オーリスハイブリッド試乗レビュー!悪くはないけど質はゴルフに勝てないし高い

     2017/01/12

auris-top-quant

トヨタ・オーリスのハイブリッド仕様を試乗してきました。

「トヨタが作った欧州車」+「トヨタ式ハイブリッド」の ちぐはぐ な組み合わせはどんな走りを見せてくれるのでしょうか?

オーリスターボの試乗レビューはこちら↓

SPONSORED LINK

トヨタ・オーリスってどんな車?

auris-03-cut

トヨタ・オーリスは、トヨタのCセグメントハッチバックです。

ヨーロッパにおいてCセグメントは「標準的な実用車」としての地位を築いているので、よく売れます。フォルクスワーゲン・ゴルフを代表に、BMW・1シリーズ、ルノー・メガーヌ、ボルボ・V40、アルファロメオ・ジュリエッタなどなど、欧州各社の主力車種がせめぎ合うCセグメントハッチバック。そんなヨーロッパ向けにトヨタが用意しているのがオーリスです。

一方で日本ではCセグメントはあまり売れません。実用車の代表はフィットやヴィッツなど、格下のBセグメントコンパクトカーが占めています。国産Cセグメントというと、マツダ・アクセラとスバル・インプレッサが売れているくらいで、他はほとんどありません。

年間2~4万台程度売れているアクセラに比べ、オーリスは1万台にも届きません。それにマーケティング的にも本気で売る気は無さそうで、オーリスを買うくらいならアクアかプリウスを買ってくれという感じがぷんぷんします。「ヨーロッパ向けの車を日本で作っているから、ついでに日本でも売ってやんよ」という感じで売る気の無い車です。

ハイブリッドの追加

2015年4月に、オーリスのハイブリッドモデルが追加されました。今さらかよ、という感じがあるのは、ヨーロッパでは初代オーリス(現行は2代目)の頃からハイブリッドが用意されていたからです。

ハイブリッドが用意されてこなかった理由は単純で、プリウスを売りたいからです。ハイブリッドはイメージ戦略で顧客を獲得しています。ハイブリッド専用車なら「なんかハイブリッドが良いらしい」という雰囲気買いの人がいますが、専用車じゃないと「ガソリン車とハイブリッド車のどっちが得なんだろう」とマジメに比較されてしまいます。比較されたらハイブリッドのが不利(ガソリン代で元は取れないから)なので扱わなかった、ということです。この辺りの詳しくはこちら↓

今さら追加された理由は、ハイブリッドじゃないと売れなくなってきたからです。国内でハイブリッド車が一定の地位を築いたことで、ハイブリッド車の指名買いが増えてきました。するとハイブリッドじゃない車種は外されてしまいます。ハイブリッド車が十分に有名になったことで、併売することのデメリットよりメリットの方が勝ったということです。

得でもなんでもないのに、ハイブリッド神話みたいになっているんですよ。スズキなんかはモーター発進すらできないのに「ハイブリッド」と名乗ったりしているほどですからね。

レクサス・CTとの共通点

lexus-ct-cut

レクサスの最小・最廉価車「CT」は、オーリスと兄弟車の関係にあります。オーリスのハイブリッド仕様車と全く同じエンジン・モーターを搭載していて、車体サイズも数センチ程度の差、燃費も同一です。ただ、「レクサスであること」、内外装品質、静粛性などの差によってCTはオーリスより約100万円高いです。

デザイン

外装デザイン

auris-front-cut

フロントは2015年のマイナーチェンジで結構見れるデザインになりましたね。特別良くはありませんが、現行トヨタ車の中ではカッコいい方です。オーリスと同じく欧州向けのアベンシスもまともな顔をしているので、日本人が変なのでしょうか。トヨタの日本向け車種は血の涙とか大型ミニバン風とか奇抜なのばっかですよね。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

