新型フィアット500(チンク)発表!どこが変わったの?価格は?日本にはいつ?
2015/07/14
フィアットが新型500を発表しました。フルモデルチェンジになるとの噂もありましたが、基本はキープコンセプトで細かい改良のみとなりました。早速先代と比較してみましょう!
※ 便宜上、今回のモデルチェンジ前を「旧型」、モデルチェンジ後を「新型」と呼びます。日本では新型が入ってくるまでしばらく「旧型」が現行車種です。
フィアット500の試乗記も書いているので是非ご覧ください!
目次
フィアット・500という車
フィアットは7月4日に新型500を発表しました。
7月4日といえば、1957年にフィアットがNUOVA 500(2代目チンク)を発表した日でもあります。今年で58年になりますね。「500」はイタリア語で「チンクエチェント」なので、「チンク」とも良く呼ばれる名車です。NUOVA 500は映画「カリオストロの城」でのルパン三世の愛車として登場したことでも有名ですね。
現在販売されているフィアット500(3代目チンク)は、NUOVA 500から50周年となる2007年に発表されました。すでに8年も経過している(現代の基準では)長期モデルとなっていますね。ちなみにNUOVA 500は20年間も生産されていました。
フィアット・500はおしゃれなAセグメント車の代表車種でもあります。
新型フィアット500の内容
新型のフィアット500はキープコンセプトのお手本のような内容です。8年経過した車種のモデルチェンジなので普通ならデザインを大きく変えてフルモデルチェンジするところですが、基本コンセプトやデザインには大きく手を加えることなく、最小限の変更に留めています。とはいえ、細かい部分も含めると変更されている箇所は1800箇所に及ぶとのことです。
フロントデザイン
並べてみると違いが分かりますが、基本デザインはほとんどそのままですね。フロントマスクの大きな差は、中心のラインが2本になったこと、グリルの形状が変わったこと、ポジションランプ(ほっぺの部分)がやや大きく横長の楕円になったことくらいでしょうか。旧型に比べるとややスポーティになった印象がありますね。
旧型のアバルト500に似てるのかなぁと思いましたが、見てみたらそうでもないようです。
新型のライトは立体感がやや強調されて、クラシカルからモダンな印象になりましたね。光ったときは円形になって、左右あわせて500の「00」を表しているという意味もあるそうです。
リアデザイン
リアの大きな変化はテールランプデザインとバンパー下部ですね。テールランプはよりモダンなデザインになりました。
新型のテールランプは四角になっていて、四角の内部は普通にボディが露出しています。つまり完全に内部が抜かれたドーナツ型のテールランプですね。結構珍しいデザインなんじゃないでしょうか。少なくとも私は他に知りません。
四角のテールと言えば、シトロエン・DS3のテールランプは四角の内部に四角が無限に描かれるように見えるデザイン(マジックミラー)で新鮮でしたね。
テールランプもフロントポジションランプと同じで、左右で500の「00」を表す意味もあるそうですよ。
フロント・リアを見た印象としては、新型500のデザインは「クラシカルとモダンの融合」だと思いました。旧型もNUOVAに比べればかなりモダンなデザインなんですが、今回のモデルチェンジではクラシカルさを存分に残しつつ、適所にモダンさを足しているように感じました。
インテリア
内装もがっつりキープコンセプトですね。というか全然変わっていません。液晶ディスプレイが埋め込まれた以外はほとんど同じです。細かく見ていくと、ステアリングデザインやメーターデザインなど小さな変更はありますが、完成されたデザインだから変更する必要は無いということなのでしょうね。
ちなみに液晶ディスプレイが埋め込まれるという変更は、同じフィアットグループのアルファロメオ・ジュリエッタの2013年モデルでも同様に行われましたが、日本に導入された2014年モデルでは(オプションか社外品でナビを後付けしてくださいという意味で)小物入れになっていました。
恐らく自社ユニットには日本用のナビゲーションシステムが入れられてないことが原因だと思います。フィアット・500も同じようになる可能性が高いですね。
新型500のサイズ
何より素晴らしいのはサイズが一切変更されなかったことですね。旧型の日本仕様のサイズを紹介しておきます。
フィアット・500 (旧型・新型) |
|
---|---|
全長 | 3,545 mm |
全幅 | 1,625 mm |
全高 | 1,515 mm |
ホイールベース | 2,300 mm |
