の走りやすさと踏んだときの重厚な速さ

といった感じでした。

マルチエアが124スパイダーに載ったらそりゃ速いんでしょうが、日本でロードスターを求める顧客のほとんどはあの感じを求めてはいないんだと思います。もりもりトルクのマルチエアなら上りでロードスターを置いていける(実際に2代目ロードスターを置いていけました)とは思いますが、その分軽やかなエンジン&車体を使い切る感じは減ってしまうんでしょうね。

フィアットとアバルトの差分

abarth-124spider-cut

アバルト・124スパイダー

1.4Lマルチエアエンジンで、140馬力と170馬力という構成は、アルファロメオ・MiToとアルファロメオ・ジュリエッタに搭載されているエンジンとほぼ同じでしょう。特にアバルト版はジュリエッタと数値が同一です。

実用域で走っている分には、車体が同じなら両者の違いはあまり感じないと思います。燃費が同一なことから低回転域でもトルクを感じさせるようなチューニングにもなっていないと思います。

ただ、アクセルを大きく開いたときの走りは異なります。MiToの全開加速は明らかにジュリエッタよりも大人しく、124スパイダーの車体の軽さを考えても「暴れるような加速」にはならないでしょう。

ジュリエッタのフル加速は、1,400kgの車重であってもMiToを上回る加速感があります。これが1,050kg・FRの車体に載ったらと思うとワクワクします。ロードスターのような軽やかな走りとは全く異なる、暴れサソリの走りも体験してみたいものです。

まとめ

私は正直ロードスターの方が2シーターオープンスポーツの性格に合っていると思います。ですが、アルファロメオ・4Cのようにダウンサイジングターボのマルチエアエンジンを載せた2シータースポーツカーも興味をそそられます。

似たようなエンジンで中途半端に作ることなく、同じ車体ながら特徴の異なるエンジンで違いを出してきたのでしょうね。日本での発売はまだ発表されていませんが、登場したら早速乗りに行ってみたいですね! → 乗ってきました! 124スパイダーの試乗レビューはこちら↓

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