トヨタC-HRハイブリッド試乗レビュー!ターボやプリウスとどう違う?

     2017/02/12

トヨタ・C-HRを試乗してきました。今回はハイブリッドモデルのレビューします。

ベースとなった4代目プリウス、C-HRのターボモデルにも試乗したので、それらとの違いもレビューしますね。

トヨタ・C-HRってどんな車?

トヨタの新型SUVです。CX-3やヴェゼル、ジュークといった小型SUVの活況を受けて投入されたモデルですが、国内のライバルに比べるとサイズが少し大きく、価格設定も強気です。デザインは(好みはともかく)かなりこだわっていて、あまりトヨタらしくないモデルになっています。

すでにC-HRに関連した記事をいくつか書いているので、良かったらご覧くださいね。

「若者を取り込みたい!」と意気込んでいたようですが、価格が高すぎるので実際に売れているのは中年層がメインだそうです。

C-HRは2種・4グレード

C-HRはパワートレインが2種類あり、FFハイブリッド車と4WDターボ車に分かれています。装備内容によってグレードは上下に分かれているので、計4グレード構成です。

FFハイブリッド 4WDターボ
システム トヨタ式ハイブリッド ダウンサイジングターボ
排気量 1.8Lガソリン+モーター 1.2Lガソリンターボ
車両重量 1,440 kg 1,470 kg
駆動方式 FF 4WD
最高出力
(エンジン+モーター)
98+72 ps 116 ps
最大トルク
(エンジン+モーター)
14.5+16.6 kgm 18.9 kgm
燃費
(JC08)
30.2 km/L
(3.3 L/100km)
15.4 km/L
(6.5 L/100km)
年間燃料費
(10,000km, 124.9円)
4.1 万円 8.1 万円
上位グレード G
290.5 万円
G-T
277.6 万円
下位グレード S
264.6 万円
S-T
251.6 万円

ハイブリッドの方が軽く、モーターと合わせれば高出力ですね。燃費の数値にもかなりの差があって、カタログスペック通りと仮定すれば年間燃料費は4万円も違ってきます。車両価格の差は15万円弱なので、スペックだけで見たらターボの方を選ぶ理由がありませんよね。よほどのこだわりがあるか、4WDが必要という人にしかターボモデルは売れないと思います。

複数のディーラーで聞いた結果、ハイブリッドとターボの販売比率は 8:2 か 9:1 程度だそうです。当然ですね。あまりにターボが売れないので、マイナーチェンジでターボモデルが(国内向けには)廃止になる可能性すらあるそうです。仮にターボが無くなれば、プリウスと同様にモーターで後輪を動かすE-Fourを採用した4WDモデルが投入されることでしょうね。

今回両方のモデルに試乗したので、実際の走りの面でも比較してみました。まず今回レビューするのはハイブリッドモデルです。

C-HRハイブリッド

C-HRのハイブリッドモデルは、中身が完全にプリウスと同一です。エンジンルームを見ると、まさにそのままなのが分かります。

C-HRハイブリッド


現行プリウス(4代目)

プリウスに大きなシルバーのカバーがあってパッと見の印象が違いますが、見えているパーツを細かく比較してみると、あらゆる部品の位置、形、角度などが全く同じだと分かりますね。違うのはフロントバンパーに向かって生えたダクトが見えるか見えないかくらい。これもバンパーの取り付け位置やサイズが異なるからであって、部品設置自体は同一です。

左:C-HR,右:プリウス

乱暴な言い方をすれば、プリウスとC-HRハイブリッドはミニ四駆のようにフタを載せ替えただけの同一車とも言えます。動力源や駆動、ハイブリッドシステムの動作は基本的に同一と考えて問題ないでしょう。ただし、ホイールベースや車高が異なるので実際の乗り味は異なります。

C-HRハイブリッドの詳細なスペックやライバル比較はこちらの記事で詳しく載せています↓ 直接のライバルはクリーンディーゼルのマツダ・CX-3でしょう。

走り

加速感

パワー感は可も無く不可も無くといった印象です。トルク不足や回らないといった「足りない」という感じもありませんが、「余裕」もあまり感じません

「足りない」という点では、C-HRのターボ車は明らかに排気量不足。しかもターボラグが明確に感じられるせいで、非力感がかなり強いです。一方C-HRのハイブリッド車ではモーターが低回転域から高トルクを発揮してくれることで加速時のパワー不足はほとんど感じません。停止状態からフルアクセルで加速というのもしてみましたが、この車体に対して必要十分な加速感が得られます。

