ダイハツ・ムーヴキャンバス発売!軽ワーバスをメーカーがやっちゃダメだろ
2017/02/14
ダイハツが新型モデル「ムーヴキャンバス」を発売しました。
「ムーヴ」をベースに内外装を変更した派生モデルですが、あからさまにワーゲンバスのデザインをパク……模倣していて酷いです。
目次
ダイハツ・ムーヴキャンバス
9月7日にムーヴキャンバスが発売されました。派生モデルながら一応久々の軽自動車新モデルで、昨年のキャスト発売以来となります。
「ムーヴ」の派生モデル
ムーヴキャンバスは、ダイハツの軽自動車「ムーヴ」をベースにした派生モデルです。ムーヴの派生モデルにはすでに「ムーヴコンテ」があり、コンテとキャンバスは車体サイズが同一です。
コンテもキャンバスも「ムーヴ」がベースなのですが、ムーヴはコンテ/キャンバスより全高が低いです。キャンバスの車体サイズをムーヴコンテと同じにしているのは、多くの部品や衝突設計などを共有するためだと思われます。派生モデルだけでは販売台数を稼げないので、コンテとキャンバスで共同運営しているみたいなものです。
キャンバスの特徴:スライドドア
ムーヴキャンバスの最大の特徴はリアドアにスライドドアを採用していることです。
スライドドア採用車種となると、ダイハツ内ではタントとウェイク、他ではスズキ・スペーシア、ホンダ・N-BOXがあります。しかし、どれも全高が1,700mm以上のノッポな軽ばかりです。ウェイクに至っては1,835mmもあります。全高が高いことを歓迎している人が中にはいるかもしれませんが、ただでさえ車重が軽く全幅が小さい軽自動車をむやみに背を高くしては横転のリスクが上がります(https://www.youtube.com/results?search_query=軽 横転)。それに、非力なエンジンなのに全高を高くすると空気抵抗が増えてさらに走りが悪化します(同じ形なら空気抵抗は前面面積に比例)。
はっきり言って、スライドドアも軽自動車には分不相応です。幅の大きい車での乗り降りを容易にしたり、ミニバンの3列目への乗り込みを容易にするのがスライドドアのメリットですが、軽はそもそも幅が小さいですし、3列目はありません。スライドドアは重いので燃費が悪化しますし、コストが掛かるので車両価格が上がります(高くなっていなければ他が削られてるということ)。手動ではスライドを軽く、電動ではモーターを小さくするためにドアを軽くすることになるので、横からの衝突にもどうしても弱くなります。
他に軽にスライドドアを使うメリットは、子供が隣の車にドアパンチしないことくらいでしょうか。それくらい しつけ でなんとかするか、大人が開けてあげればいいことだと思うんですがね。
幅が1,700mm以上の車だったりすると、チャイルドシートに乗せるときに普通のドアだと大変だなぁとは思いますが、軽は20cm以上も小さいですからね。家の駐車場が軽しか入れないくらい狭いか、駐車がめちゃめちゃ下手かのどちらかなのでしょうか。
内装
ムーヴキャンバスの内装は、通常のムーヴに近いです。ムーヴコンテはコラムシフト(シフトレバーがハンドル軸からウインカーレバーのように出ている)ですが、ムーヴキャンバスはムーヴと同じくインパネシフトです。エアコン操作パネルもムーヴと同一のようですね。
メーターは中央にあります。ダイハツだとタントも中央メーターですね。実家にタントがあるので何度も運転したことがありますが、中央メーターは不便というより不快です。運転手は右にいて、運転中の視線は正面なのに、何が楽しくてメーターを見るために左を見なきゃいけないんでしょうか? 中央メーターは百害あって一利なしだと思います。メーターがあるべきハンドルの正面には収納があるんですよ? こんな所にまで収納を作るなんて気持ち悪いです。クローゼットじゃないんだから。
ワーゲンバスのパクリ?
キャンバスのもう一つの特徴は、デザインです。あからさまにワーゲンバスのデザインをパクっています。
ワーゲンバス
知らない人のためにワーゲンバスについて触れておきましょう。
「フォルクスワーゲン・タイプ2」、通称ワーゲンバス(ワーバス)は、1950年に発売されたフォルクスワーゲンの商用車です。タイプ2の名の通りタイプ1(通称ビートル)に続くモデルでした。特に1950年~1967年の第1世代(T1)が有名で、1960年代のヒッピームーブメントを象徴する車でもありました。
特徴的なデザインは今でも人気がありますが、T1の生産終了から約50年がたち、オリジナルのワーゲンバスを維持することはかなり難しくなっています。そこで目を付けられたのが軽自動車のバンです。
ワーゲンバス風の軽自動車
スバル・サンバーなどの軽自動車をベースに、バンパーやヘッドライトを変更し、ワーゲンバスの特徴でもある上下2トーンカラーに塗りわけて、ワーゲンバス風に仕立てるわけです。こだわった車両ではリアデザインや内装もそれらしく改造しているようです。
改造とは言ってもシャシーやエンジンなどには手を入れないので、車検を通すのもあまり難しくありません(恐らく車体サイズ変更のみ)し、元は日本の軽自動車なので信頼性や燃費に心配はありません。
一部の個人ショップが始めたものらしく、車両持ち込みでの改造の他に完成車の販売も行われているようです。
と、ここまでは趣味の世界。車の使い方は自由ですし、面白い試みだと思います。
メーカーがパクっちゃだめでしょ!
趣味で真似ていた物を、メーカーがやってしまってはダメです。企業レベルのパクリですよ。中国や韓国じゃないんだから。
上部は白、下部はパステルカラーで塗りわけられた2トーンカラー。色の境目はドアウインドウやや下。フロントにかけて境界線は下がっていき、フロントエンブレムは白の上に置かれる。明らかにパクってます。
最近のトヨタ/ダイハツ車の多くは、フロントエンブレムがメーカーのものではなく、車種別になっています。ムーヴキャンバスに採用されたエンブレムはもちろん円形。フォルクスワーゲンが円形ですからね。このエンブレム、ベースのムーヴやムーヴコンテとは異なり
ます。
ダイハツ、パクリの歴史
似たのは偶然だって? そんなことはありません。ダイハツは名車をパクるのが好きなんです。
1999年発売のダイハツ・ミラジーノはムーヴキャンバス以上にあからさまに「ミニ」のデザインを盗みました。オプションでルーフ塗り分けがあるなど、すがすがしいほどに開き直っていました。
酷いのはその後です。2001年にBMWが「ミニ」ブランドを立ち上げ、新モデルを発売しました。するとダイハツは3年後にミラジーノをモデルチェンジし、新型「ミニ」に似せてきました! やり過ぎですよ。
ムーヴキャンバスはダイハツのパクリの歴史を引き継ぐ物になりましたね。こんな日本メーカーが存在しているなんて、残念な限りです。
スペック
一応スペックを見ておきましょう。サイズが同一のムーヴコンテの他に、スライドドア採用のタントも表に加えました。
サイズはムーヴコンテと同一ですが、車重は1割増となり80kgも重くなっています。スライドドアがいかに重量物なのかが分かりますね。
意外なのはホイールベースです。実はホイールベースで見るとタントと同一なんですね。ここもムーヴコンテと同じかと思いました。
まとめ
車体サイズとエンジンに変化をつけにくい軽自動車で、バリエーションを出すために派生モデルを作るのは良いことだと思います。ですが、パクりはダメです。ダイハツにプライドは無いんでしょうか? 実に残念です。
パクリが許容できるのはドアノブデザイン程度まででしょうかね。
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