プジョー308試乗レビュー!3気筒だしデザインも走りもなんだか拍子抜け

     2016/07/06

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プジョー・308に乗ってきました。

おフレンチなオシャレコンパクトを期待していたのですが、デザインも走りも正直微妙でした。「フランス車」というものに期待しすぎていたんでしょうか?

プジョー・308ってどんな車?

プジョー・308はCセグメントに属するフランス産コンパクトハッチバックです。

フランスからはルノー、プジョー、シトロエンと3社のフランス車が輸入されています。プジョーとシトロエンは現在「PSA・プジョーシトロエン」としてエンジンやプラットフォームの共有化を進めていますが、デザインは個別に開発しています。シトロエンは(昔ほどじゃないにしろ)相変わらずぶっ飛んだデザインな一方、プジョーは比較的まともなデザインです。

プジョー・308に対抗するグループ外のフランス車Cセグメントは、ルノーの「メガーヌ」です。他国車も含めると、Cセグメントと言えば世界的ベンチマークは(排ガス問題で大騒ぎの)フォルクスワーゲン・ゴルフです。比較してみましょう。

車種
グレード
プジョー・308
プレミアム
ルノー・メガーヌ
GTライン
フォルクスワーゲン・ゴルフ
TSIトレンドライン
全長 4,260 mm 4,325 mm 4,265 mm
全幅 1,805 mm 1,810 mm 1,800 mm
全高 1,470 mm 1,460 mm
車重 1,270 kg 1,310 kg 1,240 kg
駆動方式 FF
トランスミッション 6DCT 7DCT
エンジン形式 直列3気筒ガソリンターボ 直列4気筒ガソリンターボ 直列4気筒ガソリンターボ
排気量 1,199 cc 1,197 cc
最高出力 131ps / 5,500rpm 132ps / 5,500rpm 105ps / 4,500-5,500rpm
最大トルク 23.5kgm / 1,750rpm 20.9kgm / 2,000rpm 17.8kgm / 1,400-4,000rpm
フロントサス ストラット
リアサス トーションビーム
燃費 16.1 km/L (未発表) 21.0 km/L
価格 285 万円~ 276 万円~ 266 万円~

いずれもベーシックなグレードでは1.2Lターボ+DCTという最近の欧州車らしい組み合わせになっています。注目すべきはエンジン形式とサスペンション形式です。

3気筒エンジン

最大のポイントはCセグメントながら3気筒エンジンを採用しているということです。現在のCセグメント車はほとんど4気筒エンジンを採用しています。3気筒エンジンになると音や振動がどうしても大きくなってしまうため、どう抑えているかに注目です。

他に3気筒エンジンを積極的に採用しているのはBMWです。BMWの1ブランド「MINI」の下位モデルは3気筒エンジンを搭載しており、残念ながら良い出来ではありません。Bセグメントとはいえ、「プレミアムコンパクト」を自称するには相応しくありませんね。

さらにBMW自身のCセグメント車「1シリーズ」も3気筒を採用するようになりました。

一方で、アウディは3気筒エンジンながら、なかなかの品質を実現しています。こちらもBセグメントですが。

 リアサスペンションはトーションビーム

リアサスペンションにはいずれも安価な「トーションビーム」が使われています。大衆Cセグメントとしては一般的ですが、BMWやアウディ、アルファロメオなどのプレミアムCセグメントでは高価で高性能な「マルチリンク」が使われています。トーションビームは安価な一方、サスペンション自体がコンパクトなのでトランクを広く取れるという利点もあります。

この3台のうち、フォルクスワーゲン・ゴルフは上位グレード「TSIハイライン」(324万円~)になるとリアがマルチリンクにグレードアップします。乗り心地や走行性能ではマルチリンクを使うCセグ車に劣る可能性が高いです。

サスペンション形式について詳しくは以下の記事をご覧ください↓

Cセグメントとは?「過不足なき実用車」のサイズ&特徴&代表車種を整理

エクステリア

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フロントマスクはなかなかにカッコ良いです。ヘッドライトの造形は写真で見る以上に躍動的で、ライン状に配置されたLEDと相まって近未来感があります。

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ちなみに下位グレードではヘッドライトのラインLEDが無くなるので要注意。

なんかこう「もわっ」とか「ぐはっ」とか「ビシューン」いう絶妙な造形はまさにフランス車で(分かりにくい)、「バン!」「デン!」「ボン!」とかいうドイツ車ではどうやっても出せない雰囲気です。(ちなみにイタリア車はもはや擬音ではなく音楽です。)

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フォルクスワーゲン・ゴルフ

フォルクスワーゲンなんかはどう転んでも地味ですからねぇ。エモーショナル(情緒的)な部分が無い。

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リアもテールランプの造形が凝っていますが、ほぼそれだけ。というか全体に見てもライト系以外はあまり特徴的ではないんですよね。

ボディカラーでは赤メタリックが少しエンジがかっていて綺麗でした。この車格にもちょうど合っていると思います。

インテリア

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内装はごくシンプルです。全体にデザイン要素が少ない感じです。細かく見れば凝った造形もあるんですが、さすがにシンプル過ぎます。

内装に使われているパーツのクオリティはルノーやシトロエンの方が上でした。デザインといいクオリティといい、なんかフランス車なのに普通だなぁと感じてしまいました。

本国フランスでは大衆車なのですからそれでも問題無いんでしょうが、日本では「輸入車」で「フランス車」なんですからやはり他(日本車やドイツ車)を上回る価値が無いとなかなか選んでもらえないでしょう。インテリアからはあまり特別感を感じられませんでした。

