日産ノート1.2L試乗レビュー!うるさい・非力・CVTダメ+高級感無しでこの価格かよ
11月にマイナーチェンジしたばかりの日産ノートを試乗してきました。通常のノート、1.2Lガソリンエンジン車です。
今回はガソリンエンジン車の走りと、ノート全体(e-POWER含む)に共通するデザインなどについてのレビューです。
シリーズハイブリッドを採用した「ノートe-POWER」の試乗レビューはこちら↓
目次
日産・ノートってどんな車?
日産・ノートは、日産の主力コンパクトカーです。
日産のコンパクトカーでは最もベーシックなのがノートです。全長が4mを少し超えるので国産コンパクトカーの中ではやや大きめですが、日本ではホンダフィット以降安定した人気を誇るBセグメントコンパクトカーのうちの1台です。
現行ノートは2012年発売なのですでに4年が経過しています。2016年11月のマイナーチェンジでシリーズハイブリッド(エンジン発電式EV)の「ノートe-POWER」を追加したことで話題を呼びました。e-POWERを追加した11月には、ノートが車種別販売台数で首位になりました。
e-POWERが追加されたものの、通常のガソリンエンジン車も併売されています。今回はガソリンエンジン車の試乗記ということで、e-POWERとの違いにも注目したいと思います。
デザイン
フロントマスク
マイナーチェンジでフロントマスクにも変更が入れられました。フロントグリルの幅が小さくなり、それに合わせてヘッドライトのデザインを変更。バンパー下部のデザインも変更されています。マイナーチェンジ前の野暮ったさが無くなって、現代的なデザインになったと思います。
グリル下部を太いメッキでコの字に囲むのは最近の日産車に共通するデザインです。大きさはそれぞれ異なりますが、ノート・マーチ・セレナ・ジューク・エクストレイルに採用されています。
ブランドイメージを明確にするためにメーカー内で共通するデザインを採用するのは、欧州メーカーが昔からやってきた手法です。最近ではマツダが魂動デザインで極端な均一デザインにしたのを筆頭に、車種範囲や程度は違えど、トヨタ・ホンダ・レクサス・日産が同じ様な手法を取っています。
ノートe-POWERでは、フロントグリルの下部に青いラインが入りますが、ボディカラーに関わらずほとんど目立ちません。外観デザインは同一だと思っておいた方がいいでしょうね。
リアデザイン
リアはテールランプの内部デザインとバンパーデザインが変更された程度で、マイナーチェンジ前後での変化はあまりありません。リアのデザインも変更すべきだと思うんですけどね。デザイン構成がバカ売れした初代フィットとほとんど同じです。初代フィットは2001年発売ですから、実に15年前のデザイン!
ある意味完成されたデザインだったので変更する必要が無かったのかもしれませんが、他社の過去の名車をそのまま模倣しているのはどうかと思います。当のフィットはもっと個性的なデザインに変貌した(ボルボには似てるけど)わけですし。
日産としてもノートのリアのデザインに自信が無いのか、50ページ以上もあるノートのカタログの中でリアの引きの写真はたった1枚しか載っていません。あとはテールランプのアップか、ごく小さな写真があるだけです。リアデザインでは買ってもらえないと分かっているんでしょうね。
インテリアデザイン
インテリアは酷すぎて何も言えません。グレードを上げれば多少マシにはなりますが、エアコン操作系もシフトレバーもドア内張りもとにかく安っぽい!
グレードを上げてもこの安っぽさです。
そして結構イタイのが、「MEDALIST」という上位グレードまで上げないと運転席アームレストが付かないことです。オプションですら用意されていません。アームレストを使う人はこの時点でスタート価格が163万円~になってしまいます。
エンジンラインナップ
ノートのエンジン構成は4種類あります。
1.2Lガソリン | 1.2Lガソリン +スーパーチャージャー |
1.2Lガソリンによる シリーズハイブリッド |
1.6Lターボ |
---|---|---|---|
79ps / 10.8kgm | 98ps / 14.5kgm | [モーター性能] 109ps / 25.9kgm |
140ps / 16.6kgm |
139 万円~ | 174 万円~ | 196 万円~ | 233 万円~ |
ベースは1.2Lと、コンパクトカーとしては小さめのエンジンです。トヨタ・ヴィッツ 1.3Lが145万円~、ホンダ・フィット 1.3Lが130万円~であるので、1.2Lはやや心許ないですね。
上にはスーパーチャージャー仕様、シリーズハイブリッド仕様、そして最上級が1.6Lターボ仕様となります。どれも乗り出し価格は200万円台に乗ってしまうでしょうから、コンパクトカーとしては高いなぁという印象になってしまいます。シリーズハイブリッドには走りや燃費の面でメリットはありますが、200万円出すとアクセラやインプレッサなど1クラス上の車が狙えます。シリーズハイブリッドという目玉があったので目下売れていますが、車全体の総合力だとやや厳しいかなという気がします。
走り
