ルノートゥインゴ試乗レビュー!オシャレさと廉価車の質が共存するデザイン&実用性
2017/01/07
ルノー・トゥインゴに試乗してきました!
久々のルノー新型車、しかもRR! まずはフランス産スモールカーのデザイン&実用性をチェックしてみましょう。
トゥインゴの走りのレビューはこちら↓
目次
ルノー・トゥインゴってどんな車?
トゥインゴはルノーの新型Aセグメント車です。
メルセデスベンツとの共同開発で、メルセデスベンツの小型車ブランド「スマート」から発売されているスマート・フォーフォーとプラットフォームを共有しています。
駆動方式はRR!
RRという珍しいレイアウトを採用しています。市販車ではトゥインゴの他にポルシェ・911しか無いという貴重なレイアウトです。
変わったレイアウトを採用している車には注意が必要です。世界中の自動車メーカーが試行錯誤していった結果、淘汰され消滅したのがRRというレイアウト。ほとんど使われていないレイアウトには何かしらの欠点があるわけです。RRには燃料タンク位置、静粛性、熱、整備性といった弊害を伴っていることを理解しておきましょう。単に「RR出すとはルノーすげぇ」ではなく、RRの欠点をどこまで抑えられているかが重要です。
RRというよりMR?
そもそもの話として、トゥインゴはRRというよりMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)と言った方が正しいのかもしれません。
エンジン搭載位置は後車軸のほぼ真上です。エンジンレイアウト用語としては、前後車軸の間にエンジンが搭載されていれば「ミッドシップ」です。メーカーがRRだと言っているならRRなんでしょうけど、MRとRRの境目のような気もしますね。
搭載位置が似ている三菱・i はミッドシップです。確かに後車軸より前にエンジンがありますね。
MTは来年発売
トゥインゴのMTモデルは限定車のみでしたが、2017年1月12日に通常のカタログモデルとして発売することが決定しました。1.0L NAで170万円程度になるそうです。
まだ事前予約などは受け付けていないそうです。カタログモデルなので限定台数はありませんが、後述するように納期がかなり長くなっている現状で予約開始になれば納期を巡っての争奪戦になることは必至でしょう。限定車のMTは数分で売り切れたとの話ですしね。
デザイン
イタフラ車らしいオシャレさと、国産コンパクトカーのような空間を使う工夫が共存しています。
ダイハツあたりの軽自動車にありそうなデザインと色ですが、走りは軽自動車のようなかったるいものではありません。
エクステリア
可愛らしくおしゃれ! パッと見の印象がとても良いですね。細かく見るとやっぱり安っぽさもあるんですが、全体の印象には安っぽさが出ていません。
同サイズ・同価格帯のフォルクスワーゲンのup!はオシャレさよりも安っぽさの方が目立ってしまっていますからね。up!は実に大衆車というか新興国向けだなぁと感じますが、トゥインゴは少なくとも外観では廉価車だとは感じさせません。
Aセグメント小型車でオシャレさのある車だと、やはりフィアット・500が直接のライバルでしょうね。ただ、デザインクオリティではトゥインゴの方がやや落ちます。
リアドアが安っぽい!
