ロードスターRF発表!電動ハードトップがタルガになった理由
2017/02/28
新型ロードスターの電動ハードトップ仕様車「ロードスターRF」が発表されました!
新設計の電動ハードトップは、閉めるとファストバッククーペ風、開けるとタルガトップ風という、今までのロードスターに無いデザインを採用しました。
新しいけど純粋なオープンじゃなくて少し残念!?
※ ロードスターRFの国内向けグレード・価格が発表されました↓
新型ロードスター(通常モデル)のレビューはこちら↓
- 新型ロードスター本気レビュー
目次
新型ロードスターと電動ハードトップ
4代目マツダ・ロードスター(ND型)は、2015年5月に手動格納式のソフトトップ仕様のみで発売されました。
先代までのハードトップ仕様ロードスター
先代となる3代目(NC型)では、ソフトトップが発売された1年後に電動ハードトップ仕様(パワーリトラクタブルハードトップ;通称RHT)が発売されました。
2代目までは取り外し式(外したら家に置いておくしかない)のハードトップしか無かったので、歴代ロードスターで初となる電動ハードトップとなりました。ソフトトップは現在まですべて手動格納式なので、電動なのもこれが初めてでしたね。マツダ以外ではポルシェ・ボクスターをはじめ、電動格納式のソフトトップもたくさんあります。
4代目のハードトップ
現行の4代目も3代目と同様にソフトトップ仕様のみでの発売となったため、「いずれ電動ハードトップ仕様が追加されるのでは?」と方々で噂されていました。マツダが出したハードトップ格納方法の特許から推測するなんて話もありましたね。
すでに発売されているソフトトップ仕様の幌の使い勝手があまりにも素晴らしいので、個人的にはハードトップ出なくても問題ないんじゃないかなぁなんて思っていました。
現行ロードスターのソフトトップについてはガッッツリ詳しく書きました↓
新型ハードトップの構造
新型ハードトップは電動で頭上部分のみがシート後方に格納されます。頭上部分のみです。後方のリアウインドウ部分は残ります。(追記:リアウインドウを覆う部分は残りますが、リアウインドウは格納されるようです)
屋根は前後に7:3くらいで2つに分割されて折りたたまれます。相変わらずうまくできてますねぇ。
オープンカーのうち、頭上のみを解放する形式は「タルガトップ」と呼ばれています。後方まで含めた幌を綺麗に格納するためには技術力やノウハウが必要ですし、 機構が複雑になる分、雨漏りや故障のリスクも上がります。頭上のみを布にしてロールアップすれば、構造が単純になって設計は容易になるのでしょう。
現行ロードスターと近い時期に発売された軽スポーツオープンの「ホンダ・S660」がまさにタルガトップを採用しています。開閉の容易さを置いておいても、解放感ではフルオープン(ソフトトップロードスターのオープン)には絶対に勝てません。
ライトウエイトスポーツの最高峰、ロータスエリーゼも同じ機構です。
でもロードスターの場合は違いますね。先代となる3代目で後方まで折りたたむ電動ハードトップを設計しているわけですから、設計の容易さは理由にならないでしょう。
恐らく理由は「クローズド時のデザイン」です。
リアウインドウの開閉
ロードスターRFのタルガトップの特徴は、リアウインドウが開閉することです。上の画像で分かるように、シート後方に大きなリアウインドウがあり、完全に解放できるようになっています。
「S660と同じやつか」と思うなかれ。S660は真ん中の小さな窓だけが開きます。ロードスターRFのリアウインドウはその7、8倍はあるんじゃないでしょうか。
リアウインドウの格納場所を確保しつつ、屋根をしまい、もちろんトランクは通常通り確保する。相当に難しかったことでしょうね。
開閉動作を考えると、屋根の開閉時にはリアウインドウは閉めておかないといけないのかと思います。スイッチ押したら勝手に窓閉めるんですかね。
追記リアウインドウは固定式で、屋根と一緒に格納されるようです。屋根を開けたときはリアウインドウの枠だけが残るようです。
新型ハードトップのデザイン
今回発表されたハードトップが今までと一番大きく異なるのは、ルーフ後方がタルガトップ状に残ることです。名前は「リトラクタブルファストバック」で略称が「RF」です。
今までのロードスターには無かったデザインですね。マツダ・ロードスターというクルマ自体が「完全にオープンになること」を重要視していた(少数販売されたロードスタークーペを除いて、すべて完全オープンにできた)ことを考えると大きな変革です。
クローズドデザイン
閉めた時のデザインは、これまでのロードスターでは見ることのできなかったクーペ風のデザインです。美しいですねぇ。
名称の「ファストバック」について触れておきましょう。ファストバックとはルーフからリアウインドウ、リアデッキ(トランク)にかけてのラインに明確なノッチ(≒段差)が無く、なだらかに繋がっているものを指します。ポルシェ・911が代表格ですね。
ロードスターRFが完全にファストバックかというと微妙なところかもしれませんが、少なくとも先代のRHTに比べればほぼファストバックを表現できていることと思います。
先代のロードスターではルーフ後端が急角度になっているので、クーペ的美しさを感じることはできませんでした。その分電動格納で完全オープンにできたので、ある種の「機能美」ではあると思うんですが。
ロードスターRFで恐らく最も優先されたのは「クローズド時のデザイン」だと思います。だって美しいですから。