一方で「余裕」というものはありません。ゆったり走ろうとすればゆったり走れますが、一気に加速しようとすればエンジンがぶんぶん唸ります。大排気量車(このクラスなら2.5Lガソリンなど)のようなゆったりした加速ではありませんし、ディーゼルエンジンのようなモリモリトルクで楽々加速という感じでもありません。モーターは結構強力なのですが、エンジン設計が完全に燃費重視なので「たくさん踏めば盛り上がるように加速」にはなりません。

トヨタ式ハイブリッドのスムーズさはもちろん顕在で、モーターでスルスル発進する感じやエンジンとの切り替えなどは非常にスムーズであまり気になりません。モーターなのかエンジンなのかとか、回転数はいくつなのかとか、そういうことを一切考えずに走ればすんなり受け入れられます。

プリウスとの比較

C-HRハイブリッド単独で乗れば、ここまでの印象です。さらにベースのプリウスと比較してみましょう。

全高はプリウスの1,470mmに対して80mm高い1,550mm。車重は80kg重い1,440kg。大きく重たい車体なのに、動力源が同一なら走りが落ちるのは当然です。加速感は明らかにプリウスの方が上です。中身が一緒なので単に○%増しのような感じで、プリウスの加速感を少しだけ落としたのがC-HRハイブリッドです。

足回り

C-HRハイブリッドの足回りはトヨタにしては硬めでした。トヨタ車によくあるようなフワフワと揺動が収まらない感じではありません。逆にトヨタ車に慣れてしまっているとゴツゴツした当たりに違和感があるかもしれません。往年のスポーツカーのように無用に硬いわけではないので、直進している分には特段不満を感じることはないでしょう。

試乗したのは18インチホイールを装着する「G」。下の「S」なら17ホイールになるので乗り心地は若干良くなることと思います。

コーナリングでも足回りはちゃんと動いてくれるのですが、いかんせん車高が高いですし重心が高いのか車体のロールが気になりました。運転席の着座位置が高いことも感じ方に影響しているでしょう。

ドライビングポジション

座面位置はやたら高いです。高い座面位置が好まれるSUVなのは分かりますが、車体に対する運転のしやすさで言えばもう少し低く出来たらなぁと思います。シートリフター(上下移動)は当然標準装備なので、調整範囲がもう少し広く(低く)なっていたら良かったですね。

シフトノブすぐ手前のスイッチがサイドブレーキ

プリウスと違ってシフトノブは普通のデザイン。サイドブレーキは左足式ではなく電子式です。違和感なく乗れるのがいいですね。

静粛性

C-HRハイブリッドで一番気になったのは静粛性です。特別悪いわけではありませんが、プリウスよりは静粛性が劣ります。停車中でエンジンが止まっていても差を感じるので、車体の防音性に差があるようです。走ってみると、空気抵抗を極限まで落としたプリウスの方が風切り音が少ない分静かになっています。

プリウスがこのクラスとしては良好な静粛性を実現していて、モーター走行の静かさと合わさって車内空間に「上質さ」を作り出せているのに対して、C-HRはそこまでの質感は実現できていません。

もちろん上には上がいて、レクサスのハイブリッド車なんかはプリウスではまるで対抗できない静かさ・スムーズさです。

スペック比較

今回はあえてプリウスと並べてみました。燃費スペシャルのグレード(E)を除くベースグレードで比較してみましょう。

車種 トヨタ・C-HR トヨタ・プリウス
グレード S S
全長 4,360 mm 4,540 mm
全幅 1,795 mm 1,760 mm
全高 1,550 mm 1,470 mm
ホイールベース 2,640 mm 2,700 mm
車重 1,440 kg 1,360 kg
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
エンジン形式 直列4気筒
排気量 1.8L ガソリン+モーター
最高出力 98ps / 5,200rpm
最大トルク 14.5kgm / 3,600rpm
フロントサス ストラット
リアサス ダブルウィッシュボーン
燃費 30.2 km/L
(3.3 L/100km)
37.2 km/L
(2.7 L/100km)
年間燃料費
(10,000km)
4.1 万円 3.4 万円
価格 265 万円~ 248 万円~

燃費の数値については実用燃費でここまで差がつかないと思いますが、プリウスの方が低燃費なのは確かです。デザインの特異性をさておけば、プリウスの方が走りが良くて安いということになりますね。

まとめ

C-HRハイブリッドの走りは、端的に言えばプリウス -5%でした。だいたい同じなんですが、車体の大きさ・重さと静粛性の低さが減点ポイントとなりました。

C-HRのターボモデルのレビューはこちら↓

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