フォルクスワーゲンがした不正とは?何が問題でどんな影響があるの?

  2015/09/25   

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ドイツの巨大自動車メーカー「フォルクスワーゲン」の不正問題が世間を賑わせています。

一体どんな不正をしたのでしょうか? 何がいけなくて、どんな影響があるのでしょうか?

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排出ガス規制逃れ

9月19日、フォルクスワーゲンが排出ガス規制を逃れるために不正を行ったことが報道されました。具体的には以下の通りです。

フォルクスワーゲンディーゼル車が、排出ガス規制試験のときだけ有害物質を低く抑える不正なソフトウェアを使用していました。

重要なのは以下のポイントです。

  • フォルクスワーゲンが行った。フォルクスワーゲンは不正を認めている。
  • ディーゼル車に関すること。
  • 排出ガス規制試験のときに特殊なことをした。
  • 有害物質の量に影響がある
  • ソフトウェアによって不正を行った。

どういうことなのか順に見ていきましょう。

フォルクスワーゲン・グループ

フォルクスワーゲン・グループ(以下VWグループ)はドイツの巨大自動車企業グループです。グループ全体での販売台数は、トヨタと1,2を争っています。2014年度は1018万台を販売し、トヨタを抜いて世界第1位となりました。

グループ傘下には8つのブランドがあります。

  • フォルクスワーゲン(乗用車部門)
  • フォルクスワーゲン(商用車部門)
  • アウディ
  • ベントレー
  • ランボルギーニ
  • ブガッティ
  • シュコダ
  • セアト

今回の問題はVWグループとしての問題です。

現在VWグループでは開発・生産の効率化のために、他のグループ企業の例に漏れず、部品の共通化を進めています。[フォルクスワーゲン・ゴルフ と アウディ・A3]、[フォルクスワーゲン・ポロ と アウディ・A1]などです。不正を行ったのが共通部品を使っている車であれば、同じ部品を使う別ブランドの車も同様に不正を行っているわけです。

今回問題になっているのは、ゴルフ、パサート、ビートルなど複数車種に渡っているため、影響はグループ全体に及ぶでしょう。

現在判明している不正が行われた車種は、以下の5車種です。いずれも直列4気筒ディーゼルエンジン「TDI」を搭載している車のみが対象です。

  • 2009~2015年に発売された
    • フォルクスワーゲン・ゴルフ
    • フォルクスワーゲン・ビートル
    • フォルクスワーゲン・ジェッタ
    • アウディ・A3
  • 2014~2015年に発売された
    • フォルクスワーゲン・パサート

ただ、他ブランドで兄弟車種が販売されていたりするので、他の車種での不正が判明してくるかもしれません。

日本での影響

日本の正規ディーラーで販売されている車には、今のところ該当車種はありません。

そもそも日本、アメリカ、ヨーロッパではそれぞれ規制の基準が異なるので、他の国で問題になってた車が日本で販売されても問題にならない可能性もあります。

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クリーン・ディーゼルで起きた問題

今回問題になっているのはクリーンディーゼルエンジン搭載車です。

ディーゼルエンジンと言えば、昔は黒煙を上げて「ガラガラガラ」と独特な音を鳴らしながら走るトラックによく使われていましたが、最近は排出ガスをクリーンに(コレが問題)して、音も振動も抑えた「クリーンディーゼル」と呼ばれるエンジンが普及してきています。

特に、環境意識が高く規制の厳しいヨーロッパ各国ではクリーンディーゼルが急激に伸びていて、もはや新車販売ではガソリンエンジンよりもクリーンディーゼルエンジンの方が多くなってきました。

BMWやボルボは日本向けにもディーゼルエンジン搭載車の販売を始めています。

日本メーカーはディーゼルエンジンよりもハイブリッドの普及を進めていますね。唯一マツダだけがクリーンディーゼルの普及に力を入れています。

「クリーン」だからクリーンディーゼルなのに、今回この「クリーンさ」が問題になったわけです。

排出ガス試験のときだけクリーンになる車

問題となっているは、アメリカでの排出ガス規制の試験での車の動作です。

排出ガス(排気ガス)には、車の製造された年や車体サイズ、排気量などによって出していい有害物質の量に基準が設けられています。そしてその基準を満たしているかを確かめるために、排出ガス内に含まれる物質の検査が行われます。おそらく生産された車両から抜き出して試験しているのでしょう。

