ロードスターRF本気レビュー:タルガトップの開放感&走りへの影響は?

     2017/03/12

マツダ・ロードスターの電動ハードトップ仕様「ロードスターRF」を試乗してきました!

国内では現行ロードスター初搭載となる2.0Lエンジンや完全オープンにはならない屋根は、幌版ロードスターや歴代ロードスターと比べてどうなのでしょうか?

ロードスターRFってどんな車?

ロードスターRFは、ロードスターの電動ハードトップ版です。2.0L自然吸気エンジンを搭載していて、ソフトトップ(1.5L自然吸気)よりハイパワーとなっています。

屋根は電動格納式ですが、格納されるのは天井部分とリアウインドウのみで、ルーフ後方は残ります。開けたとき「タルガトップ」と呼ばれるスタイルになります。ルーフ後方がなだらかなラインになっているので、屋根を閉めた姿は固定屋根のクーペのように美しいです。

ルーフデザインや格納動作についてのレビューはこちら↓

電動ハードトップになることの影響はどうなのでしょうか? ロードスターのソフトトップ仕様と比較してみましょう。

オープン

完全オープンになる車、2代目ロードスター(手動ソフトトップ)に乗った経験がある上で言います。びっくりするほどちゃんとオープンです。本当にオープンカーそのものです。視界、風の流れ、音、雰囲気のすべてがフルオープンカーと全く遜色ないレベルです。

後ろを振り返ることなく先入観を除いて乗れば、多くの(非RFの)ロードスター乗りがRFのオープンをフルオープンだと感じると思います。オープン状態で窓の開閉したときの風の流れの違いなんかも、フルオープンをかなり「再現」できていると思います。

視界

RFのオープン感におそらく大きな影響を与えているのが、着座位置だと思います。

ソフトトップのレビューで書いたように、歴代ロードスターに比べると現行ロードスターは着座位置がフロントガラスに近いです。RFでは斜め後ろに大きなピラーが存在しているわけですが、着座位置が結構前なので普通に前を見て運転しているときにはほぼ視界に入りません。

ドライバーに「オープンであること」を感じさせるための最も重要な要素である視界がフルオープンと同等なことが、RFにオープン感を与えているのでしょう。

風の巻き込み

後ろを振り返ったときはともかく、運転中にオープンかどうかを感じさせる要因は、視界・音・風のながれだと思います。特にオープンカー独特の風の流れはフルオープンだけの特権のようなもので、S660エリーゼのようなタルガトップ車では体験できません。タルガトップでも真上は風が流れていきますが、後方がふさがっているので後ろからの風の巻き込みが無く、単に天井が開いているだけという走行感覚になってしまいます。

オープンカーが難しい(開発者にとって厄介)なのは、風の巻き込みが強くてもダメということです。後ろからの風の巻き込みが強すぎると、60キロ、80キロと速度を上げたときに風が強すぎて不快になります。後方の風を制限しづらい4シーターオープン(ミニコンバーチブルなど)に起きやすい問題点です。

当のロードスターRFは風の流れがフルオープンと変わらないレベルで自然です。さすが世界を代表する2シーターオープンカーを20年以上生産しているだけはあります。

リアウインドウ部分が開くという点ではホンダ・S660も似たような構造になっていますが、効果はまるで異なります。S660の開閉式リアウインドウはエンジン音が大きく聞こえるようにする効果はありますが、開放感への寄与は限定的です。

細かいことを言えば、後方からの風の流れはソフトトップロードスターとやや異なります。斜め後ろ(運転席の場合斜め右後ろ)にルーフが残るので、そこからの流れは制限されます。一方その分中央部は風が集中しそうですが、さほど風は巻き込んできません。

中央には透明(おそらくアクリル)な大きいエアロボードが標準装備されているので、巻き込み風を自然で快適な程度に抑えているようです。ここはソフトトップ仕様から変更している点です。

ソフトトップ車のウインドブロッカー

ソフトトップ車ではプラスチック製でメッシュ状のエアロボードが付いています。RFで大型化するにあたって、巻き込み風をより制限するためにメッシュなし・大型化して、後方視界を保つために透明にしたのでしょう。

純正オプション

ちなみに純正オプションで用意されているエアロボードとは形状が異なります。

 

後方視界

ロードスターRFをオープンで乗っていて、「フルオープンじゃないんだなぁ」と最も感じる場面は後ろを振り返ったときです。斜め後ろの視界は左右共に絶望的です。特に「窓を開けて顔を出す」すら使えない左後方は最悪です。斜め後ろが見えないと一番困るのはこんなシーン。

狭い道から広い道への狭角合流で、後方から来る車がまったく見えません。サイドミラーでも見えない、いわゆる死角から車が走ってくるので、合流するタイミングがつかめません。

ただし、ソフトトップのロードスターで幌を閉めているときにもまったく同じ問題が発生します。つまりRFの斜め後方視界は、ソフトトップのクローズドと同等ということ。

[斜め後方視界] ロードスター ロードスターRF
オープン
クローズド

ソフトトップでは「開ければ視界抜群」というのがありますが、RFでは「開けても後ろは見えない」ですね。

ロードスターRF と 86

トヨタ・86のようなクーペ車ではサイドウインドウの後ろにクォーターウインドウがあるので斜め後ろも見えますが、ロードスターRFのこの部分はダミーです。

駐車時もたしかに見づらいですが、バックモニターを付ければ実用上問題になることはほとんど無いでしょう。狭角合流には十分注意しましょう。

クローズド

ソフトトップに比べるとずいぶん静かです。よくある普通の実用車(もちろん屋根付き)と同等とまで言ったら言い過ぎですかね。ヴィッツのように静粛性の低いコンパクトカー辺りが近いと思います。

ただし、エンジン回転数によっては音がこもります。ソフトトップではクローズドでの音のこもりはほとんど気になりませんが、RFのクローズドでは結構耳に付きます。3,000~4,000rpm程度の中回転域でこもるので、ちょっと元気よく走るだけでも気になる人には気になると思います。

こういう車で静粛性を気にする必要はないという意見もあるでしょうが、長距離走行では重要な要素です。長距離巡航での疲れを決める要因としては、騒音・振動・視点・操縦安定性・加減速のコントロール性といったところでしょう。長時間「グォーーーー」という音を聴き続けるのは結構疲れます。高速道路の巡航ではエンジン回転数も低くこもり音はあまり気にならないでしょうから、ソフトトップ車よりも疲れにくいと感じるでしょうね。

排気量の違いもあるので、RFのクローズドは長距離巡航への適性が高いと思います。

まとめ

リアウインドウが開くとはいっても、所詮タルガトップではフルオープンほどの開放感は得られないと思っていましたが、良い意味で期待を裏切られました。頑張って比較すればフルオープンとの微妙な差はありますが、ちゃんとオープンカーです。

次回は2.0Lの走りをレビューします。違いはパワーだけじゃない!?

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