フィアット500&500C試乗記!TwinAirと1.2の走りの違い
2015/08/03
新型が発表されたばかりのフィアット・500。先日3度に渡って フィアット・500 と フィアット・500C(キャンバストップ) に試乗する機会があったので試乗記にしたいと思います。新型も早く乗ってみたいですね。
個人的にはセカンドカーの最有力候補です。いつ買うか分かりませんが。
長くなってしまったので4回に分けました。
今回は2種類のエンジン、TwinAirと1.2の走りの違いをレビューします。
2つのエンジン
フィアット500/500Cには2種類のエンジンが用意されています。
1.2 | TwinAir | |
---|---|---|
形式 | 直列4気筒 SOHC | 直列2気筒 マルチエア |
排気量 | 1,240 cc | 875 cc |
過給器 | 自然吸気 | インタークーラー付きターボ |
ボア×ストローク | 70.8×78.8 mm | 80.5×86.0mm |
圧縮比 | 11.1 | 10 |
最高出力 | 69 PS / 5,500 rpm | 85 PS / 5,500 rpm |
最大トルク | 10.4 kgm / 3,000 rpm | 14.8 kgm / 1,900 rpm |
1.2の方は、日本車ではあまり見られなくなったSOHCの自然吸気エンジンです。出力やトルクは日本車の1000ccエンジンとほぼ同等です。(参考:トヨタ・ヴィッツの1000ccは69 PS, 12.1kgm)
TwinAirは今どき珍しい2気筒エンジンです。最近スズキも2気筒エンジンを開発しました → スズキが2気筒ディーゼルエンジンを開発!2気筒は普及するか?
排気量は0.9Lと小さいですが、ターボ過給するのでパワーは1.2よりあります。ヨーロッパで主流のダウンサイジングの流れが元々小排気量のエンジンにも適用されてきたということですね。
グレード構成,国内価格
エンジン | グレード | 500 | 500C |
---|---|---|---|
TwinAir 0.9L ターボ |
Lounge | 258万円~ | 278万円~ |
Pop | 227万円~ | - | |
1.2 1.2L NA |
Lounge | - | - |
Pop | 200万円~ | 251万円~ |
500で1.2から価格差27万円でTwinAirになります。一方、500Cでは同じ27万円でTwinAirになった上、グレードが下位「Pop」から上位「Lounge」になります。500Cの方がTwinAirを選んだ際のお得感が大きいですね。
グレード間の差はHIDヘッドライトやオートエアコン、ホイール(500は14インチ鉄→15インチアルミ、500Cは15インチアルミ→16インチアルミ)などです。
1.2の走り
1.2の走りはオーソドックスなコンパクトカーの走りです。日本の軽自動車(軽は現在すべて3気筒エンジン)と違ってちゃんと4気筒なので振動や音はあまり気になりませんし、車重は990kg(500Cは1,030kg)と軽いので走りに かったるさ はありません。
ただ、元気よく軽快に走るかというとそこまでではありません。必要十分なパワーはあるのでハーフアクセルでも十分加速していくものの、フルアクセルでもそこから大きく変わることなくフツーな加速感です。もうひとパンチあったら面白いだろうなぁというのが正直なところ。踏めばしっかり前に出る、良くも悪くも普通のエンジンです。
2ドアコンパクトなので(私を含め)セカンドカーの候補にする方も多いと思います。ファーストカーにある程度の排気量とパワーがあって高速走行に使える車であれば、500は1.2で十分だと思います。
一方、500/500Cをメインの車として考えると、高速道路や山道で物足りなさを感じるでしょう。特に高速域からの再加速や高速道路の登り坂ではパワーの不足を感じる場面が多いと思います。これは1000ccクラスのコンパクトカーが高速道路に向かないのと同じことですね。1台持ちならTwinAirをメインに検討しましょう。
TwinAirの走り
TwinAirの走りは一言で言うと「おもしろい」です。一般的な意味での「良いエンジン」ではありません。
何がおもしろいかって2気筒ターボのフィーリングです。とにかく音と振動がすごい、というかおかしい。
ぼへぼへぼへぼへ……ぶる ぶ る る る るん!
決してディスってるわけじゃありませんよ! すっごく良くできたエンジンなんです。何が良いかって500のイメージにピッタリ!
どことなく不安定で頼りなくて壊れそうな感じ。なのに踏めばやったら元気よく加速していく。軽くて小さい車体がぶっ飛んでいく。コレですよコレ! チンクエチェント(500のイタリア読み)に求められる動きは!
頼りない感じに走りますが、当然現代の車なのでそうそう壊れたりはしません。この車の「雰囲気」を最大に引き出すエンジンがTwinAirなんです。
走りはなかなかにパワフルです。最大トルクが1,900rpmで出るからかターボラグはほとんど感じません。1.2で感じた「もうひとパンチ」が叶えられてた感じです。80キロオーバーからでもしっかり加速していくので高速道路の走行にも支障ないでしょう。
とにかく雰囲気が素晴らしい。実用コンパクトカーや安楽車でこれではダメですが、リバイバルカーとしてはコレが正解。現代の快適になってしまった実用車にはない、昔の車の雰囲気を十二分に楽しめます。
ただヴィッツとかフィットしか知らないと、この雰囲気の良さが理解できず不快にしか感じないかもしれません。でもフィーリングが合えば最高のエンジンだと思いますよ。
まとめ
- フィアット500の雰囲気を最大限楽しむなら「TwinAir」、デザインのおしゃれさで十分なら「1.2」
- 単独所有なら「TwinAir」、セカンドカーなら「1.2」でも十分
- 高速を走るには「1.2」は厳しい
1.2はともかく、TwinAirは振動や音が特殊なので、買う前には絶対に試乗しましょう!
私はセカンドカー候補なので買うなら1.2で十分なんですが、500Cにするならグレード構成上「TwinAir Lounge」を選ぶことになるんでしょうね。
現行のチンクもいいですが、新型500も発表されましたし、もうすぐ日本で発売されるSUV「500X」なんかも気になるところですね。
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