ヴィッツハイブリッド試乗レビュー!アクアと差は?どっちが買いなの?

   

ついに投入されたヴィッツのハイブリッド仕様を試乗してきました。

アクアとどこが違うのでしょうか? どっちが買いなのか、乗ってみて改めて判定しました。

トヨタ・ヴィッツってどんな車?

ヴィッツはトヨタのコンパクトカーです。初代はAセグメントに属していましたが、2代目以降はBセグメント車格を上げました。

初代ヴィッツ(1999~2005年)

現行モデルは2010年発売の3代目です。2011年末にほぼ同サイズのハイブリッド専用車「アクア」が投入されるも、ヴィッツはガソリンエンジンのみのままでした。

マイナーチェンジ & ハイブリッドの追加

マイナーチェンジ後の現行ヴィッツ(3代目後期)

3代目ヴィッツは2017年1月にマイナーチェンジを受け、デザイン変更と共にハイブリッド仕様グレードが追加されました。

「アクア」と「ヴィッツハイブリッド」はサイズも価格帯もかなりカブっています。どちらもBセグメントサイズのハッチバックコンパクトカーで、搭載されるハイブリッドシステムも完全に同一ですからね。

そこで今回の試乗では、アクアとの違いを中心にレビューしたいと思います。アクアの試乗レビューはこちらをご覧ください↓

アクアとヴィッツハイブリッドの違い

まずはヴィッツハイブリッドとアクアの違いを見ておきましょう。デザインはさておき、まずはスペック上の違いから。アクアのベースグレード「L」だけは装備引っぺがしグレードなので除外するとして、ベースグレードかつ「Toyota Safety Sense C」を共に含まないグレード同士で比較してみました。

車種 トヨタ・ヴィッツ トヨタ・アクア
グレード ハイブリッドF S
全長 3,945 mm 3,995 mm
全幅 1,695 mm
全高 1,500 mm 1,455 mm
ホイールベース 2,510 mm 2,550 mm
車重 1,100 kg 1,080 kg
排気量 1.5L ガソリン
+モーター
最高出力
(エンジン+モーター)
74ps / 4,800rpm
+61ps
最大トルク
(エンジン+モーター)
11.3kgm / 3,600-4,400rpm
+17.2kgm
燃費
(JC08)
34.4 km/L
(2.9 L/100km)
37.0 km/L
(2.7 L/100km)
年間燃料費
(10,000km, 124.8円)
3.6 万円 3.4 万円
価格 182 万円~ 189 万円~

一番の違いは、全長と全高です。差はわずかですが、ヴィッツの方が50mm短く、45mm高いです。ホイールベースもヴィッツの方が40mm短いです。数値面だけで言えば、ヴィッツの方が小さな車体に詰め込んでいて、アクアの方が若干の余裕ある走りだと予想できます。

燃費差は無視して良い

燃費はわずかにアクアの方が上回ります。車重の差は20kgしかありませんが、燃費測定基準のJC08では1,080kgを境に測定時の荷重が変わるというルールになっているので、実際の差はこの数値よりさらに小さくなります。実際、アクアのX-URBANは車重1,090kgで33.8km/L、ヴィッツハイブリッドよりも燃費は落ちます。

さらに言えば、JC08の値をそのまま使ったとしても、年間のガソリン代は10,000km走った場合で2,500円差(アクアのが安い)です。考え方にもよりますが、単純に経費の面ではほとんど無視して良いレベルの差ですね。

車体価格差はこのグレードで7万円(アクアのが高い)。この7万円差を「アクアの方が燃費が良いですから」とか言うディーラーマンがいたら信用してはいけません。7万円差を埋めるには(JC08燃費でも)28万キロも走らないといけません。一般人には無謀です。この価格差は乗ってみると明確に分かります。

走り

加速感

アクアの試乗レビューと感想は同じです。

発進・低速加速はさすがハイブリッド車。モーターはプリウスより非力とはいえ、他のガソリンエンジン車より明らかに強力なトルク感で発進してくれます。(中略)エンジンは1.5Lですが、燃費重視のためか高回転まで回してもあまりパワーが伸びません。(中略)エンジンが非力なのでモーターと合わせてやっと普通の1.5Lコンパクトカーくらいの走りです。速度域が上がるほどエンジンの非力さが目立ってしまい、車が重たい感じが出てきてしまいます。

