アウディQ8スポーツに搭載されるマイルドハイブリッドはどんなシステム?
アウディが初公開した大型SUV「Q8スポーツコンセプト」は新開発のマイルドハイブリッドを搭載するとしています。
このマイルドハイブリッドってどんなシステム?
アウディ・Q8スポーツコンセプト
アウディはジュネーブモーターショーで大型SUVのコンセプトカー「Q8スポーツコンセプト」を発表しました。2017年1月のデトロイトモーターショーで発表した「Q8コンセプト」の発展形です。
「Q8コンセプト」ではプラグインハイブリッドシステムの搭載を想定していましたが、今回の「Q8スポーツコンセプト」はマイルドハイブリッドシステムを搭載するそうです。
アウディのマイルドハイブリッドは一体どんなシステムなのでしょうか? 最近スズキがソリオやスイフトで同じ「マイルドハイブリッド」という言葉を使っていますが、それとはどう違うのでしょうか?
Q8スポーツコンセプトのシステム
Q8スポーツコンセプト | ||
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エンジン | 形式 | V型6気筒 |
排気量 | 3.0Lターボ+電動チャージャー | |
最高出力 / 最大トルク | 450ps / 54.0kgm | |
モーター | 最高出力 / 最大トルク | 27ps / 17.3kgm |
バッテリー | 0.9 kWh |
スポーツを名乗る大型SUVですから、パワートレインもそれなりに強力です。
エンジンはV6 3Lターボで450馬力。面白いのが排気による過給(ターボチャージャー)だけでなく、電動コンプレッサーによる過給(電動チャージャー)も行うという点です。ハイブリッドシステムによって電動モーターを動かす電気的な余力がありますからね。それを活用しようというわけです。電動コンプレッサーは0.25秒で70,000rpmまで一気に回せるそうです。
モーターは27馬力。エンジン出力からすると随分小さいですね。
マイルドハイブリッド
アウディはこのシステムを「マイルドハイブリッド」と呼んでいます。他のハイブリッドシステムと比較してみましょう。
採用車種 | プリウス, アクア など |
フィットハイブリッド Q8スポーツコンセプト など |
ソリオ | ソリオ スイフト ワゴンR |
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モーター出力 (目安) |
60~80馬力 | 20~40馬力 | 10~20馬力 | ~10馬力 |
エンジン/モーター バランス |
同等 | エンジン優位 | エンジン優位 | エンジン中心 |
モーター単独発進 | ○ | ○ | ○ | × (ワゴンR:○) |
モーター単独走行 | ○ | ○ | × | × |
自動車業界での 呼び方 |
ストロングハイブリッド | マイルドハイブリッド | - | |
スズキの呼び方 | - | - | フルハイブリッド | S-エネチャージ マイルドハイブリッド |
この表に当てはめると、モーターが27馬力のQ8スポーツコンセプトはフィットハイブリッドと同じく「自動車業界的マイルドハイブリッド」に属します。
エンジン出力が非常に大きいとは言っても、車を動かすために必要な力はそれほど変わりません。「自力発進ができる程度のパワーがあるモーターを搭載している」「エンジンがメインでモーターは補助的」という要件を満たすので「マイルドハイブリッド」と呼ぶのがふさわしいでしょう。
やはりスズキが勝手に呼ぶ「フルハイブリッド」や「マイルドハイブリッド」という呼称は明らかに業界標準から逸脱していますね。価値が無いとまではいいませんが、システムの呼び方で顧客を騙すような商売はやめていただきたいものです。
まとめ
アウディは今後、直噴ターボエンジン「TFSI」とマイルドハイブリッドシステムの組み合わせを「多くのアウディ車に使う」そうです。
巡航に優れるダウンサイジングターボと発進に優れるハイブリッドの組み合わせは一見理想的に見えますが、エンジン以外のシステムをたくさん載せないといけないので車重がかさみ運動性能が低下する可能性もあります。燃費を気にしすぎて走りが退屈な車になってしまわないか心配です。