コレさえ読めばマツダSKYACTIV-2の目玉「HCCI」が分かる!
2017/08/08
スカイアクティブと魂動デザインで業績を伸ばしているマツダは、2016年から第2世代SKYACTIVを投入していくようです。第2世代SKYACTIVでの採用を目標に開発している「HCCI」という技術を紐解いていきましょう。
HCCIに関する続報はこちら↓ HCCIの投入が正式発表されました!
目次
第2世代スカイアクティブの目玉技術「HCCI燃焼」とは?
マツダは2016年から第2世代スカイアクティブを投入していくとしています。第2世代の目玉技術は「HCCI」です。
HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)とは、「予混合圧縮自動着火」という技術のことです。
ディーゼルエンジン | プラグ式 ガソリンエンジン |
HCCI ガソリンエンジン |
---|---|---|
圧縮した空気に燃料を噴射すると 燃料が自己発火 |
圧縮した混合気(空気+燃料)に 点火プラグで着火 |
圧縮した混合気(空気+燃料)が 自己発火 |
燃料噴射ポイントから 徐々に燃焼が広がる |
点火プラグから 徐々に燃焼が広がる |
混合気のあらゆる場所から 燃焼が起きる |
現在のガソリンエンジンでは、圧縮した空気と燃料に点火プラグで着火することで燃焼させています。一方HCCIでは、点火プラグを使用せずに自己着火するように設計します。ディーゼルエンジンでは燃料を噴射すると自己着火する設計になっていて噴射した場所から着火が始まりますが、HCCI燃焼では燃焼室のあらゆる場所から着火が始まるため、より効率的な燃焼を実現します。
ガソリンエンジンで自己着火を市販車向けに実用化した例はありません。
HCCIのメリット
うまく制御されたHCCIでは燃焼室全体で着火が起きるため、燃焼室の形状に寄らず理想的な燃焼を形成することができます。そのため、燃料をごく薄くした超リーンバーンが可能になり、燃費性能が高まります。さらに、NOxやススがほとんど出ないため、排気ガスがクリーンになるというメリットもあります。
究極のリーンバーンであり、ある意味究極のエンジンと言えます。
なぜHCCIが実用化できないのか
どのメーカーも実用化にこぎ着けていないのには、いくつか理由があります。
HCCI燃焼が使われるのはほんの一部
まず、HCCI燃焼ができる領域が非常に限られていることです。マツダの仁井内進パワートレイン開発本部副本部長も「ガソリンと空気をうまく混ぜて一定の圧力と温度環境下に置いてやると」と言っているように、自己着火できる条件は非常に厳しいものです。車用にHCCI燃焼を採用する場合、HCCIができない領域では通常のプラグ燃焼を用いることになります。つまり、HCCIができる領域が狭すぎると、わざわざ開発して採用しても旨味が少ないということです。
車の場合、回転数やアクセル開度、温度環境がめまぐるしく変化します。ガソリンの品質も地域によってバラバラです。そんな環境下で理想的にHCCI燃焼ができる領域はあまり多くありません。
HCCI燃焼とプラグ燃焼の切り替え
次に、HCCI燃焼とプラグ燃焼の切り替えが難しいことです。環境の変化が激しい車用エンジンで、常にHCCI燃焼にすることはできません。HCCI燃焼ができない領域では通常のプラグ燃焼にするため、その切り替えが必要となります。一般的にHCCI燃焼は低回転~中回転で用いられるため、回転数が変わってHCCI燃焼ができなくなる度にプラグ燃焼に切りかえなければなりません。
HCCI燃焼ができる環境でプラグ燃焼にすれば、自己着火せずにプラグ点火で爆発してHCCIの意味が無くなりますし、HCCI燃焼できないのにプラグに点火しなければ爆発が起きません。
燃費改善効果がさほど高くない
HCCI燃焼はうまく活用すればクリーンで低燃費なガソリンエンジンになります。ですが、現状の技術でHCCI燃焼可能な領域で超リーンバーンができるようになっても、燃費改善効果が高くなければ採用する意味が半減してしまいます。
マツダが目指すスカイアクティブの未来
マツダがスカイアクティブのエンジンで目指しているのは「究極の内燃機関」です。
「直噴エンジン」「リーンバーン」「超高圧縮比(ガソリン)」「超低圧縮比(ディーゼル)」「低フリクションロス」などの技術で、ハイブリッドに頼らなくても内燃機関はまだまだ進化できることを示した第1世代SKYACTIVエンジン。
かつて自動車向けロータリーエンジンを世界で唯一実用化したように、第2世代スカイアクティブでもマツダの技術力の高さを証明してほしいですね。
このHCCI燃焼をロータリーエンジンへも適用する可能性もあります↓
HCCIに関する続報はこちら↓