マツダのピックアップトラック撤退にみるSUV偏重の流れ
マツダがピックアップトラック市場から撤退することを発表しました。得意のSUVに社内資源を集中させるためとのことですが、ちょっと偏りすぎていないか?
ピックアップトラックからの撤退
マツダがピックアップトラックの自社開発・自社生産から撤退することを発表しました。今後はいすゞからOEM供給を受ける(いすゞの車にマツダのエンブレムを付けてマツダが販売する)そうです。
現行「BT-50」
マツダは現在「BT-50」というピックアップトラックを販売しています。フォードと共有するタイ工場で生産されています。
昨年には新モデルの写真がリークしたなんてニセ情報(実際はフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジのリークだった)も出たりしました。
昨年7月にマイナーチェンジを受けてはいますが、現行マツダラインナップの特徴である「スカイアクティブ全面採用」と「魂動デザイン」にはなっていませんでした。
昨年の時点で魂動デザイン非採用のマイナーチェンジを行われたあたり、生産終了が見えていた気がしますが、辞める割には今さらマイナーチェンジを入れるのかよという感じでもありました。
絞り込まれるマツダのラインナップ
前々から情報が出ているように、魂動デザイン&スカイアクティブを採用する車種数は現在よりも絞り込まれる予定です。
マツダは以前、第一世代スカイアクティブ全面採用車を8車種投入すると発表しており、CX-4の発表によって8車種出揃った形になります。
種類 | 日本名 | 海外名 | 海外展開 |
---|---|---|---|
SKYACTIV全面採用(採用順) | |||
中型SUV | CX-5 | 世界 | |
中型セダン ステーションワゴン |
アテンザ | Mazda 6 | 世界 |
小型セダン ハッチバック |
アクセラ | Mazda 3 | 世界 |
コンパクトカー | デミオ | Mazda 2 | 世界 |
小型SUV | CX-3 | 世界 | |
オープンスポーツ | ロードスター | MX-5 | 世界 |
大型SUV | - | CX-9 | 世界 (日本未発売) |
中型SUV | - | CX-4 | 中国先行投入 |
SKYACTIV未採用 or 部分採用 | |||
中型ミニバン | プレマシー → 終了 |
Mazda 5 → 終了 |
世界 |
大型ミニバン | MPV → 終了 |
Mazda 8 → 終了 |
北米以外 |
大型SUV | - | CX-7 → 終了? |
中国専売 |
中型ミニバン | ビアンテ → 終了 |
Biante → 終了 |
日本+アジア一部 |
プレミアムコンパクト | ベリーサ → 終了 |
- | 日本専売 |
ピックアップトラック | - | BT-50 → 終了 |
北米・ オーストラリアなど |
ラインナップにあった3つのミニバンはいずれも生産終了が決まっています。ほぼ日本でしか売れないジャンルですから仕方ありませんね。
BT-50の生産終了が発表されたことで、魂動+スカイでないのは、CX-7が中国専売で細々と続けているだけですね。公式発表は見つけられませんでしたが、CX-7の生産終了も時間の問題でしょう。サイズ違いながらCX-4が先行投入されますしね。
車種の半数がSUV
モデル末期のCX-7を除外すると、マツダの世界販売8車種中4車種がSUVとなります。いくらSUVが世界中で人気を博してるとはいえ、ちょっと偏りすぎではないでしょうか?
確かにSUVが世界的に大流行しています。トヨタもホンダもスズキも日産も、ポルシェだってアルファロメオだってアウディだってランボルギーニだってみんなこぞってSUVを作っています。ポルシェ・カイエンが(ポルシェにしては)馬鹿売れして以降徐々に伸びてきたSUV需要は、今最盛期を迎えていると言えるでしょう。
流行を追えないメーカー
でも流行はいつまでも続きません。人々の趣向や経済動向、石油価格や排出ガス規制など色んな要素で流れが変わります。スポーツカーや高級セダンばかりが売れていた時代に、日本人の半数が軽自動車に乗る時代を予見できたでしょうか?
売れる内に売れる車も作るというのは間違っていないと思います。ですが、流行が下火になったときに、急にSUVを別ジャンルの車に差し替えて売るのは難しいでしょう。車の開発には時間がかかりすぎます。流れが変わってから追っていては間に合いません。
トヨタほどの資本があれば流行を追うのも良いでしょう。フォルクスワーゲンのダウンサイジングターボやトヨタのハイブリッドのように流行を作るのもいいかもしれません。
ロータスのように誰が何と言おうと作りたいモノを作っていては……もう厳しいですね。ロータスはマレーシアの「プロトン」というメーカーの傘下に入りました。
マツダの企業規模で半数を流行に賭けるのは少しやり過ぎ感があります。デミオやアクセラの派生車種なら開発費は比較的安いのでしょうが、それでも1車種作るのは相当コストがかかるはず。CX-3とCX-4のどちらかを外した方が良かったようにも思います。