まさにそのまま。車重ほぼ同一で同じパワートレインですからね。外形の違いで空力の差はあるのでしょうが、実用域(100キロ以下)で体感できる差はありませんでした。

じゃあ何が違うか。ここ以降が違います。

静粛性

静粛性のレベルがまるで異なります。ヴィッツは全然静かじゃない。そこそこのコンパクトカーと同等レベルです。

アクアプリウスほどではありませんが、十分に静かでした。

アクアは遮音性の高さによって「静かに走る上質さ」をこの価格で実現しました。これがアクア一番の魅力です。

ヴィッツハイブリッドにはコレが無い。ハイブリッドがただの燃費向上手段として搭載されているのみ。ハイブリッドの価格差を燃料費では元が取れないので、乱暴に言えばハイブリッドの名前の分、単純に高くなっただけとも言えます。

以前ヴィッツのガソリンモデル(マイナーチェンジ前)にも乗ったことがあるので、現行ヴィッツの静粛性が高くないことは知っていましたが、さすがにハイブリッドを載せるならハイブリッドモデルだけでも静粛性を上げてくるだろうと期待していました。でもトヨタはそんなことしませんでしたね。そこがアクアとヴィッツの7万円の差でしょう。

同じハイブリッドシステムを使っていても、静粛性についてはモデルごとにバラツキがあります。プリウスC-HRハイブリッドでも結構な差がありました。

ヴィッツハイブリッドと同じ失敗をしているのが「日産・ノートe-POWER」です。せっかくシリーズハイブリッドを国産車初採用したのに、静粛性はベースのノートのまま。なんともったいないことか!

ドライビングポジション

ヴィッツの方が全長が短く全高が高いですから、必然的にアクアよりシートポジションは高めになります。深い位置にどっしり座って運転したい人にはヴィッツはあまり向かないでしょうね。逆にシートを(シートリフターで)高く上げて乗る人はどっちでも同じです。

ステアリング位置

ステアリング調整はヴィッツハイブリッドなら全グレードでチルト(上下調整)・テレスコピック(前後調整)があります。ただ一番手前にしてもやや遠かったのか、乗って5分ほどで腕が痛くなりました。あまり背が高くない人(私は165cm)はシートを少し高くしないと運転しづらいかもしれません。

アクアの方がシートがさらに低い分問題になりそうですが、アクアの試乗では腕が痛くなる感じはありませんでした。

シート

シートのホールド性は同等グレード同士ならアクアの方が上でした。ヴィッツは座面横の盛り上がりが低すぎて、左右方向にお尻が滑りやすいです。

ただし下位グレードのヘッドレスト一体式シートだけはどっちの車種でもダメです。アクアでは装備引っぺがしグレード「L」だけなので問題ありませんが、ヴィッツはベースの「HYBRID F」でもヘッドレスト一体式です。「HYBRID F」にするなら、分離式ヘッドレストになるセットオプション(10,800円)だけは必要でしょうね。

メーター

ヴィッツの方が唯一良いと思える点は、メーターがまともな位置にあることです。

ヴィッツ

アクア

アクアプリウスのセンターメーターは、ユーザーにとって一利も無いと思います。あんな見づらい位置のメーターが世界でどれだけ採用されていると思いますか? 速度も瞬間的に視認しづらいデジタルメーターなんかじゃダメです。高速道路でチラっと見て何キロくらいか認識できないといけません。

ヴィッツハイブリッドの美点はなんとココだけ……。

その他

パワートレインが同一のはずなのに、アクアに比べると[モーター単独 → エンジン・モーター協調]の切り替えにラグを感じました。おそらくエンジン始動音がハッキリ耳に入ってくることでトルクの微妙な変化を感じてしまったのでしょう。

どっちが「買い」か?

ハイブリッドカーのメリットは大きく分けて3つあると思います。

  • 燃費
  • 静粛性
  • 低速域の加速感

まず燃費についてはアクアもヴィッツハイブリッドも同等レベルですし、どっちにしろ元は取れないので差はありません。低速域の加速感も同じ。コンパクトカーとしては強力ですが、その分高速域が頭打ちになるので一長一短。

でも静粛性はまるで違います。分かりやすいメリットとなる発進時・エンジン停止時の静粛性の高さは、ヴィッツハイブリッドにはありません。

ハッキリ言ってヴィッツハイブリッドに買う価値はありません! うるさくてもいいならハイブリッドなんて欲張らずに普通のヴィッツを買えばいいだけですし、ハイブリッド特有の静かさを享受したいならアクアを買うべきです。

まとめ

アクアとほとんど変わらない車に仕上がっているのかなぁと思って試乗しましたが、意外にも差がありましたね。7万円の差なら絶対にアクアをオススメします。

ただ巡航走行の多い人や、走りにこだわりのある人はアクアを選ばない方が良いでしょうね。静粛性ならアクア、走りならデミオでしょう。

アクアの試乗レビューはこちら↓

アクアとヴィッツのスペック・価格比較はこちら↓

 - 試乗記
 - , , , , , ,