今回試乗したのは、1.2Lガソリンエンジン車です。車重は1.5Lエンジン車並みの1,040kg。排気量が小さいからといって軽くはありません。
加速感
普通です。悪い意味で。軽トールワゴンのように全然走ってくれないということはありませんが、力強さやパンチはなく必要最低限の加速しかしてくれません。アクセルを全開にしてもグオーッ!っと唸るだけで車速はなかなか上がってくれません。
コンパクトカーとしては、明らかに車重に対して非力です。「軽自動車ではなくコンパクトカー」という選択をする人は、走り・サイズ・質感・広さなど普通車クラスのモノを期待します。ですがノート1.2Lではさすがに足りません。ヴィッツ1.0Lのような「箱だけコンパクトカー」ほど酷くはありませんが、車両価格140万円の車としては文字通り力不足です。
トランスミッション
ここが一番の問題点です。ノートのトランスミッションはCVT(無段階変速)。ただでさえ非力な1.2Lエンジンなのに、CVTと組み合わせているので力が逃げてしまっているのを強く感じます。
特に発進加速が致命的で、エンジン音がうるさくなるばかりで車速に全然繋がってくれません。運転フィーリングとしてもかなりの減点になります。しかもノートは静粛性が良くないので、エンジン音の高まりが余計に気になります。
普通に走行している時でも、車線変更や先行車がいなくなったなどのシーンでの再加速で同様の問題があります。
静粛性
エンジンの騒音はノートe-POWERでも随分気になりましたが、こっちはその比ではありません。なにせ発進や再加速の度にエンジン回転数が急激に上がるので、うるささが耳に付きやすいからです。
エンジンは残念なことに3気筒です。3気筒が4気筒よりも振動や騒音が大きくなるのは構造上必然です。ライバルたるフィット、ヴィッツ(1.3L以上)、デミオが4気筒エンジンを採用している中で、特別静かでない3気筒では戦えません。今まで乗った中で、3気筒でも4気筒並みに静かに出来ていたのはアウディしかありませんでした。
音に関して言えば、高級感どころか軽自動車かと錯覚してしまうほどです。燃費のために3気筒を採用したかったのでしょうが、相応の制振・防音をしないとただの安っぽい車に成り下がってしまいます。そしてそれに拍車を掛けているのが1.2LとCVT。回転数の上下動が騒音を目立たせますし、非力なエンジンで走るためには回転数を上げるしかありません(パワー=トルク×回転数)。
スペック比較
コンパクトカー・ガソリンエンジン車として、フィットとデミオを選びました。
車種 | 日産・ノート | ホンダ・フィット | マツダ・デミオ |
---|---|---|---|
グレード | S | 13G | 13C |
全長 | 4,100 mm | 3,955 mm | 4,060 mm |
全幅 | 1,695 mm | ||
全高 | 1,525 mm | 1,500 mm | |
ホイールベース | 2,600 mm | 2,530 mm | 2,570 mm |
車重 | 1,030 kg | 970 kg | 1,020 kg |
駆動方式 | FF | ||
トランスミッション | CVT | 6AT | |
エンジン形式 | 直列3気筒 | 直列4気筒 | |
排気量 | 1.2L ガソリン | 1.3L ガソリン | |
最高出力 | 79ps / 6,000rpm | 100ps / 6,000rpm | 92ps / 6,000rpm |
最大トルク | 10.8kgm / 4,400rpm | 12.1kgm / 5,000rpm | 12.3kgm / 4,000rpm |
フロントサス | ストラット | ||
リアサス | トーションビーム | 車軸 | トーションビーム |
燃費 | 23.4 km/L (4.3 L/100km) |
26.0 km/L (3.8 L/100km) |
24.6 km/L (4.1 L/100km) |
価格 | 139 万円~ | 130 万円~ | 135 万円~ |
せっかく3気筒の小さなエンジンを採用したのに、燃費は3台で一番悪いですね。これはイタイ。一般的に排気量が小さい方が燃費が良いですが、あまりに排気量が小さすぎるとアクセルを大きく開くことになるので逆に悪くなってしまいます。しかも車重もノートが一番重いという残念さ。全長が一番長いとはいえ、エンジンが小さいんだからもっと頑張れよという感じがしますね。
トランスミッションはデミオだけがトルコン式ATを採用しています。マツダのATの完成度はかなり高いので、これは重要ポイントです。
価格も含めてこの3台では圧倒的にデミオがオススメですね。
まとめ
ノート1.2Lはハッキリ言ってオススメできません。重く非力、CVTで運転フィーリングも悪い。騒音が大きく燃費もそこそこなのに価格だけは他と同等です。ノートe-POWERを選ぶなら、シリーズハイブリッドは他に選択肢が無いので迷いようもありませんが、ノートのガソリンエンジン車を選ぶメリットは、私はどこにも無いと思います。デザインも凡庸ですしね。
シリーズハイブリッドを採用した「ノートe-POWER」の試乗レビューはこちら↓