ゲトラグを買収したマグナってどんな会社?|買収の合意を発表

   

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ドイツのトランスミッションメーカーで、トランスミッションの名門とも呼ばれる「ゲトラグ」社が買収されたことが発表されました。買収したのはカナダの「マグナ・インターナショナル」。買収額は18億ドル(約2400億円)とみられています。

ゲトラグ社をおさらいして、マグナ社がどんな会社でどんな目的の買収なのか見ていきましょう!

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ゲトラグ社とは

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ゲトラグはドイツのウンターグルッペンバッハに本社を置く自動車用トランスミッションメーカーです。創業は1935年なので今年で80周年になります。

ゲトラグのトランスミッションは、精度が高く強靭でありながら、ギアやミッションケースに肉抜きが施されていて非常に軽量であるという特長を持っています。したがって世界のハイパフォーマンススポーツカーに採用されてきた歴史があります。

ブレーキなら「ブレンボ」、ステアリングなら「MOMO」のように、ハイパフォーマンスカーで高い評価を受けているメーカーのひとつです。

マグナに買収される前の時点では、欧州フォード・モーターの傘下にあって、2001年にはゲトラグ=フォード・トランスミッションを設立しています。従業員数は約1万人です。

ゲトラグ製ミッションの特徴

トランスミッション用の歯車は一般的には歯車の形状に鋳造(型に金属を流し込んで成形)して作ります。一方ゲトラグでは、円盤を鍛造(金属を叩いて強度を高めつつ成形)し、旋盤で歯車を刻む製造方法を取っています。この加工には手間もコストもかかりますが、鍛造の強度と旋盤加工の精度を併せ持つ歯車を製造できるメリットがあります。

ゲトラグはこの「高コストだが高性能」なトランスミッションの製造で評価され、BMWなど欧州メーカーのハイパフォーマンスカーを中心に採用されています。日本車でも、国内のトランスミッションメーカー(アイシンなど)では対応ができなかった高出力車、スポーツグレード車に採用されています。

 

ゲトラグ製マニュアルトランスミッション採用車種

34GT-R

日産・スカイラインGT-R (BNR34)

  • 日産・フェアレディZ (Z31後期)
  • BMW・M3
  • BMWミニクーパーS
  • 欧州フォード・フォーカス (ST170)
  • 欧州フォード・モンデオ (ST220)
  • 日産・スカイラインGT-R (BNR34)
  • トヨタ・スープラ (JZA80)
  • 三菱・GTOツインターボ、ツインターボMR
  • 三菱・コルトRALLIART Version-R
  • メルセデスベンツ・W123
  • OPEL・CALIBRA ターボ

高性能車が並んでいますね。トヨタ・スープラは日本で初めて6速MTを採用したことでも有名です。

ゲトラグ製デュアルクラッチトランスミッション採用車種

evo10

三菱・ランサーエボリューションX

  • 三菱・ランサー(7代目)
    • 三菱・ランサーエボリューションX
    • 三菱・ギャランフォルティスラリーアート
    • 三菱・ギャランフォルティススポーツバックラリーアート
  • ルノーサムスン・SM5 (3代目)
  • ルノー・クリオ/ルーテシア (4代目)

マグナ・インターナショナルはどんな会社?

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マグナ・インターナショナルはカナダのトロント郊外に本拠をもつ自動車部品メーカーです。ザックリ言えば「カナダのデンソー」。

私は名前を知りませんでしたが、自動車部品業界ではドイツの「ボッシュ」、日本の「デンソー」に次ぐ世界第3位の規模のメーカーです。従業員数は約8万人。ちなみにマツダは約4万人(連結)、デンソーは約14万人(連結)。

商品の納入先はゼネラルモーターズ、クライスラー、フォード、BMW、フォルクスワーゲンなど米欧の自動車メーカーが中心です。近年は日本や韓国の自動車メーカーとの取引も拡大してきています。生産品目はシート、メタルボディ、シャーシ、クロージャー、エレクトロニクスなどなど、グループ全体の部材を集めれば、完成車を作ることができるほど製品群を有しています。

オーストラリアの自動車メーカー「マグナ・シュタイアー」を子会社に持っていたりもします。自社ブランドを持たずに他社の車を委託製造するメーカーで、委託製造メーカーとしては最大の年間20万台を作っています。ちなみにオーストラリアで売っていた三菱・マグナとは関係ないようです(どうでもいいですね)。

一般消費者の目には触れにくい影の大物、といった会社ですね。

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買収の目的

今回の買収について、マグナ・インターナショナルのドン・ウォーカーCEOは、こう言っています。

「戦略的にパワートレイン事業の拡大に取り組んできた。ゲトラグは、この戦略に最高に見合う」(マグナ・インターナショナルCEO)

自動車部品メーカーとしての躍進と売上拡大を進めるために、ハイパフォーマンスカー向けのトランスミッション技術を保有したかったのでしょう。

元々欧州フォードの傘下に入っていたことですし、この買収で何かが大きく変わることはないでしょう。ただ、歴史あるゲトラグのギア製法技術が「合理化」という名目で失われないかはいささか心配です。

トランスミッションのゆくえ

テスラモーターズに代表されるようなモーターで走るEVやFCVが普及してくると、トランスミッションの立場も大きく変わるでしょう。回転数に関わらずトルクがフラットな電気モーターでは、トランスミッションは不要(1速固定)か、せいぜい2~3速程度でしょう。回転数によって性能が大きく変わるガソリンエンジン車ではトランスミッションが重要な立ち位置でしたが、EVやFCVでは重要度が低下します。

まだしばらくはガソリンエンジン車が圧倒的多数を占めますが、いずれトランスミッション業界も再編や事業転換を迫られるのだろうな、と未来予想しています。

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