スズキ、お前もか。燃費不正の対応に反省の色無し
三菱自動車の燃費不正の興奮冷めやらぬ(?)うちに、別の燃費不正のニュースが飛び込んできました。今度はスズキです。
三菱とは不正の種類が異なりますが、不正は不正です。しかも対応が酷い。もしやこれも氷山の一角なのでは?
目次
スズキのやった不正
スズキが不正を行ったのは燃費の測定方法です。規定と異なる測定方法でカタログに掲載する燃費を測定していました。
まさかの全車種で不正な測定
なんと現行の全16車種すべてが不正な方法で燃費を測定していました。全部ですよ全部。軽のワゴンRやアルト、普通車(正確には登録車)のソリオやスイフト、最近は発売されたバレーノも全部不正です。
スズキが不正な測定をしたのは16車種・210万台にのぼります。三菱の不正は現行10車種中9車種です。どっちも会社全体で不正が常態化していたわけですね。
スズキが言うには、不正のスタートは2010年頃から。少なくとも5年以上ワルイコトしていたわけです。
不正の内容は “スズキ的には” 軽め
不正の内容はこうです。
- 燃費測定に走行抵抗の測定が必要。
- 走行抵抗の測定は、規定通りだと時間と手間がかかる。風の影響も受けやすい。
- 測定コースが海沿いで風が強い。
- 風の影響を受けにくく測定が簡単な別の方法で測定しちゃえ☆
で、実際に正しい測定と比べてみたら(スズキによれば)誤差は5%以内だったと。
ほぼ同じ内容の不正は三菱自動車も行っていましたが、三菱の場合はさらに「燃費が良くなるように数字を変えていた」という強い悪意のある改ざんでした。
でも不正は不正です。法令で決まっている測定方法ですから、ダメなものはダメです。
スズキの対応は明らかにおかしい
今回発覚した不正に対して、スズキの対応は以下の通り。
- 謝る。
- 公表している値は修正しない。
- 生産・販売は続ける。
不正ですよ不正。法令違反ですよ。なんで修正しないんでしょうか? おかしいでしょ明らかに。
たかだか 5%? バカ言っちゃいけねーよ
5%以内だから誤差は小さい? そんなことはありませんよ。
軽メーカーのライバル・ダイハツと、似たような車種で並べてみました。スズキは上段が公表値、下段が -5% した値です。
スズキ | ダイハツ | ||
アルト | 25.5~37.0 | ミライース | 32.2~35.2 |
24.2~35.2 | |||
ラパン | 27.4~35.6 | ミラココア | 26.8~29.0 |
26.0~33.8 | |||
ワゴンR | 24.2~33.0 | ムーヴ | 25.6~31.0 |
23.0~31.4 | |||
スペーシア | 25.6~32.0 | タント | 24.6~28.0 |
24.3~30.4 | |||
ハスラー | 24.2~32.0 | キャスト | 25.0~30.0 |
23.0~30.4 |
分かりにくい? ではグラフをどうぞ。
すべての車種が5%良く見えているとは言っていませんが、5%の誤差が小さくないことは分かっていただけると思います。なぜなら一番重大な「軽自動車最低燃費」の称号を持つアルトは、5%引くとミライースに負けてしまいます! これは宣伝上かなり大きなダメージです。
実態は「あまり追及されたくない」
スズキの意図は見え見えです。燃費の値を修正しないことで、「不正とは言っても誤差は大したことなかったんだ」「規定通りじゃないだけで良く見せようとしたわけじゃない(=三菱とは違う)」と思って欲しい。そしてスズキの不正なんて忘れて欲しい。
これで値を修正すれば、悪くなった車種について「スズキの○○って○%もサバ読んでたんだ」と言われてしまい、スズキへの注目が長引いてしまいます。三菱の動向が注目されている今なら、スズキの話題はサラッと流されそう。スズキはそれを狙っているんです。
だからちゃんと追及しましょう。すべてのデータを取り直し、カタログを修正し、不正の原因となったしかるべき人が責任を取る。再発防止策を講じてそれを公表し、そして改めて謝罪する。そこまでやって初めて「法令違反」の罪から解放されるのではないでしょうか。
三菱&スズキは氷山の一角なのか
昨年のフォルクスワーゲンの巨大な不正からしばらくの間を空けて、三菱・スズキと立て続けに不正が発覚しました。
こうやって自動車メーカーの不正ニュースが続くと、他のメーカーも多かれ少なかれ不正が行われているのではと思ってしまいます。
私は正直これは氷山の一角なのだと思います。しかも自動車に限らずです。
スペック表に振り回されるメーカー
ライバルメーカーが存在して、何らかの値で評価されることの多い工業製品では、スペック表に書かれるデータの優劣で販売数が大きく左右されることは良くあることです。スマートフォンのバッテリー持続時間、エアコンの能力や電気代指標、プリンターのインク代目安、スピーカーの出力などなど。数字が良ければ良いほど売れるでしょう。でもその数字の正しさを誰が保証してくれるんでしょうか? (法令測定ではありませんが)プリンターの平均インクコストをメーカー以外の人がやったことがあるとは思えません。
特に自動車メーカーは、その企業規模の大きさや試験環境を作る大変さから、すべての測定を第三者機関が行うのは難しいでしょう。改ざんなんて企業ぐるみなら簡単にできてしまうのだと思います。
ライバル商品がこのスペックだから、後発のウチはこれより良くしないと売れない。だからってウソはいけませんよね。嘘ついて金儲け、それは詐欺って言うんですよ。
まとめ
スズキの不正が発覚して、「やっぱり他にもあったのか」と思った人も多いでしょう。それにしても法令違反に対する対応がマズい。問題発覚の初動にミスって大惨事になったマクドナルドを見ていなかったんでしょうか?
今後の動向に注目です。責任ある対応を取るまでちゃんと注目です。とりあえず会長そろそろ降りたらどうですか?