S660とスーパー7は似ても似つかぬ。

     2016/11/27

※ 6月8日追記。S660に試乗して考えを改めました。軽自動車枠なので全肯定はしませんが、たしかにスーパー7的な要素があると思います。詳細は これは贅沢な公道用カートだ!元ロードスター乗りのS660試乗記 をご覧ください。

ホンダのS660を試乗した感想として、商品性がスーパー7的だ、という記事があった。

【ホンダ S660 試乗】商品性は スーパー7、ネガ要素も「是」とできる人に…

スーパー7ってなに?

ケーターハム・スーパーセブンとはこんな車。


イギリスの小さなメーカーが長年売り続けているスポーツカーです。(昔はロータスだったりニアセブンがあったり色々ありますが割愛。)発売されてから50年を超えていますが、基本コンセプトとデザインをほとんど変えることなく現在まで販売を続けています。

見て分かるように、今となってはかなり特異なデザインで、屋根はおろかドアすらありません。走りに必要なモノ以外をすべて取り去った、純粋に「走るためだけのクルマ」というわけです。

スーパー7、安くはありません。新車だと500万円は優にかかります。それでも小排気量・超軽量のこの車での走りは、他に代えられないものだそうで、世界中にファンがいます。ハイテク装備に囲まれた最近の車とは真逆です。

 

S660と何が似ていると言っているか?

スーパー7は正直便利な車とは到底言えません。むしろ不便のカタマリです。オーディオどころかエアコンやパワステもありません。ドアがないのでパワーウインドウはいりませんが。車内もかなり狭く、太った人だと乗り込むこともできないかもしれません。ですがそれもすべて走りとコンセプトのためです。装備を増やしたら確実にファンは離れるでしょう。

この記事が言わんとしていることは、「S660は多少不便だが、走りにこだわるためだから仕方ない」ということ。そしてそれがスーパー7と似ているんだと。

ユーザーの求めるクルマ

でも冷静になって考えて欲しい。S660は軽自動車。日本における維持費の安さのためだけに存在するセグメントである。ここに参戦している時点で、ユーザーが求めるものは「経済性」もしくは「コストパフォーマンスレシオ」と呼ばれるものである。

つまりユーザーが求めるのは「安いのに素晴らしい」商品である。安さを求めるユーザーが走り以外を犠牲にして問題ないと思っているだろうか? 本当に走りを求めるユーザーならそもそも軽自動車枠のスポーツカーなんか欲しくないはずだ。

S660のスペックが発表される前に「64馬力の自主規制を破ってくるんじゃないか」という噂が流れたのも、「軽自動車なのに素晴らしい」というクルマを求めていたからではないか。

単に走り以外の商品性に劣っていることを、(ホンダはそうは言わないが)「走りのために捨てた」なんて言い訳は通用しないだろう。だったらそもそも軽自動車にするなよと。

  • 「売れるための商品力が欲しいから軽自動車枠」
  • 「走りのために便利さという商品力は捨てた」

これじゃ矛盾していないか?

ほぼ同時期に発売される、マツダ・ロードスターが利便性を含めた商品性に優れることから、こんな言い訳記事を書かせてるんじゃないかなぁと邪推してしまいます。

ちなにに:軽自動車枠のスーパー7は?

スズキの660ccエンジンを積んだ、軽自動車枠のスーパー7なんてのも存在します。でもあれは「ちょうどいいエンジンがあったから載せてみて、せっかくだからタイヤを細くして軽自動車枠に入れてみた」という感じの商品でしょう。新車価格が400万円以上で実用性皆無のスポーツカーを買う人が、軽自動車の税金優遇を重視するとは思えません。

そんな軽スーパーセブンの試乗記はこちら↓

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