ホットハッチならやっぱMTでしょ!VWがMT車の受注開始―6年ぶり
2015/07/03
フォルクスワーゲンが6年ぶりにMTモデルを設定することを発表しました。6月11日から受注を開始するそうです。
MTが設定される車種は?
- ポロGTI
- ゴルフGTI
- ゴルフR
の3車種にMTが設定されます。すべてフォルクスワーゲン製のトランスミッションを搭載します。
なんでずっとMTが無かったの?
需要がなかった、といえばそれまでですが、相応の理由もありました。
VW・ゴルフでは、2003年発売の5代目ゴルフからデュアルクラッチトランスミッション「DSG」(非トルコンで構造がMTと同一の自動変速機:一般名DCT)を本格展開し、2008年の6代目ゴルフでトルコン式ATが無くなりました。
急加速時の滑り感が消しきれないトルコン式に対して、DCTでは構造上滑りは発生しません。変速の速度は人間が操作するMTよりも速く、単に速度だけを求めるならDCTの方が理想的です。変速フィーリングも、当初こそトルコンに劣りましたが、現在では変速ショックやダウンシフトのスムーズさはトルコン式とほぼ同レベルに来ています。実際、さほど車に詳しくない人はトルコン式とDCTを見分けられないでしょう。MT派の人も、燃費性能やダイレクト感はMTと同一、変速速度はMT以上なので、「MTを操る楽しさ」を除けばMTを積極的に選ぶ理由はほぼ無くなってしまいます。
日本ではAT車がほとんどという事情もあるので、アメリカやヨーロッパから車を運ばないといけない輸入車メーカーにとってはラインナップが増えるだけでもコストがかかるため、あまり売れないMT車を外すのは通常の経営判断です。
さらに、数あるクルマの中でフォルクスワーゲンのハッチバックを選ぶ人は、堅実な30~50代の男性が多くを占めると思います。MTをラインナップしていても、MT車を買う人はそもそもフォルクスワーゲンを選ばないという事情もあるのでしょう。
今回復活することになったのは、ルノー・メガーヌRS、今後出るであろうマツダスピードアクセラなどのFFホットハッチではMTが選択できる(アクセラでは全グレードで6MTが選択可)ので、ハイパフォーマンスモデルのラインナップを補強するためにMTを復活させたのでしょう。
今回復活するMT車の仕様
今回MTが設定されるのは、フォルクスワーゲンの中でもスポーツモデルである「GTI」と「R」です。
中でもポロGTIでは、MT車向けに出力特性がチューニングされています。最大トルクがDSGの25.5kgm (250Nm) から32.6kgm (320Nm)に大幅に上昇しています。これはDSGで許容トルクを高くするとコストが上がってしまうため、ポロGTIのDSG向けには最大トルクが抑えられていたという事情があるからです。それに伴って、最大出力192馬力が得られる範囲が5,400-6,200rpmから4,300-6,200rpmに改善しました。
ゴルフGTIとゴルフRについてはエンジン仕様に変更はありません。
価格
ポロGTIが328万円~、ゴルフGTIが389万円~、ゴルフRが539万円~となっています。