スズキ・新型ソリオ発売!トヨタ式ハイブリッドとは全く違うので注意

     2016/12/25

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スズキが4代目となる新型ソリオを発売しました。スズキの社長交代劇以降初の新型モデルです。

「マイルドハイブリッド」と呼ばれるハイブリッド仕様車が用意されたことが最大のトピックです。これってS-エネチャージと一緒じゃ……?

ソリオの試乗レビューはこちら↓

スズキ・ソリオってどんな車?

先代ソリオ(3代目)

先代ソリオ(3代目)

スズキ・ソリオの歴史をたどると、軽自動車のワゴンRにたどり着きます。

1997年にワゴンRの普通車版として、ワゴンRをややワイドにして1000ccのエンジンを搭載した「ワゴンRワイド」が登場しました。2代目では国外の販売を考慮しプラットフォームを独立して「ワゴンR+」に。2代目途中から名前を「ワゴンRソリオ」に変更しました。

先代となる3代目の発売は2010年12月。今回約5年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。

新型ソリオのスペック

スペック上は新旧でほとんど変わっていません。ガソリンモデル同士を比較してみましょう。

新型ソリオ
(4代目)
先代ソリオ
(3代目)
全長 3,710 mm
全幅 1,625 mm 1,620 mm
全高 1,745 mm 1,765 mm
車重 930 kg 1,000 kg
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
エンジン 1.2L 自然吸気
最高出力 91 PS / 6,000 rpm
最大トルク 12.0 kgm / 4,800 rpm
価格 146 万円~ 146 万円~

同じガソリンモデルであれば、エンジン性能が同じで70kg軽量化されているため走りは良くなっているでしょう。

ちなみにハイブリッド仕様はわずか20kg増の950kgです。「わずか20kgでハイブリッド搭載なんてスズキすげー!」じゃなく、「20kg増のハイブリッドじゃ大したことないな」が正解です。

全幅は先代から5mmだけ広がって1,625mmです。全幅が1,650mm以下の普通車ってほとんどありません(軽は1,480mm以下)。軽全盛のこの時代に1,650mm以下で4人以上乗れるのは他に3車種しかありません。

スズキ
ソリオ
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フォルクスワーゲン
up!
up
フィアット
500
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フィアット
パンダ
panda
全長 3,710 mm 3,545 mm 3,545 mm 3,655 mm
全幅 1,625 mm 1,650 mm 1,625 mm 1,645 mm
全高 1,745 mm 1,495 mm 1,515 mm 1,550 mm
車重 930 kg 900 kg 990~1,010 kg 1,070 kg
定員 5名 4名 4名 5名
駆動方式 FF
トランスミッション CVT 5AMT * 5AMT * 5AMT *
エンジン 1.2L 自然吸気
(ハイブリッドあり)
1.0L 自然吸気 0.9L ターボ
1.2L 自然吸気
0.9L ターボ
燃費 24.8~27.8 km/L 25.9 km/L 19.4~24.0 km/L 18.4 km/L
価格 146 万円~ 176 万円~ 200 万円~ 214 万円~

* AMTはMTベースのシングルクラッチ式ATです。詳しくはこちら。 ※ up!は3ドアモデルを除く。

フィアット・500は実用性よりデザインを選んだイタリアのおしゃれカーです(試乗レビューはこちら)。3ドアなのでスライドドアのソリオとは方向性がまったく異なります。

パンダだとさすがに価格帯が上がってきますが、フィアットの0.9Lターボは高速走行でも心配ないという魅力もあります。とはいえ、よっぽど幅に制限がないなら、他のコンパクトカーを選んだ方がいいと思います。デザインの異質さは似たような価格の500には敵いませんし。

ソリオと価格帯が近いのはフォルクスワーゲン・up!ですね。1.0Lなので出力はやや劣りますが、軽い車体とドイツ車らしい安定した走りが魅力です。ソリオは176万円のハイブリッドモデルにしないと自動ブレーキが付かないのに対し、up!は全グレード標準装備です。同じ176万円ですねぇ。全高が低いので軽に多い横転の心配も小さいでしょう。