今回の問題では、この「排出ガス試験」のときだけ基準を満たすように操作されていました。試験の時だけ「クリーン」に見せかけて、実際は基準を大きく逸脱していたワケです。現在分かっている数字では、試験中は基準を満たす一方で、通常走行時には最大で基準の40倍の窒素酸化物を排出しているとのことでした。

排出ガスをクリーンにするためには相応の機構が必要になります。10年以上、数十万キロもの距離を走る車の排出ガスを、安定して浄化するためには高度な技術が必要でしょう。そしてクリーンにするために失うエネルギーによって走行性能や燃費が悪化する可能性もあります。試験を不正に回避することができれば、より安く、(環境性能以外)より高性能な車を作ることができるでしょう。

古い車は対象外?

世の中には20世紀、あるいは昭和に製造された古い車もまだまだたくさん走っています。それらの車は「クリーン」なのでしょうか?

現在の基準で言えば「クリーン」ではないでしょう。ですが、日本を始めとする多くの国では「製造年」によって基準が変わるため、当時の基準を満たしていれば良いということになります。よく車の後ろに貼ってあるステッカーには「平成○○年度 燃費基準」と書かれています。

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ただ、古い車の税金を高くするという話はあります。

有害物質

排出ガスに含まれる物質には様々な種類があり、それぞれ影響が異なります。

  • 二酸化炭素(CO2):温室効果ガス
  • 一酸化炭素(CO):一酸化炭素中毒、光化学スモッグの原因
  • 炭化水素(HC):急性の神経症状の原因になる
  • 窒素酸化物(NOx):気管支炎や肺水腫の原因など
  • 粒子状物質(PM;粒子状物質の総称):呼吸器系への悪影響

発表されている情報によれば、窒素酸化物(NOx)が基準以上に排出されているようです。つまり、

ソフトウェアによる「不正」

排出ガス試験は一定の手順に従って行われることでしょう。不正を行ったフォルクスワーゲン車は、この「試験」が行われていることを判断して、「試験中だけ」特別にクリーンにするプログラムが組まれていました。つまり、試験で採取している排出ガスは、実際に走行中に出る排出ガスとは異なっていたということです。

これでは試験の意味がありませんね。完全な不正です。

車種にもよりますが、現在の車は、ライトやメーターなどの電装部品はもちろん、エンジン制御からトランスミッション、果てはサスペンションまで、色んな箇所の制御にコンピューターが使われています。内部には制御にソフトウェアが使われているわけで、表面からは見えない部品ですから、このような不正に対処するのはとても難しくなっています。

スマートフォンでの不正

過去に似たような話では、サムスンのスマートフォンがベンチマークソフト(機器の性能を測定するソフトウェア)が動作しているときだけ、システムの性能を向上させていたという問題がありました。通常使用時は、バッテリー消費や冷却などの点からシステム性能が一定に制限されているものを、ベンチマークソフトが動いているときだけ特別に性能が上がるように設定してあり、ベンチマークのスコア(性能を測る指標)が良くなるように操作されていたという問題です。

「スマートフォン性能比較」などの記事でスコアが良くなるので、あたかも性能が実際よりも高いように見えてしまうという仕掛けです。

今回の問題と違って法律に触れることではありませんが、企業倫理的には良くありませんね。

ちなみにこの問題では、ソフトの名前を変えたらスコアが落ちたことから発覚しました。

まとめ

この問題でフォルクスワーゲン・グループには数兆円規模の制裁金(罰則)が課されることになりそうです。もちろん株価は大幅に下落しています。

他にも第三者が(フォルクスワーゲンではない)BMW車で試験したら基準値を超えていたとする話があるなど、自動車業界全体に波及しそうな大問題に発展しそうな様相です。

厳しい競争の中で生き残るためには、手段を問わずに改善・改良・コストカットなどを進めなければいけませんが、さすがに法に触れる不正をしてはいけませんね。

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