フォルクスワーゲン・ゴルフ

総じてCセグメントのベンチマーク・ゴルフと似た雰囲気ではありますが、オーリスの方が垢抜けた感じがしますね。フロントは、ね。

リアデザインが残念

リアはかなりカッコ悪いです。

オーリスのリア

トヨタ・オーリス

アルファロメオ・ジュリエッタ

アルファロメオ・ジュリエッタ

イタリアのアルファロメオ・ジュリエッタを劣化コピーしたとも言われていますが、いくらなんでも劣化しすぎです。ハッチの形もテールランプの形もバランスが悪くて、整った感じがまるでありません。ハッチの取っ手の位置や、リアドア後方の窓、リアスポの形状、どれも共通した思想なんてものは無く、まるでバラバラにデザインしたモノを寄せ集めたみたいです。

レクサス・CT

レクサス・CT

兄弟車のレクサスだって大概ダサいというかカッコ悪いですが、オーリスに比べればだいぶまともです。リアは基本水平基調。ハッチの形状やテールランプはセダン風に見えるように意図したデザインになっていたり、リアガラスが左右に大きく伸びていたりとデザインに思想を感じます。

テールランプはランボルギーニのパクリ!?

auris-tail-cut_logo

テールランプは2015年のマイナーチェンジでライン状に光るようになりました。こんな小手先の変更ではリアのダサさはまったく改善されません。しかもこの横Y字デザイン、なんだかランボルギーニを彷彿とさせます。

aventador-cut_logo

ランボルギーニ・アヴェンタドール

でも実際に見てみると向きが逆だしそんなに似ていませんね。と思ったら、2013年に発表された限定生産のスーパーカー「Veneno(ヴェニーノ)」がソックリでした。

ランボルギーニ・ヴェニーノ

ランボルギーニ・ヴェニーノ

自動車デザインが意図的でなくても他と似てしまうのは、ある程度仕方のないことかもしれません。でもどうもトヨタ車って何かに似ていると思わせる車が多いんですよね。

EU風ナンバープレートを付ける卑屈さ

auris-01-cut

オーリスの展示車にはヨーロッパのナンバープレート風の車名板が付けられています。なんだか欧州車に嫉妬しているみたいで痛々しいです。普通に日本車であることを誇れば良いのに。

それに(トヨタ的には困るでしょうが)欧州車が欲しいなら「トヨタが作った欧州車」なんかじゃなく、普通に欧州車を買えば良いんですよ。オーリスのハイブリッドや1.2Lターボだと約260万円なので、フォルクスワーゲン・ゴルフの1.2Lターボ(250万円~)より高いんですよ。

「欧州車がうらやましいけどトヨタを捨てられない」なんていう偏屈な発想に至る理由が謎です。

内装デザイン

auris-g-package-s

ハイブリッド Gパッケージの内装

試乗したのは標準の「ハイブリッド」より21万円高の「ハイブリッド Gパッケージ」です。Gパッケージだとシートがハーフレザー(合皮とスエードのコンビ)になるので質感は高いです。ただ合皮が白なので長期的には汚れが目立って大変でしょうね。

標準のシートは普通です。日本車らしく柔らかめですが、さほど悪くもありません。

auris-interior-cut_logo

インパネデザインはCセグメントとしては標準的です。トヨタ車にしてはまともですが、特別な上質さはありません。

シフトノブは、ハイブリッド車の場合はプリウスと同じく指先でつまむような小さなノブ、ハイブリッドでないAT/MTは普通のシフトノブです。

デザインではありませんが、フォルクスワーゲン・ゴルフなんかはドアを閉めた瞬間に車内に静寂が漂って、特別なクルマであると感じさせてくれます。アルファロメオやボルボは内装デザインに異質さやこだわりが感じられます。オーリスはそういう辺りが普通。まぁそこがトヨタらしさなのでしょう。

メーターが謎

auris-meter-2-cut_logo

メーターは2眼式。左側にはタコメーターにあたる特殊なメーターになっています。エンジン・モーターの出力状態を雰囲気で掴めるようにするメーターですが、雰囲気すら掴めませんでした。今どんな状態でどれくらい余裕があるのか、いまいちよく分かりません。同じくハイブリッドのゴルフGTEのメーターと似たような感じです。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTE

