フィアット500&500C試乗記!キャンバストップの使い勝手と気持ち良さ

   

2012 Fiat 500c

新型が発表されたばかりのフィアット・500。先日3度に渡って フィアット・500 と フィアット・500C(キャンバストップ) に試乗する機会があったので試乗記にしたいと思います。新型も早く乗ってみたいですね。

個人的にはセカンドカーの最有力候補です。いつ買うか分かりませんが。

長くなってしまったので4回に分けました。

今回は500Cのキャンバストップの使い勝手と、走りの気持ち良さをレビューします。

キャンバストップとは

500C-open

フィアット・500のコンバーチブル仕様「500C」は、屋根の部分だけが幌になっていて開閉できる「キャンバストップ」と呼ばれる屋根を採用しています。開閉されるのは天井だけなので、通常のオープンカーのように横も含め完全に開くタイプに比べるとどうしても解放感は劣ります。

オープンカーの種類

ミニ・コンバーチブル

ミニ・コンバーチブル

マツダ・ロードスター

マツダ・ロードスター

オープンカーは成り立ちによってまず2種類に分類されます。

  • マツダ・ロードスターのように、最初からオープンカーとして設計された車
  • ミニのオープン仕様「ミニ・コンバーチブル」のように、クローズド設計の車を補強してオープンにした車

現代の車はピラーや屋根を含む車体フレーム全体で剛性や衝突安全性を確保する構造(モノコック)になっています。本来あるべき屋根がなくなってしまうと、剛性が格段に落ちて走りはヨレヨレになってしまいますし、事故に遭った際には通常の車を遥かに上回るダメージを受けてしまいます。

元々オープンとして設計されている車は屋根がなくても十分な剛性と衝突安全性が確保できるようになっているので、構造に問題はありませんしスポーツカーとして成立させることも可能です。マツダ・ロードスター、BMW・Z4、ポルシェ・ボクスター、ホンダ・S660などなど。スポーツカーが多いですね。

一方元々屋根付きの車をオープンにする場合は、屋根の代わりとなるように車体側に大幅な補強が必要になります。補強部材が車内に張り出して狭くなることも多いですし、車体重量の増加は避けられません。実際ミニ(2代目)の場合は後部座席の両側に補強が入って狭くなっていますし、同じエンジンを搭載した仕様でも80kgの増加(1,170→1,250kg)になりました。スポーツカーの場合、運動性能が低下する重量の増加は致命的ですね。

コラム:オープンカーの名前

オープンカーには「ロードスター」「コンバーチブル」など色々な名称がありますが、大きく2種類に分けられます。

閉められる車
(開いている方が標準)
ロードスター
スパイダー
バルケッタ
開けられる車
(閉めている方が標準)
カブリオレ
コンバーチブル

名称の由来なので実際の使われ方には若干の例外もありますが、名前からその車の成り立ちが分かるということですね。

キャンバストップ

キャンバストップの特徴は屋根の部分しか開かないということです。

キャンバストップの車は基本的にクローズドで設計された車を基本としています。クローズドで完成している車の屋根を外そうとしたときに、元の車体からの構造変更を最小にした方が設計コストが安く済みます。キャンバストップの最大のメリットはここです。フルオープン仕様にしようとすると、「コストがかかる → 車体価格が上がる → 高過ぎるとオープンは売れない → じゃあオープンやめるか」となってしまうところ。キャンバストップ仕様にしてコストがあまりかからなければ、クローズド仕様との価格差も比較的小さくできますしそれなりの販売台数も見込めます。

欠点は解放感。幌を開いても左右のフレームは残るので解放感はフルオープンに確実に劣ります

ロードスターに8年乗っていた私からすれば、S660のようなタルガトップ(後方にフレームが残る形式)まではオープンカーの範囲に含めて良いと思いますが、正直キャンバストップはあくまでサンルーフ(開閉式天窓)の一形態でしかないと思います。

タルガトップのS660

タルガトップのS660

とはいっても屋根が開くことは重要です。オープンカーには劣っていても完全なクローズドより高い解放感が得られるのは事実。クローズドを購入するつもりでも、是非とも一度は「開く方」も乗ってみてください。

500Cのキャンバストップ

500C-2

500Cは、フロントガラス上端の天井部分から後方のリアウインドウにかけてが幌になっています。天井部分だけが開くタイプよりは高い解放感が得られます。

festiva

かつてキャンバストップブームを起こしたフォード・フェスティバ。開発はマツダ。

フランスのシトロエン・DS3カブリオも同じ開き方です。

DS3-cabrio

シトロエン・DS3カブリオ

キャンバストップの電動開閉の動きは滑らかです。ただかなりゆっくり動くので、マツダ・ロードスターのように数秒で開閉というわけにはいきませんね。でも途中停止もできるので信号待ちで気軽に開閉できると思いますよ。

半開・全開

500Cのキャンバストップは無段階で途中停止が可能になっています。特に役立つのがリアガラスを残して停止させるポジションでしょう。

500C-halfopen

ハーフオープン

解放感だけなら全開が一番なのですが、リアガラスの部分に幌が畳まれる形になるので後方視界が超絶悪くなります。ルームミラーにはほぼ幌しか映りません。そこで天井部分のみを開けた所で止めて後方視界と解放感を両立させるポジションの出番が多くなると思います。さらに言えば、全開ではトランクリッドの開閉ができなくなります。ハーフオープンならトランクの開閉には支障ありません。

後方視界の点でもトランクの点でも、街乗りではハーフオープンの方が良さそうですね。

キャンバストップの解放感

幌を開けても大幅に解放感が増すわけではありませんが、上方の視界が開けているのは気分がいいものです。解放感はオープンカーのそれとは異なるので「オープンカーはこんなもんなのか」とは決して思わないでください。ホンモノが知りたければマツダへGO。

キャンバストップの半開と全開はフロントシートにはあまり大きな差はありません。500の後部座席はあまり広くないので4人乗車することは多くないと思いますが、半開では後部座席上部が開かないままなので後ろにも人を乗せるなら是非全開にしましょう。リアシートの頭上はあまり余裕がないので解放感が格段に増します。

夏のオープンはほぼ無理です。そもそもオープンカーは冬の乗り物で、夏の炎天下でオープンにしていたら熱中症になります。キャンバストップはオープンカーほどの風が侵入しないのに、太陽光はバッチリ入り込むので確実に地獄です。でも曇っていれば開けられるでしょうね。(地球環境とかエコとかを無視すれば)開けたままエアコンをかければ車内は涼しくできるのである程度の気温まではオープンで行けるでしょう。

まとめ

完全なオープンカーほどの解放感はありませんが、クローズドよりも楽しいのは間違いありません。最高グレードのTwinAir Loungeなら差額20万円で500Cになるので、試乗して気に入ればキャンバストップも良い選択だと思います。

500Cの限定車は半年ごとに登場しているので、変わったボディカラーも多い限定車を狙うのも手でしょうね。

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