メーター

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内装で最も罪が大きいのはメーターです。トヨタ・シエンタと同じくステアリングの上から見るタイプです。

シートの着座位置は結構低く出来るのですが、ステアリングを操作しやすい位置に合わせるとメーターが見えなくなります。メーターの視認性を重視すると、シエンタと同じくステアリングをお腹の前で抱えるようなポジションになってしまうので、かなり運転しづらいです。シートを上げればステアリングとメーターをある程度両立させられますが、せっかく欧州Cセグメント車に乗っているのに、運転の下手なオバサンみたいなやたら高い位置で運転するのは気持ち悪いですし楽ではありません。

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こんな見やすい位置にステアリングを持ってくるなんてできませんよ本当に。脚が短く手が長いイタリア人にちょうどいいイタリア車のように、フランス人の体型ならこれでも乗りやすいんですかねぇ? それにしても日本人に乗りにくいトヨタ・シエンタは一体何を考えているんだか……。

タコメーターが右側に反時計回りに針が振れるように付いています。慣れるまでちょっと見にくいですが、デザイン的には面白い試みだと思います。

メーター照明は白ですが、後述するスポーツモードに入ると照明が赤になります。カッコ良くなるのはいいんですが、タコメーターのレッドゾーンが元々赤なのでどこだか分からなくなります。レッドゾーンが問題になるときならスポーツモードに入れるでしょうから、これはちょっといただけませんね。これはいくらでも回して良いってことですかね?

シート

試乗した308はパワーシート装備車ではありませんでしたが、ランバーサポート(腰の部分を膨らませる)だけは電動でした。中途半端な。操作はレバーではなく、謎の絵が描かれたボタンが並んでいてどれを押せばどう動くのか分かりませんでした。こういう分かりやすくする気が無いところがおフランス。

そしてシートにはなぜかマッサージ機能がありました。パワーシート装備車じゃないのに。「フランス人の考えることはよく分かりません」とはディーラーマンのコメント。

ATのセレクトレバーは階段状で、格下のBセグメント「208」とは別物です。サイドブレーキも208は手動ですが、308はVW・ゴルフやアウディ・A3のような電磁式です。日本車では普通のことですが、車格間で操作性が変わらないドイツ車に見慣れていると違和感がありますね。

シート品質は特筆すべきことはありません。柔らかすぎてホールド性はイマイチです。Cセグメントのシートでは今のところボルボ・V40が一番ですね。

走り

1.2Lダウンサイジングターボはパンチの効いた走りをしてくれるわけではなく、車体の重さを感じました。特に登り坂や急加速では物足りなさを強く感じました。同じ1.2Lターボのフォルクスワーゲン・ゴルフ(上位グレードは1.4Lターボ)もあまり力強くはありませんでしたが、308はそれ以上に非力感が強いです。Bセグメントのセカンドカーならこれくらいでもいいんでしょうが、Cセグメントはファーストカーで買う人がほとんどでしょうから、このパワー感ではちょっと残念です。

3気筒エンジンはまあまあ

今のところのCセグメント車ではかなり珍しい3気筒エンジンの採用でしたが、BMW製(試乗したのはBセグメントのミニクーパー)3気筒エンジンほどは振動・音共に気になりませんでした。とは言っても「マシ」なだけであって品質は4気筒の方が確実に上です。大衆車として買う(フランス人にとっての)国産車ならまだしも、200万円台後半となる輸入車でこのクオリティはさすがに厳しいです。競合のルノーが4気筒なだけに苦しいところですね。

ちなみにBMW・1シリーズは298万円~なのに3気筒エンジンです。しかも品質はアウディ以下。ケンカ売ってますね。

スポーツモードでは人工音が出る

308には「スポーツ」という走行モードが用意されています。ですが、モード変更しても走りはほとんど変わらず、パワーが物足りないことには変わりありませんでした。

スポーツモードにすると一番変わるのは音です。スポーツモードでは排気音っぽい人工音がスピーカーから発せられます。フォルクスワーゲン・ゴルフGTEのGTEモードと同じですね。音の方に気を取られているとかなりパワーアップしているように感じてしまいますが、実際のパワーはちょっとしか変わっていません。

トランスミッション

AT(デュアルクラッチトランスミッション)は上出来です。特に違和感もなく普通のATの感覚で乗れます。デュアルクラッチも技術的にこなれてきた感がありますね。

足回り

足は「しなやか」という言葉がそのまま当てはまるような、柔軟ながら安定感のある素晴らしい出来です。(費用対効果を含めて)足回りで感動するのはマツダ・デミオ以来かもしれません。

試乗車はホイールが18インチなのでこれでも多少は固かったようですが、もっと下のホイールサイズならもっと良かったかもしれません。少なくとも足回りについてはフランス車の名に恥じない完成度でした。

まとめ

おフランスなデザインが308の価値だと思いますが、残念ながらインテリアは微妙でした。エクステリアは好みはあるものの、一応はフランス車らしさを出せていると思います。

走りにはかなりのパワー不足が問題です。1.2Lターボエンジンはゴルフ以下の走り、内装はルノー・シトロエン以下。足回りには一点の輝きがありますが、どうもこれでは厳しいなーという感想でした。

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