フォルクスワーゲン・ゴルフGTE

エンジニア的には「ハイブリッドの作動内容をそのまま表示しても分かりにくいだろうから、アナログメーターでなんとなく示すよ! どっちにしろ分かりにくいけど、ハイブリッドってそういうものだから許して!」といったところでしょうか。文系の人たちにはエンジンとモーターとバッテリーのイラストを描かれるよりは良いのかもしれません。

メーターの表示には青・白・緑・赤・黄と様々な色が雑多に使われていて統一感がありません。

giulietta-meter-2-cut2_logo

アルファロメオ・ジュリエッタ

同じCセグメントでも、イタリア車と比べるとデザインに対する意識の違いが明確になりますね。この時代に赤単色のインフォメーションパネルになっていますが、この方がメーターイルミやエアコンイルミなどと同じ色味で統一されて一体感がありますし、運転中に目障りになりません。

メーター周りがカラフルすぎて色に統一感がない。

SPONSORED LINK

走り

パワートレインは先代(3代目)プリウスと同じものを搭載しています。車体サイズと車重が近く、燃費も同一値なので走りはかなり似ています。

パワー感

オーリスはノーマルモード、EVモード、エコモード、パワーモードと4種類の走行モードが切り替えられます。

パワーモードなら、トヨタのこの価格帯の車とは思えないほどによく走ります。それもそのはず、1.8L+モーターという構成なので、モーターとエンジンが協調動作しているときはかなり高出力です。ただし、モーターを動作させるにはバッテリーを消費するわけで、この高出力を連続的に維持できるわけではありません。高速道路への進入や追い越しでは力を発揮するでしょう。アクセル操作に対する反応が機敏になるので、スポーツカーや高性能な車に乗り慣れていない人は乗りづらく感じるかもしれません。

一方エコモードは悲惨です。今まで乗ったどんな車のエコモードよりも加速しません。踏んでも全然速度が上がっていかないので、正直軽自動車以下の加速になります。発進加速ですら全然速度が上がっていかないのは致命的です。確かに燃費は良くなるでしょうが、日本の街中でこんな走り方をしていたら周りに迷惑です。これが使えるのはせいぜい都市部の渋滞くらいでしょうか。

ノーマルモードではトヨタ式はハイブリッドらしい滑らかで過不足無い走りです。エコモードほどではありませんが、あらゆる反応が穏やかなので疲れにくいことと引き替えに楽しさはありません。車を移動手段と捉えている人や老人にはいいかもしれません。でもこんな走りでヨーロッパの郊外を走れるのかは甚だ疑問です。向こうの人たち(国にもよる)は本気でアクセル踏みますからね。チンタラ走ってたら追突されますよマジで。ヨーロッパの人なら常にパワーモードで走っちゃうんでしょうかね。

トランスミッション

トヨタ式ハイブリッドなので電気式CVTです。いまエンジンがどんなでどれくらの余裕があるかなんてさっぱり分かりません。[余力が見えないので走り方が予測できない → 追い越しなどの加速ができるのか分からない → 追い越しを諦める → 燃費が良くなる]なんて図式も成り立つのかもしれません。

そもそもトヨタ式ハイブリッドにガソリンエンジン車のような操作感を求めてはいけませんね。今エンジンなのかモーターなのかすら分かりませんし。単に移動するだけならそれでも良いのかもしれませんが、そこに楽しさなんてものはどこにもありません。踏めば走る。それだけ。

静粛性

ハイブリッドの売りの一つ、モーターでの走行中は静粛性が非常に高いです。極低速域での静粛性は素晴らしい。

速度が上がるとエンジンが掛かりますが、全然気づきません。走行中にエンジンが停止するのも全然分かりません。これはエンジンが静かなのではなくて、車体の造りが甘すぎてロードノイズがうるさすぎるからです。レクサスのハイブリッドが真に静かなのとは全く違います。

