BMWの次期ロードスターが「Z5」ではなく「Z4」になる理由

   

トヨタ・スープラと共同開発されるBMWのZ4後継モデルの名前は、「Z5」ではなく「Z4」になるはずです。その理由を解説します。

Z4/スープラ後継のスパイショットはこちら↓

次期BMW・Z4

BMWとトヨタがスポーツカーを共同開発しています。BMWは2シーターオープンスポーツカー「Z4」の後継車、トヨタはスポーツカー「スープラ」の後継車になる見込みです。

すでにテスト車両も撮影されていて、初公開は2017年末から2018年あたりを予想されています。

BMW・Z4

BMWには現在「Z4」が販売されています。電動格納式ハードトップを搭載した2シータースポーツカーで、現在販売されているZ4は2009年に発売された2代目モデルです。

「BMW・Z5」にはならない

BMW側の新型モデルについて、「Z5」という仮称で報じているメディアも複数見かけます。でも「Z5」になる可能性は極めて低いです。

BMW車の数字は車格を表す

BMWの車種名につく数字は、基本的に車格(車体サイズやクラス)を表しています。例えば「X1」はBMWのCセグメント車「1シリーズ」のSUV版である(Xが付く)ことを示しています。「X1」の次期モデルも名前は「X1」です。

この法則は「Z○」でも同じ。BMWで2座ロードスターを表す「Z」に、車格の「4」を合わせたのが「Z4」です。車格が変わらない限り、次期モデルも名前は「Z4」です。

ちなみにZは「未来」を意味するドイツ語の「Zukunft」を表していて、BMWで「Z」の付いた車はすべて2人乗りロードスター(オープンスポーツカー)です。

Z4じゃなければ「Z6」

「Z5」を名乗るなら相応に車格を上げる必要がありますね。でもそうすると「Z5」ではなく「Z6」が適切です。

なぜなら、BMWは現在クーペモデルに偶数番号の車種名を使っているからです。「1シリーズ」のクーペ仕様は「2シリーズ」、「3シリーズ」のSUV版「X3」をクーペ風にすると「X4」などですね。元々BMW車の基本モデル(セダン)は奇数番号でしたから、クーペは1増やして偶数となります。

かつては「[奇数]シリーズクーペ」という名前でしたが、2011~2013年頃にかけて[1シリーズクーペ → 2シリーズ]などの再編を行い、現在はクーペモデルはすべて偶数番号になっています。

こうなるとクーペカブリオレ(電動格納式ハードトップ車)のZ4の後継モデルが「Z5」を名乗るのはおかしいですよね。仮に車格を上げて「5シリーズ」クラスになったとしても、付けられる名前は「Z6」。スパイショットから推測されるサイズ感からZ6になる可能性は低いですが、少なくとも「Z5」にはなりません。

クーペの方が数字が大きい理由

ちなみにクーペの方が数字が増えるのは、ヨーロッパでの車格イメージに由来します。

同じボディ・同じエンジンの車に2ドアクーペ仕様と4ドアセダン仕様があって同価格帯の場合、ヨーロッパでは2ドアクーペの方がより上位だと判断されます。おそらくスポーティで所帯じみていないほど余裕がある人にしか買えないというのが理由でしょうが、とにかく2ドアの方が上。

2ドアの方が上なのに、「3シリーズセダン」「3シリーズクーペ」という名前では差が分かりにくいですよね。購買層がイメージする車格に合わせて、クーペの方はクラスを半分上げて「4シリーズ」としたわけです。

「Z8」は存在した

BMW・Z8(2000~2003年)

Zシリーズでも数字が車格を表す証拠に、過去に「Z8」という車が存在しました。

Z8は4.9L V型8気筒エンジンを搭載する高性能スポーツカーでした。右ハンドル仕様がなく価格も高かった(日本では約1,600万円)のでマイナーな車ですが、

勘違いされた理由

次期Z4の名前が「Z5」だと勘違いされたのには理由があります。Z4の前に「Z3」という名前の車があったからです。

BMW・Z3(1996~2002年)

でもZ3の後継だからZ4になったわけではありません。Z4はZ3の上位モデルとして開発されたモデルで、同時期に開発されたそうです。Z3が生産終了してからZ4が販売されたので実質的に後継モデルになりましたが、名前(というか数字)が違っているのは別クラスのモデルだからです。

さらに遡ればBMW・Z1(1989~1991年)という車もありましたが、こちらも車格的にはつじつまが合います。それにZ1とZ3の間に「Z2」なんて車は存在しません。

マツダの「RX」も同じ

同じように勘違いされる好例がマツダのロータリースポーツカー「RX」シリーズです。

3代目RX-7(1991~2002年)

現在の最終モデルは「RX-8」、その前は「RX-7」だったので、次のモデルは「RX-9」と思う方が多いでしょう。でもマツダの数字もBMWと同じく車格を表します。「8」は「7」より車格が上がった(4ドア4人乗りになった)から数字が増えたわけです。

RX-8(2003~2012年)

マツダの他の車も、海外では数字を使った車種名で売られています。Mazda2(日本名:デミオ)、Mazda3(日本名:アクセラ)、Mazda6(日本名:アテンザ)などです。

「RX」でも同じこと。仮に次期ロータリースポーツカーが車格的に「7」であれば「4代目RX-7」になりますし、「9」であれば「初代RX-9」になります。

まとめ

どうも日本人は車格を表す数字に慣れていないようで、こうした勘違いをよく起こしているようです。数字が世代を表すiPhoneなどの影響もあるかもしれません。

車ではフルモデルチェンジしても車種名を変えずに「○代目○○」とすることが多いです。フランスのプジョーは「205 → 206 → 207」のように1の位の数字を増やしていく命名法をとっていましたが、「8」になってからは「○代目208」のようにずっと8にすることを決めました。

そういえば、ボーイング7○7はどうするんでしょうかね? 現在最新モデルは「787」。両端の「7」はクラスなどを表すわけではないので、797の次は「808」にでもするんでしょうかね。

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