ミニがマツダロードスター対抗のスポーツカーを2019年に投入!? 価格・エンジン・デザインは?
ミニが2シーターオープンスポーツを2019年に発売するという話が現実を帯びてきました。マツダ・ロードスターやフィアット・124スパイダーのライバルともなりうるこの車、市販化の可能性はどうなんでしょうか?
ミニ スーパーレジェーラ
2014年にイタリアで開催されたクラシックカーコンクール「Concorso d'Eleganza Villa d'Este」でミニが発表したコンセプトカーが「ミニ スーパーレジェーラ」という車両です。
ミニのデザインコンセプトを継承しつつも、2シーターオープンスポーツらしい低い車体に深く倒されたフロントガラス。まさしくマツダロードスターと同じジャンルに属しますね。
2シーターオープンスポーツとなれば、ミニ好きではなくても気になるところ。でも当時の発表では、プラグインハイブリッドで216馬力を発揮し、4輪駆動するという市販化あまり現実的ではなさそうなスペックでした。
新たな展開
そんな車がここにきて現実的になってきました。ミニのトップ、Peter Schwarzenbauer氏が、前向きなコメントを発表したことをAutocarが報じています。
コンセプトカーを発表したときから大いに関心が寄せられている。収益性では非常に困難な挑戦になるのでまだ確定はしていないが、多くの人が市販化に向けた仕事を進めている最中だ。この車はブランドにとってとても重要だろう。(Autocarの記事から抜粋して意訳)
厳しい道だけど市販化したいということですね。
どんな車になるか
現実的に市販化となると、どんな車になるでしょうか。
ベースはBMWのショートホイールベースプラットフォーム「UKL」。このプラットフォームはミニの通常のハッチバックモデル「クーパー」系統に使われているのと同じです。つまりFFですね。FF。もう一度言います。FFです。ミニのハイパフォーマンスモデルと同様に4WDも用意されるとは思いますが。
パワートレインは他のミニと同様に3気筒または4気筒のガソリンエンジン/ディーゼルエンジン。基本は通常のエンジンで、EVだとかハイブリッドだとかではありません。さすがに採算取れませんよね。1.5L~2.0Lで134~227馬力を発揮するエンジンがあるので、スーパーレジェーラでも複数のエンジンバリエーションが用意される可能性が高いです。
ただ、BMWのプラグインハイブリッドスポーツカー「i8」の廉価・小型版という位置づけでプラグインハイブリッドが用意される可能性もゼロではありません。
通常のミニのラインナップでは2017後半までにSUVのカントリーマン(日本名クロスオーバー)に搭載される予定です。スーパーレジェーラが2019年なら同様に搭載されてもおかしくはありませんね。
ミニ クーペ/ロードスターとの関係は?
先代のミニ(2代目)にラインナップされていた2シーターのクーペやロードスターを置き換えるのかについては、「スーパーレジェーラは本気のスポーツカーだから比較できるものではない」とのこと。
現状3代目ではクーペ/ロードスターは発表されていませんし、発表されそうな噂もありません。この言い回しは「スーパーレジェーラを出すかどうかに関わらず、クーペ/ロードスターは出さない」と言っているように聞こえます。
デザイン
元になるコンセプトカー「スーパーレジェーラビジョン」のデザインは、コンセプトカーとしては現実性のあるよくできたデザインだと思います。
フロントガラスは少し寝かせすぎですね。座高の高い人だと頭頂部が寒いです(←ロードスターですら問題になる)。
ドアの後端が円弧を描くデザインなのは2代目以降のロードスターと同じですね。
テールランプのイギリス国旗風のデザインは少しやりすぎですね。貼っただけっぽいですけど。
価格
現行の3代目ミニのメインストリームモデル「クーパー」は3ドアモデルで日本価格266万円~。先代にあった「ロードスター クーパー」は344万円~。
現状のラインナップで推測すると、クーパーと同じ1.5Lターボエンジンを積むとして、専用の車体と幌を与えるとなると、価格は優に400万円を超えてくるでしょう。結構お高いですね~。BMW・Z4は最下位グレードの2.0Lターボで518万円。これよりは安くしてくるでしょうから、スタート価格は420万円あたりでしょうか。
ライバルたるマツダ・ロードスターは250万円~。国産車だから有利とはいってもこの価格差では勝負にならないと思います……。
マツダ・ロードスターとの関係は?
同じ2シーターオープンスポーツというジャンルでは、マツダが先日新型ロードスターを発表したばかりですし、兄弟車のフィアット・124スパイダーも近々発表されることでしょう。他にもBMW自身がZ4を持っていますし、ホンダがS2000の後継車を準備しているとの噂もあります。
世界で最も売れたライトウェイトオープン2シーターとしてギネス記録も持っているマツダ・ロードスター。対抗する相手として不足はありませんね。初代NA型が大ヒットを飛ばしたことで世界中の自動車メーカーが追従しましたが、結局ロードスターに勝てたメーカーはありません。BMW・Z4、ホンダ・S2000、フィアット・バルケッタ、ポルシェ・ボクスター、ベンツ・SLクラス、トヨタ・MR-S、ダイハツ・コペンなどなど……。ミニがマツダの牙城を崩せるとは到底思えませんね。
まず駆動方式がFFな時点でスポーツカーとしての重要な部分を捨てています。シビックタイプRのようなFFスポーツを否定するわけではありませんが、ライトウェイトオープン2シーターというジャンルでは意のままに操れるFRが理想。独自性のあるMRはともかく、実用車と同じプラットフォームのFFではスポーツ性は期待できません。
となるとメイン顧客はミニのデザインやおしゃれさを求める層。単におしゃれで屋根が開けばいいなら、なにも車高の低い2シーターにする必要はないのかもしれません。
2座オープン「ミニ ロードスター」は2代目のみで消滅することが確実ですが、4座オープンのコンバーチブルは3代目でも用意されることが濃厚。つまり、ミニのデザインで2シーターではあまり売れなかったということです。純粋なスポーツカーとしての楽しみが得られるFRならまだしも、FFのままでデザインを買えましたじゃ新たな顧客(=ミニファンではない人)を取り込むのは難しいと思います。
とはいえ、世の中にオープンカーやスポーツカーが増えることは歓迎すべきこと。発売予定は2019年と随分先ですが、続報を楽しみに待ちましょう!
普通のミニクーパーの試乗記やロードスターの試乗記も書いているので、ぜひご覧くださいね!