トヨタC-HR発売!プリウスSUVの外観は毒を抜かれて凡庸、内装はオジサン向け!?
2016/12/23
トヨタが新型SUV「C-HR」を発売しました。まずはデザインをチェックしてみましょう。
コンセプトカーは奇抜で目を引くデザインでしたが、程よく毒が抜かれてしまって普通な感じにまとまってしまいました。内装からは誰に売りたいかの本音が透けている!?
トヨタ・C-HRってどんな車?
トヨタ・C-HRは、端的に言えばプリウスSUVです。現行プリウス(4代目)とプラットフォームを共有していますし、ハイブリッド車はパワートレインも共通です。ですがデザインはかなり違っていて、独特な印象を受けます。
昨年発表されたコンセプトカー「C-HRコンセプト」が市販にこぎ着けたということですね。
元々市販化前提と言われていましたし、ホンダ・ヴェゼルやマツダ・CX-3などすでに他社から小型SUVが出ていますから、ウチでも出しておこうというところでしょう。トヨタはいつもこの作戦です。
「若者のクルマ離れ」とかいう謎の言葉が言われるようになって久しいですが、C-HRは随所に若者に売りたいという雰囲気がムンムンとしています。でもなー、ちょっと分かってないなぁー。
スペックとか価格とかの話はさておき、今回はC-HRのデザインに注目してみようと思います。
エクステリアデザイン
まずは外観を見てみましょう。
フロントデザイン
アグレッシブでイカツいデザインです。最近のトヨタ車としてはなかなか良いデザインかなぁと思います。
市販車としてはなかなか頑張ったなぁという感じがしますが、コンセプトカーと見比べると色々と劣化してしまった箇所が気になります。
フロントエンブレム周辺は立体感に欠けて、のぺっとした印象になってしまいました。エンブレムからボンネットにかけての抑揚が特徴的だったんですが、毒が抜かれてしまった(もちろん悪い意味で)という感じです。ヘッドライト内部のデザインも普通になってしまいました。
コンセプトカーの時点では1箇所だったバンパーの溝が、市販車仕様では2箇所に増えています。ボディー色と溝が不均一に並ぶことでビッグマックみたいな変な印象をつけてしまっています。
コンセプトカーでは「キリッ」というスタイリッシュな印象だったんですが、市販車仕様では「デーン」という感じでふてぶてしく感じてしまいます。いやートヨタにしては悪くないんですよ? でももっとコンセプトカーの良さを活かして欲しかったですね。
車の成り立ちは現行プリウス(4代目)ベースですが、デザイン的には現行オーリスの方が近いです。現行オーリスは3代目プリウスとプラットフォームを共有しています。トヨタに限ったことではありませんが、似たようなサイズの車は中身がだいたい一緒ですからね。ミニ四駆(シャシーが同じならフタを載せ替えるだけ)と同じです。
リアデザイン
リアは普通の車になってしまいました。非常に残念です。コンセプトカーのときは奇抜ながらいいデザインだったんですけどね。
コンセプトカーの良かったところが全部つぶされています。ちゃんと見てみますか?
これが市販化というやつですかね!? 結局ヴェゼルみたいな凡庸なデザインに落ち着いてしまいましたとさ。もはや別の車ですよコレ。
途中までは良かったのになぁー。コンセプトカーなんていつもそうです。ナンバープレートの位置を変えるなんて根本的なことはやっちゃダメですよ。リアハッチのデザイン台無しです。
サイドライン
サイドラインはうまくまとめたかな、と思います。さすがにコンセプトカー並みのリアドアの小ささや低いルーフラインは市販車には使えませんからね。それにホイールの再現度もなかなか高いです。
とは言っても、ヴェゼルに特徴的なリアドアハンドルと後ろに向けて上がるラインをそのまま採用するのはどうかと思います。
リアドアハンドルを隠して2ドア風に見せるのは、ヴェゼルよりもっともっと前からアルファロメオやシトロエンがやっていた手法です。だから今さら「ヴェゼルからパクった」と言うつもりはありませんが、リアドアハンドルを隠したことを自慢げに紹介する(C-HR公式サイト)のはどうかと思います。何が「ドアハンドルの常識を変えた」だよ!N番煎じじゃねーか!(このエンジニアは悪くありません。新しくないことを、さも新しいかのように宣伝するマーケティングが悪いんです)
インテリアデザイン
インテリアは突っ込みどころ満載です。まず上級グレード「G」と「G-T」の内装を見てください。
茶色って!じーさんか!こんな内装に喜ぶ若者が多いとはとても思えません。
若さを感じる内装ってこういうのじゃないんですかね? 赤だと結構目立つので人によっては勇気がいるかもしれませんが、少なくとも茶色なんかよりは若者ウケがいいはず。
こんな茶色い内装で「トヨタに乗ったことない人にうんぬん」なんてよく言えたものだ。こういうのを欲しがるのは、保守的で「トヨタ車なら安心だ」みたいな中高年がほとんどじゃないですかね。
上級グレードは相応に高いので老人向けだとしましょう(老人がSUVなんてあんまり買わないでしょうが)。安い方の「S」と「S-T」の内装はどうでしょうか。
今度は真っ黒か!白黒画像かと思ったよ! 内装のデザインが微妙に高級車っぽく仕立ててあるせいで、上級セダンみたいになっちゃっています。そっちじゃないんでよなー。「高そう」じゃなくて「カッコ良い」が大事なんだよ。
黒ならこっち。「コックピット」って感じでしょ? これなら素直にカッコイイと言えます。ちゃんとスポーティに仕立てないから高級セダン風になるんですよ。日本では[セダン=オジサン車]ですから若者は喜びません。
エクステリアはカッコ良くしようとしたのに、インテリアは高級感を目指している。デザインの方向性がちぐはぐなんですよ。
まとめ
フロントデザインを見て「なかなか面白い車が出るなぁ」と思っていたんですが、リアは毒が抜かれてしまっているし、内装は茶色or高級セダンという若者とは無縁のデザインでした。若者に売りたいと言いながらも、本当は「どうせ若者は買ってくれないから、金のある中高年に売れればいいや」とか思っているんじゃないかと邪推したくなります。
良い線行っていたのになぁ……何が間違いってトヨタが出すところですよね。「若者が(仕方なくでも)買う」車は出せても「若者が欲しくなる」車を出すのは苦手です。昔の日産やホンダ(シルビアとかシビックRの時代)とか、最近のマツダ(初代CX-5以降)はそこが得意なんですよね。もっと言えば輸入車(ミニとかアルファロメオとかフィアットなど)には得意なメーカーが結構あるんですよね。若者には高くてなかなか買えませんが。
C-HRのスペックと価格を見るとさらに絶望します。若者の財力なめてんのか!もっと金無いっつーの!そんな価格やグレード構成はこちら↓