ロータスが中国企業の傘下に!ボルボと同じ吉利汽車へ。何が変わる?

   

イギリスのスポーツカーメーカー「ロータス」が、中国の「吉利汽車ホールディングス」の傘下に入ることが発表されました。

ボルボに続いて欧州自動車メーカーが中国資本に食われたわけですが、そもそも吉利汽車ってどんな会社なんでしょうか?

ロータス・カーズ

ロータスはイギリスの自動車メーカーです。かつてはカーレースでの活躍から「名門」と呼ばたほどの老舗メーカーです。

スポーツカーが売れないと言われる現代において、ロータスは異質な存在です。ラインナップはすべてスポーツカー、しかもミッドシップエンジンの後輪駆動です。一応ATが用意されているモデルもありますが、トランスミッションも基本的にはMTという、実用車メーカーの対極にあるようなメーカーです。

市販の後輪駆動MT車を並べてみると、ロータスの極端さが分かると思います。

ロータスの車

ロータス車の特徴はとにかく軽いことです。軽さを追求したスポーツカー=ライトウェイトスポーツカーというジャンルにおいてロータスの右に出るものはありません。軽さのためにはあらゆる犠牲もいとわないほどの極端さです。ロータスを代表するスポーツカー「エリーゼ」は、2001年になるまでエアコンがオプションですら用意されなかったほど。最近ではエアコンやエアバッグなどが装備されるようになりましたが、車内空間はとても600万円の車とは思えません。でもいいんです。軽いんですから。

もっと極端なモデルでは、ドアは固定式でフロントウインドウすらありません。もはや変態ですね!(褒め言葉)

量産車メーカーの一つとして数えられるロータスですが、その車造りはレーシングカーを作るかのごとく手作業の部分が多くあるそうです。

ロータスの親会社

ロータスの経営は決して安定したものではなく、過去にも色々なメーカーの傘下に入ってきました。1980年代にはゼネラルモーターズの傘下に入りましたが、1993年にブガッティに売却されました。でも当のブガッティが2年後に破産してしまい、翌年(1996年)にはプロトンの傘下に入りました。

「プロトン」は、マレーシアの自動車メーカーです。マレーシア政府のバックアップの下に設立された、いわば国営企業です。マレーシアといえばかつてはイギリスの植民地だった時代もあります。イギリスのロータスを傘下に入れた背景には、そうした関係も影響しているのでしょう。

マレーシアから中国へ

プロトンの親会社は、マレーシアの複合企業「DRB-ハイコム」です。今回の発表は、DRB-ハイコムがプロトン株を中国の「吉利汽車」に売却したことが中心にあります。そして吉利汽車は同時に、ロータス株の51%を取得して傘下に収めました。

ロータスはマレーシア企業から中国企業へと親会社が変わったということです。

吉利汽車ってどんな会社?

「吉利汽車」は見ての通り中国企業です。英名称は「Geely(ジーリー) Automobile」だそうです。1997年に自動車の生産を始めた若いメーカーで、中国国内のシェアは3%程度です。年間生産台数(ボルボ除く)で言えば、日本の三菱自動車よりやや少ない程度です。

一方で2010年にはスウェーデンの自動車メーカー・ボルボを買収したことで注目されたこともありました。

そんなメーカーが、今度はプロトンと、その傘下のロータスに手を出したということです。

ロータス車への影響は?

今後のロータス車へどう影響するかを推し量るには、同じ吉利汽車傘下のボルボの状況を見るべきでしょう。

ボルボの車造りの変化には賛否があるでしょうが、少なくとも世間には受け入れられているようで、経営状況は悪くありません。吉利汽車はボルボのブランドを守ることにも注力しているようで、ボルボの誇る「スカンジナビアン・デザイン」(北欧的デザイン)も維持されているように思います。

ロータスに関しても、中国資本になったからといって急にまったく違う車を作り始めるということはないでしょう。しかし長期的に見れば、調達・生産体制の効率化や販売台数の押し上げのために、もう少し内装や装備のグレードが上がるのではないかなぁと思います。そこでちゃんとロータスが誇る軽さが維持されるかは、吉利汽車のロータスへの理解次第なのでしょう。

まとめ

ロータスも行ってしまわれましたか……という感じもしますが、元々すでにマレーシア資本になっていたので今さら騒ぐことでもないように思います。むしろ、ボルボブランドを傘下に入れた経験のある企業なら、むやみにロータスブランドを破壊することもなさそうかな、と楽観視しています。

それにしてもイギリスは自動車産業に冷たいですね。純イギリスの自動車メーカーなんてもう残っていないのではないでしょうか。日本と同じ島国ということもあってか、イギリス(というかロータス)の車造りは比較的日本人の感性にも合いやすいのだと思うのですが、かたや自動車大国、かたや高級ブランドが名前だけ残っている国と状況はまるで異なりますね。

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