トレッド 前/後 | 1,415 / 1,410 mm |
昨今の衝突安全性の要求や、何でも大きい方がいいと思っている某国の影響で、リバイバルカーに限らずどんな車もモデルチェンジの度にどんどん大きくなるのがほとんどです。過去を振り返ればコンパクトと呼ばれた車がどんどん大きくなって、より小さい車を求める日本などの市場のために一回り小さな新型車が投入されるという流れは何度も繰り返されてきました。
実用車と言うより趣味車であるスポーツカーやリバイバルカーでは別車種を追加が難しいので、現行車種にサイズを死守してもらわないとどんどん大きくなるばかりです。そしてサイズを守れずにどんどん大きくなってしまった例がコレ。
もはやミニなのは名前だけで、サイズもデザインもビッグな車になってしまいましたね。
フィアット500は初代BMWミニ(右から2番目)よりも小さな全長・全幅を保っています! (軽自動車や昔の5ナンバーのように規格サイズに入れる必要の無い車種としては)これ結構スゴいことなんですよ。
新型500のパワートレイン
エンジン
新型500には多様なエンジンが用意されています。地域毎に異なりますが、直列2気筒 0.9L ターボ「ツインエア」、直列4気筒 1.2L 自然吸気(ガソリン と LPG&ガソリン)、直列4気筒 1.4L 自然吸気、直列4気筒 1.3L ディーゼルが用意されるとのこと。
とはいえ多様なエンジンは旧型も同じで、実際に日本に導入されるのは旧型と同じ2種でしょう。
- 直列2気筒 0.9L ガソリンターボ「ツインエア」:85 PS,14.8 kgm
- 直列4気筒 1.2L ガソリン自然吸気:69 PS,10.4 kgm
分かりにくい組み合わせですが、「ツインエア」と呼ばれる2気筒ターボの方が値段が高く、ドコドコと古めかしい振動と音を奏でながらパワフルに走る、クラシカルなチンクの雰囲気にぴったりのエンジンです。いつか壊れるんじゃないかというような荒々しいエンジンの鼓動(超褒め言葉)はNUOVA 500の頃のエンジンを思い起こさせます。2気筒小排気量ターボは、スズキが2気筒ディーゼルエンジンを開発したなど、注目されつつある形態ですね。
とはいえ、さほどパワーが不要で、チンクらしい古めかしい雰囲気よりも安楽に走りたい場合には1.2Lの方が合っていると思います。安いですし。
私は旧型で両方のエンジンに試乗しましたが、チンクをファーストカーにして楽しむならツインエア、おしゃれセカンドカーにするなら1.2Lかな、と思いました。高速を走るならツインエアのがパワーがあっていいと思います。
トランスミッション
トランスミッションは旧型と同じく5MT/6MTと、「デュアロジック」と呼ばれるATが選べます。ちなにに旧型では日本には6MTが入っていませんでした。
「デュアロジック」は構造上MTと同じでクラッチ・変速操作を電子制御しているシングルクラッチMTというものです。最近VW・ゴルフを始め多くに採用されているデュアルクラッチMTと同じようなものなのですが、シングルクラッチの場合は変速がややぎこちないです。
実際乗ってみると分かりますが、VW・ゴルフやアルファロメオ・ジュリエッタに採用されているデュアルクラッチMTは、[通常のトルコン式ATのような滑らかさ+MTと同じ滑りの無さ]なのですが、シングルクラッチMTは免許取り立てのドライバーの変速操作のようにやや下手っぴ(失礼)です。買う前には絶対試乗してくださいね。
日本にはいつ入ってくる? 価格は?
イタリア車のモデルチェンジの日本への導入は結構時間がかかります。同じフィアットグループのアルファロメオ・ジュリエッタのモデルチェンジ(マイナーチェンジ)の場合には9ヶ月ほどかかったので、新型500が日本で見られるのは(並行輸入は別として)2016年の年明け以降かなぁというのが私の予想です。
現在販売されている旧型から大きく変わっていませんし、現在特別値引きされているわけではない、エンジンやトランスミッションも同じとなれば、新型の価格は旧型とほぼ同じになると思います。ただ、新型が入ってくる頃になると旧型が大きく値引きされる可能性が高いので、特に新型にこだわりが無いのであればその頃の旧型は狙い目だと思いますよ。
ちなみにキャンバストップ(屋根の部分だけが開くタイプのオープンカー)版の500Cも旧型と同様に発表されたので、こちらもセットで日本に入ってくるでしょうね。
フィアット500の試乗記も書いているのでぜひご覧くださいね!
日本のフィアットでは、もうすぐフィアット500のSUV版「500X」が発売されますね↓
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