現行プリウス(4代目)は車体自体の静粛性も高めているようでさほどうるさくありませんでしたが、オーリスはまだまだダメですね。VWゴルフ(現行7代目)の静粛性を見習って欲しいです。

足回り

Cセグメント車としては結構柔らかいです。日本でトヨタ車を購入する客層にはウケるのかもしれませんが、正直これではもったいないですね。せっかく剛性感のあるボディをまとっているのに、ふわふわしていて安定感に欠けます。「トヨタが作った欧州車」を名乗るなら、もっと欧州Cセグメント車らしい安定感が欲しいところです。

アウトバーンでBMW・1シリーズなんかと乗り比べると、差が歴然としてしまうでしょうね。国産で比べても、マツダ・アクセラの方が足回りが圧倒的に上です。

ドライビングポジション

ドライビングポジションはさほど酷くはありません。でも不満はあります。ハンドルが結構上向きで、チルト(上下調整)でもあまり下がらないし、テレスコ(前後調整)でもあまり伸びません。こんなところだけはイタリア車のようです。マツダ車の調整範囲の広さを見習って欲しいですね。アクアやプリウスなんかもそうですが、トヨタ車は全体にステアリングが立ちすぎ(上向き)です。

一応シートを高くすればステアリングの場所には合いますが、それはミニバンの乗り方です。セダンやハッチバックはシートを低くして乗れるようにデザインすべきだと思います。

サイドミラーは三角形になっていてやや見づらいです。おそらく空気抵抗低減のためにこの形にしているのでしょう。

後方視界は窓の位置が高くあまり見やすいとは言えませんが、Cセグメントハッチバックとしては平均的だと思います。駐車に関して言えば、どうせオーリスを買う人ならバックモニター(数万円のオプション)を付けるでしょうから問題ないんですかね。

価格はやや高い

主要なグレードの価格を見てみましょう。

パワートレイン 主要グレード 価格
1.8L ガソリン
+モーター
HYBRID 262 万円~
1.8L ガソリン RS 246 万円~
180S 238 万円~
1.5L ガソリン 150X 189 万円~
1.2L ガソリンターボ 120T 259 万円~

1.5Lではオーリスのサイズに対して力不足。1.2Lターボやハイブリッドになると高い。

同じクラスに250万円~のフォルクスワーゲン・ゴルフがいます。オーリスではゴルフには敵わないでしょうね。質感も走りも品質が1段違います。見た目は地味ですが、乗り比べるとほとんどゴルフに流れるんじゃないでしょうかね。

まぁオーリスを買う人だとちゃんと乗り比べもせずにトヨタ指名買いの人も多いでしょうから、一定数は売れるんでしょう。どっちかと言うと、248万円~(燃費スペシャルのグレード「E」を除く)のプリウスと比べてプリウスを買ってしまう人の方が多いと思います。というかトヨタはそれを期待しているような気がします。

まとめ

悪く車とは思いませんが、積極的にオーリスを選びたくなる点がないので選択肢から外されてしまう車でしょうね。欧州車が欲しいなら素直に欧州車を買えば良いですし、国産で欧州車の雰囲気を一番味わえるのはマツダ・アクセラです。単にCセグサイズのハイブリッドが欲しいならプリウスを買えば良いことですし、品質を求めたらレクサス・CTだってあります。価格が高いのでアクアやヴィッツに下りる人もいるでしょう。

トヨタ式ハイブリッドの走りは滑らかで素晴らしいですが、車体の静粛性が低すぎて良さが生かし切れていません。パワートレインは本当に素晴らしい完成度だと思いますが、静粛性とか足回りとかで損をしていますね。

「いえいえ、ちゃんと作り込んだ車がありますよ。車名がレクサス・CTになって価格が100万円上がりますけど。」というのがトヨタグループの商売になっているようです。

newcars レスポンシブ 本文下

 - 試乗記
 - , , , , ,