それぞれ乗り味も使い勝手もまるで違うので、車庫などで幅に制限がある人は実際に乗って比べてみるといいと思いますよ。年末あたりにルノーがこのクラスに「トゥインゴ」というRRの5ドアコンパクトを日本で発売するという噂もあるので、それを待つのもいいかもしれません。

ルノー・トゥインゴ

ルノー・トゥインゴ

「マイルドハイブリッド」

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ソリオのハイブリッドは「マイルドハイブリッド」と呼ばれるものです。トヨタ式ハイブリッドとはまったく異なるので注意してください。

マイルドハイブリッドに搭載されるモーターやバッテリーの性能は大きくありません。モーターが使われるのは発進時のみ(最大30秒)。しかもエンジンを補助するのみです。モーターだけでの発進はできません。やっていることはスズキの軽自動車に搭載されるS-エネチャージと同じです。

エンジンが91馬力/12.0kgmに対して、モーターはわずか3.1馬力/5.1kgmです。31馬力ではなく 3.1 馬力です。

ちなみにトヨタ・アクアはエンジンが74馬力/11.3kgm、モーターが61馬力/17.2kgmです。ぜっっっんぜん違いますね。

トヨタ式ハイブリッドでは「モーターのみで静かに発進」「エンジンが始動して協調動作に滑らかに移行」「急加速時はモーター+エンジンで走行」「モーターのみのEV走行も可能」と状況に応じて多彩に制御されますが、ソリオのハイブリッドは発進をわずかに補助するだけ。

もちろんその分ガソリン車より燃費は良くなりますが、じゃあハイブリッドの方がお得になるかと言えばそんなことはありません。

ハイブリッドがお得ではない

日本だけハイブリッドが売れる3つの理由にも書きましたが、ハイブリッド車の方がガソリン車より維持費を含む総額でお得になることは基本的にありません。一般的とされる年間1万キロで試算してみましょう。

ガソリン仕様
G 2WD
ハイブリッド仕様
ハイブリッドMX 2WD
差額
燃費 (JC08) 24.8 km/L 27.8 km/L
燃料単価 131.9 円 131.9 円
年間距離 10,000 km 10,000 km
燃料費 (1年) 53,185 円 47,446 円 - 5,739 円
燃料費 (10年) 約 53 万円 約 47 万円 - 6 万円
車両価格 146 万円 170 万円 + 24 万円

細かい装備差はありますが、ガソリンの「G」と「ハイブリッドMX」(自動ブレーキ非装着)は近い仕様です。価格差は24万円です。

カタログに表記されているJC08モードの燃費を信用すると、ガソリンモデルは24.8km/L、ハイブリッドは27.8km/Lです。マイルドハイブリッドなので差は僅かですね。この燃費で走るとして、現在のレギュラーガソリン価格で計算すると、年間燃料費の差額はわずか 6,000円 です。10年乗ってやっと6万円。

環境負荷がどうのという話はさておき、損得勘定だけでは年間4万キロ以上走らないと元が取れないことになります。そしてハイブリッドカーではバッテリー交換が高くなる(ソリオは高価なリチウムイオン搭載)など別の費用も発生します。

ハイブリッドを選ぶには損得勘定では無い別の理由(=高尚な環境意識か見栄)が必要になるわけですね。ソリオの場合はマイルドハイブリッドなので発進時の滑らかさやモーター単独走行の静粛性は期待できません。

ただ、ソリオの場合は上級グレード「ハイブリッドMZ」がその名の通りハイブリッド仕様なので、ソリオの上級グレードが欲しい場合は消極的にハイブリッドを選ぶことになります。そんな人はそもそも他の車にするんでしょうが。

まとめ

新型ソリオのハイブリッドはあくまで「ハイブリッド」を掲げるためのものだと思います。

軽自動車では規制が怖くて(660ccでもハイブリッドなら軽じゃないだろと言われかねない)「ハイブリッド」ではなく「S-エネチャージ」と違う名称で売り、ハイブリッドを掲げないと売上が伸びない普通車ソリオでは「(マイルド)ハイブリッド」と名乗る。

何も知らない人はトヨタ式をイメージして「ハイブリッドがこんなに安く買えるんだ」と簡単に騙されちゃうんでしょうね……。

ソリオの試乗レビューはこちら↓

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