最も顕著なのがリアドアです。写真では分かりにくいですが、実際に見るとかなり安っぽく感じます。理由はリアドアウインドウがハメコミ式だから。ガラスが3箇所のポッチで留められていて、いかにも取って付けた感のある外観になってしまっています。
窓の開閉は手動式で、隙間が開くように傾ける半固定タイプです。昔の2ドア軽自動車のリアサイドウインドウににはこういった機構もありましたが、最近はめっきり見なくなりました。
このタイプの窓を今でも採用している日本車ってあるんですかね? 国内軽自動車は、コペン・S660・ジムニーの趣味系3車を除くと、3ドアはダイハツ・ミラの商用車仕様「ミラバン」のみとなりました。ミラバンのリアサイドウインドウは完全固定式です。となると「隙間開け」タイプは国内では淘汰されたみたいですね。
ドアハンドルにも差が
他にも安さを感じる箇所があります。例えばドアハンドル。
トゥインゴのフロントドアハンドルはこんな形状。下から指を入れて上に傾けるタイプです。10年ほど前までは、ほぼすべての車がこの形状を採用していましたね。
でも最近はこのタイプが多いですよね。上から握って手前に引くタイプです。現在ではほぼすべての国産登録車がこの握るタイプを採用していますし、軽自動車でも半数以上が握るタイプです。トゥインゴのドアハンドルが安っぽいとまでは言いませんが、一世代前の感じがしてしまいます。
インテリア
内装はなかなかにオシャレです。コストがかけられないからかほとんどがプラスチック製なので高級感は感じられませんが、この素材でよくオシャレさを出したなぁと思います。
ただやはりデザインにかける情熱とか、全体の品質ではフィアット・500ほどではありません。フィアットは欧州でのAセグメント販売台数が最多ですからね。小型車を作らせたらさすがです。
こういうところに質の低さが出てしまっているんですよね。やはり新興国向けであって、プレミアムコンパクトではないんだなぁと感じさせられてしまいます。同じ排気量で比べるとトゥインゴは500より40万円も安いんですから、どこかしかの質が落ちて当然とも言えます。
タコメーターが無い!
苦しいところがタコメーターが無いところです。後日投入されるMTでもありません。これはイタい!
日本でトゥインゴを買うような人は走りを楽しみたい人が多いでしょうから、タコメーターが付かないのはなかなかに残念です。やろうと思えば後付けもできますが、見やすい位置に美しく取り付けるのは難しいです。せめてMTだけでもタコメーターがあれば良かったんですけどね。
メーターは単純な単眼タイプですが、針がかなり小さいので一瞬で読み取るには慣れが必要なようです。メーターを軽視している国産実用車ほどではありませんが、もう少し分かりやすいメーターにして欲しかったところですね。
実用性
リアシート下に収納があって傘などが入ったり、ドアポケットにはペットボトルが入ったりと、日本の軽自動車のような気配り(?)があります。この辺りはデザイン最重視のイタリア車とは違いますね。
トランクはAセグメントとしては結構な広さがありますが、ハッチがかなり斜めなので大きな箱状のものは詰めません。その代わりなのか面白い機構があります。リアシートを一旦倒して固定する金具をくるりと回すと、シートを直角に近い角度で固定できます。
後席の居住性は落ちますが、定員を減らすことなくトランクの実用容積を増やせます。この辺りも軽自動車っぽいですが、機構が一昔前のような感じがします。ここでもやはり新興国向けか、と思ってしまいました。
リアエンジンの影響は?
走行後のトランクは、マットの上だとほんのり暖かみを感じる程度です。ホットカーペットの最弱モードくらいな感じですかね。
マットをめくると結構熱かった(手のひらで触っていられる程度の熱さ)ので、マットがちゃんと遮熱してくれているようですね。
マットの下のネジを6本はずせばエンジンが見られます。オイル交換などはここからアクセスすることになりますね。日常的にオイル残量や色のチェックなんてやらなくていいということですかね。まぁ実際やる人なんてかなり限られているでしょうけど。
フロントにはバッテリー・ラジエーター・ブレーキフルード・ウォッシャータンクだけがあります。
フロントボンネット
ボンネットの開き方が独特です。フロントグリルの一部を開いて、ボンネット全体を手前にずらします。
まとめ
トゥインゴ、大好評だそうで、国内販売予定台数の2.5倍の注文を受けているそうです。納期は半年待ちという状況。
輸入Aセグメントながら「5ドア」「DCT」という二つの大きな武器を持っている上に、「RR」という別の魅力もある。3ドアだったりAMTだったりで500の購入に二の足を踏んでいた人たちが飛びついたという側面もあるでしょうね。
一方で輸入Aセグにありがちな「新興国向けだなぁ」という部分が消し切れてないのも事実です。VW・up!ほどあからさまに安っぽくはないですし、オシャレではあるものの、後席ドアや内装のクオリティに若干の弱さを感じます。
次回はいよいよ走りのレビューです↓
トゥインゴのスペックや他車との比較はこちら↓