オープンデザイン
横から見ると完全にタルガトップですね。ルーフ後方のピラーはそのまま残り、頭上のみが解放されている状態になります。
スペック比較
今回発表されたのは北米仕様のスペックです。「MX-5 RF」だけでなく、日本名「ロードスターRF」も発表されていますので当然日本でも発売されるでしょうが、現時点では北米仕様として見てみましょう。
車種 | マツダ・ロードスター | ||
---|---|---|---|
グレード | RF (北米仕様) |
ソフトトップ6MT (北米仕様) |
ソフトトップ6MT (日本仕様) |
ボディ形状 | オープン (電動ハードトップ) |
オープン (ソフトトップ) |
|
定員 | 2名 | ||
全長 | 3,915 mm | ||
全幅 | 1,735 mm | ||
全高 | 1,245 mm | 1,235 mm | |
ホイールベース | 2,310 mm | ||
車重 | (未発表) | 1,057 kg | 990~1,020 kg (6MT) |
駆動方式 | FR | ||
トランスミッション | 6MT | 6MT | 6MT |
エンジン形式 | 直列4気筒16V | ||
排気量 | 1,998 cc | 1,496 cc | |
最高出力 | 155hp / 6,000rpm (157ps / 6,000rpm) |
131ps / 7,000rpm | |
最大トルク | 148 lb-ft / 4,600rpm (20.4kgm / 4,600rpm) |
15.3kgm / 4,800rpm | |
フロントサス | ダブルウィッシュボーン式 | ||
リアサス | マルチリンク式 | ||
燃費 | (未発表) | アメリカ燃費基準 11.5 km/L (City) 14.5 km/L (Highway) |
日本燃費基準 17.2 km/L (JC08) |
価格 | $ 31,555~ (約355万円~) |
$ 24,915~ (約280万円~) |
250 万円~ |
発表されたのが北米仕様なので、エンジンは2.0Lです。幌部分以外は基本同じですね。車高は先代RHTと同じく、幌仕様に+10mmです。
残念ながら一番気になる車重は未発表です。ハードトップだけでなく大きなリアウインドウもあるのでソフトトップより重くなるのは確実ですが、どれくらいの差に抑えてくるのか楽しみですね。
ちなみに先代ロードスターのRHTは幌仕様に対して37kgの増加でした。
タルガデザインになった理由
この仕様の登場から推測されるのは、
- オープンで走るのがメインの人は、ソフトトップ仕様を買う
- 電動ハードトップを購入する人は、たまにオープンにする程度で普段はクローズドで走る
ということです。電動ハードトップを買う人は「開けるのが簡単だから」ではなく「閉めているときに快適だから」だろうということです。
ソフトトップを選ぶ人はいつも開ける
実際、幌はいくら性能が良くなっても幌なので、寒暖差や雨音、雪、遮音性、さらに防犯性とどうしてもいろんな部分がハードトップに劣ってしまいます。格納式ハードトップなら、固定屋根ほどではないにしろ、かなり快適に走行できます。
雨の日以外ほとんど開けて走るような人(ロードスターに乗っていた頃の私を含む)は、軽い、安い、即開閉できる、ソフトトップの方を選ぶでしょう。
ハードトップを選ぶ人は閉めている日も多い
ハードトップを選ぶ人は、オープンであること以外のロードスターの別の魅力、FRで軽量でMTで低くてなどを理由にロードスターを選ぶのだとも言えます。必ずしもオープンである必要はなく、ほとんどオープンにしない人もいることでしょう。
ほとんどオープンにしないのに幌車にするのはデメリットが多すぎます。そういう人たちに売り込むにはクローズドでの魅力、快適性やデザインで訴求しないといけません。
タルガトップの魅力
タルガトップになることで解放感はソフトトップにやや劣ってしまうかもしれません。ですが、ロードスターRFは2つの魅力を手に入れました。
- 純クーペにも劣らぬクローズドの美しさ
屋根は残してリアウインドウを開ける、屋根だけ開ける、両方開ける、という開け方のバリエーション
※追記リアウインドウは屋根と一緒に格納される仕組みのようなので、リアウインドウだけを独立して開閉することはできないようです。以下の「NA開け」は残念ながらロードスターRFではできません。
2つ目の「屋根は残してリアウインドウを開ける」というのは、ロードスター界隈で通称「NA開け」とも呼ばれています。初代NA型ロードスターでは幌を開ける前にリアスクリーン両側のファスナーを開ける必要がありました。その機構を逆に利用して、リアスクリーンだけ開けたのがNA開けです。NA開けは解放感こそフルオープンに劣るものの、直射日光を避けられるので、幌を開けられない暑い日にも風が抜ける心地よさを味わえました。NB型で幌機構が簡素化されファスナーを開けなくても幌を畳めるようになったことで、このような開け方はできなくなってしまいました。
まとめ
面白いものが出てきましたね!
「クーペとして美しく完成されたデザインなのに、電動でタルガ風オープンにもできてしまう」がコンセプトなのでしょうか。7:3くらいでクローズドを優先したように思います。先代RHTは4:6くらいですかね。ソフトトップは2:8でオープン優先。
ソフトトップでなく電動ハードトップを買う客層を考えるとこれもアリなのかもしれません。乗ってみるのが今から楽しみです!