CX-5にMT&2.5Lターボ追加!選択肢が増えるのはいいけど、なぜコレが選べない!!

   

マツダの中型SUV「CX-5」に、待望のMTモデルと現マツダ最強エンジンとなる2.5Lガソリンターボエンジンが追加されました! ラインナップ増強の背景を探ると、マツダと他社の違いが見えてきます。

MT追加!

CX-5についにMTが追加されました! これで現行7車種(OEMを除く、デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5、CX-8、ロードスター)のうちMTの設定が無いのはCX-8のみとなりました。ATが圧倒的多数派の日本でこのラインナップはかなりスゴいことです。

消えていく国産MT車

トヨタは(車種の数え方によるものの)乗用車23車種中、国内向けにMTの設定があるのはカローラ、ヴィッツ、86のわずか3車種。主力のハイブリッドがMTと組み合わせられない(下記事参照)とはいえ、天下のトヨタとしてはあまりにも貧弱なラインナップです。売れる車優先、逆を言えば売れない車は作らないトヨタとしては当然なのでしょうけど。

ホンダでさえMT設定があるのは軽バンのバモスを入れても5車種のみ。マツダのMT 6車種がいかに多いかが分かると思います。

マツダだからできた!?

マツダは生産ラインが特殊で、様々な車種が1つのラインに流れてきてそれぞれに適切な部品・作業を行う方式です。トヨタなどに比べて小規模なメーカーながらトランスミッションのラインナップを増やせるのは、おそらくこの生産方式も一因なのでしょう。

とはいえ、トランスミッションの選択肢を増やすことはそのままパワートレーンの組み合わせの増加となります。例えば燃費測定は[エンジン・駆動方式・トランスミッション]の組み合わせごとに測定しなければならないので、全グレードにMTを追加すれば組み合わせはそのまま倍になります。

MTのラインナップを増やしたのは、生産方式の違いだけでなく、走る歓びを知って欲しいという企業理念や、MT車を欲する購買層(≒クルマ好き)に支持されているということも影響しているようです。

「CX-5に追加」という所は、単純にCX-5が売れているから増強する余力があるというよりも、選択肢を増やしつつ話題作りをして販売をさらに伸ばしたいということに思います。クラスの近いトヨタ・C-HRが販売を伸ばしているところに顧客を奪いに行くのではなく、「MT」や「ハイパワーターボ」といった同クラス他車種に無い魅力を足して新たな客層を切り開きたいということに見えます。

2.5Lガソリンターボ追加!

CX-5に、日本未導入だった(マツダのいずれの車種でも使われていなかった)2.5Lガソリンターボエンジンが追加設定されました。スペックは出力230馬力・トルク42.8kgmと強烈です。

最高でも、アテンザとCX-5に搭載されている2.5Lガソリン(自然吸気)の190ps/25.7kgmと、アクセラ・アテンザ・CX-5に搭載されている2.2Lディーゼルの190ps/45.9kgmまででしたからね。堂々の最強仕様です。

マツダの高性能ターボエンジン(ここではロータリーを除く)といえば、「マツダスピードアテンザ」や「マツダスピードアクセラ」が思い出されます。MSアクセラ(2006~2013年)は2.3Lターボ・264ps / 38.7kgmで、最高出力が5,500rpmで発揮される高回転型エンジンでした。MSアテンザ(2005~2008年)も、2.3Lターボ・272ps / 38.7kgmの同じく高回転型エンジンでした。今回のCX-5の最高出力回転数は4,250rpm、最大トルクに至っては2,000rpmから発揮されるので、マツダスピード系よりトルク型のエンジンだと言えます。

2.5Lガソリンターボは意外とマニアック!?

現在2.5Lガソリンターボエンジンはあまり使われていません。国内で販売している2.5Lガソリンターボエンジンを搭載車は以下の4車種のみです。

[追加]
マツダ・CX-5
直列4気筒
230ps / 42.8kgm
アウディ・Q3 直列5気筒
310ps / 42.8kgm
アウディ・RS3 直列5気筒
367ps / 47.4kgm
ポルシェ・718ボクスター/ケイマン 水平対向4気筒
350ps / 42.8kgm
ボルボ・XC60 直列5気筒
254ps / 36.7kgm

直列5気筒 と 水平対向4気筒 という、いずれもやや風変わりなエンジン形式ですね。もう少し排気量の範囲を広げても、フォードの2.3Lターボ、ポルシェ・パナメーラの2.9Lターボくらいしかありません。3.0Lターボに広げても欧州車ばかりで日本車はありません。かつてはスカイラインとスカイラインGT-Rがそれぞれ2.5Lターボと2.6Lツインターボを搭載していたことが有名ですが、今では小排気量化と低燃費化の波に押されて、大排気量ターボエンジンは稀な存在となってしまったのでしょうかね。(もちろんいまでも3.7LターボのGT-Rや3.4LターボのレクサスLSなどもありますが。)

その組み合わせは?

2.5LターボとMTが新しくラインナップされたものの、その2つを組み合わせることはできません

CX-5で選択
可能な組み合わせ
FF 4WD
AT MT AT MT
2.0L
ガソリン
257 万円~
2.5L
ガソリン
280 万円~
2.5L
ガソリンターボ
333 万円~
2.2L
ディーゼル
288 万円~

見ての通り、MTを選択できるのは2.2Lディーゼルエンジンのみ。新たに加わった2.5Lガソリンターボは、4WDは選べるものの、MTにはできません。

先ほども述べたように、トランスミッションの組み合わせを増やすと、製造だけでなく測定やテストのコストも増加します。4種のエンジンのうち1つだけにMTを設定するとしたら、マツダSUVらしさを最も感じられるディーゼルエンジン(SKYACTIV-D)を選ぶのが妥当だということには同意します。これがアクセラやアテンザなら、かつてのマツダスピード系のようにガソリンターボエンジンにMTを組み合わせた方が面白いのでしょうけどね。

まとめ

ハイパワーターボ+MTは選べないものの、ラインナップの増加は素直に喜べるものだと思います。MT好きな筆者としては、MT絶滅の危機の最中、非スポーツカーにMTをラインナップした勇気には賛辞を送りたいです。

CX-5の新たな選択肢がユーザーにどう受け止められるかによって、今後のマツダ車のパワートレインラインナップを左右していくことでしょう。

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