新型ロードスター本気レビュー:グレードの違いを比較。迷ったらどっち?(NR-A,RS追加済み)

     2017/03/12

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2015年5月に発売を開始した新型ロードスター(ND型)に試乗してきました。グレードとAT/MTの都合上、3タイプのロードスターに試乗しました。元ロードスター乗りとしては思うところが山ほどあるので、連載にしています。

今回は5グレード構成で展開されている新型ロードスターのグレード間の差を見ていきましょう!

ロードスターRFのグレード詳細はこちら↓

グレード間の装備の違い

新型ロードスターは5グレード構成です。グレード間の違いは以下の通り。分かりにくい名前は意訳しました。

S NR-A S Special Package S Leather Package RS
車重 6MT 990 kg 1,010 kg 1,020 kg
6AT 1,050 kg 1,060 kg
価格 6MT 249 万円~ 265 万円~ 270 万円~ 303 万円~ 320 万円~
6AT 281 万円~ 314 万円~
安全装備  サイドエアバッグ
死角警報
車線逸脱警報
舵角対応ヘッドライト
自動ハイビーム
走行装備 エネルギー回生(ATのみ)
アイドリングストップ(ATのみ)
スーパーLSD(MTのみ)
リアスタビライザー(MTのみ)
トンネルブレースバー(MTのみ)
大径ディスクブレーキ
ビルシュタイン(車高調)
大径ディスクブレーキ
ビルシュタイン
吸気音増幅
快適装備 オートエアコン
オートライト
オートワイパー
自動防眩ルームミラー
スマートキー
ボンネット遮音板
シートヒーター
ソフトトップ遮音布
内外装 タイヤディフレクター
バックランプベゼル
メッキエアコンルーバーベゼル
インパネに合皮多用
レザーシート RECAROシート
オーディオ 4スピーカー 6スピーカー BOSE 9スピーカー
ナビ オプション装着可

全車標準装備除く。
Sを除く6MTに「i-stop & i-ELOOP」を装着すると20kg増。

S と NR-A と S Special Package

S と S Special Package (以下SP)の差は10kg, 20万円です。NR-AとSPは同重量で、NR-Aの方が5万円安いです。SとNR-AにはATの設定が無いので、迷うのはMTの人のみですね。

サイドエアバッグの必要可否の判断は人それぞれ、外装の差は言われても気付かないレベルなので、走行装備と快適装備の差を見ていきましょう。

走行装備

LSD

ロードスターを選ぶ人にとって、一番大きな装備差は「トルクセンシング式スーパーLSD」でしょう。「なんじゃそれ」って人は不要な装備なので気にしないでください(馬鹿にしているのでは無く、いわゆる普通の人には不要な装備です)。

走りを高める装備は、スポーツカーであるロードスターにとっては重要ですし、後付けは(不可能ではないものの)現実的ではありません。ですが、私が軽く試乗した限りではこの差は感じ取れませんでした。サーキットやジムカーナを走る人はLSD無しは厳しいとは思いますが、普通に走る人はLSDが無くても大きな問題にはならないでしょう。

攻めの走りをする人以外は、リアスタビ(フロントスタビは全車標準装備),トンネルブレースバーも無くて構わないと思います。というのも、Sの時点でかなり剛性が高いため、重量増となるこれらの装備にお金を出さなくてもロードスターの楽しさを十二分に感じ取れるどころか、むしろ軽さが際立ってよりライトウェイトスポーツカーらしくなってくれます。(ついでに自動車重量税が若干安くなります)

そしてこの3つの走行装備はATには装備されません。「走りにこだわる人はMTを買うから、体感しにくい走行装備はいらないだろう」という意図がばんばんに出ています。しかもMTより装備が劣るのに10万円以上もATが高いです(昔はそれが普通でしたが)。新型ロードスター本気レビュー:素晴らしいMTと残念なATに書いたようにATはかなり微妙なので、ATを買うならとりあえず試乗してきてください。

走りに特化したNR-A

ロールバーや牽引フックはオプション

走りに関する部分を突き詰めるとNR-Aが最強です。SPに装備される走行装備に加えて、大径ディスクブレーキとビルシュタイン製サスペンションが装着されます。しかもビルシュタインは唯一車高調整式を採用しています。最高グレード「RS」でも車高固定式ビルシュタインなので足回りはNR-Aがトップですね。

車重はSPと同じ1,010kg。リアスタビやトンネルブレースバーを装着するのでこの車重は仕方ないでしょう。その分S以上の剛性感が得られ、スーパーLSDも装備されています。

サーキットやジムカーナを本気で攻めるならNR-Aに決まりでしょう。快適装備は我慢してください。すべては軽さのためです。ただ、ブレーキやサスペンションを後から変更するのであれば、同じ車重のSPをベースにするというのも手です。

外観でNR-Aを判別できるのは、ホイールがシルバー(通常は同デザインのガンメタリック)なことと、ハイマウントストップランプカバーがブラックなことくらいです。内装ではシフトノブ下のリングがメッキでなくシルバーだったり、ステアリングにオーディオコントロールスイッチすら装備されないのはNR-Aだけです。

カーナビ

SとNR-Aにはインフォテイメントシステム「マツダコネクト」が装備されていません。ディスプレイが装備される場所にはオーディオコントロール+小型液晶が搭載されています。マツダコネクトはオプションのSDカード(48,600円)を挿すことでカーナビ機能が使えるようになります。ですがSとNR-Aにはディスプレイが無いのでカーナビ機能はありません。オプションでもマツダコネクトを付けることはできません。

S/NR-Aでカーナビを使うには、スマートフォンなどを設置して代用するか、オンダッシュカーナビなどを取り付ける必要があります。どちらも見た目や使い勝手の面で不満が出る可能性が高いです。カーナビを使うつもりなら最初からSP以上にしておいた方が良いでしょうね。

快適装備

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快適装備はSとNR-Aは最低限で、SP以上になると充実します。

快適装備をどうするかの判断基準は単純です。

「ロードスターの前の車 or ロードスターと同時所有する車 にその装備があるか」

こういう装備は「無ければ無いで問題ないが、無くなると不便」というものです。よく乗るクルマや前のクルマにあった装備が無くなると余計に不便に感じるものです。

私は前車の2代目ロードスター(NB3 NR-A)には快適装備はまるで無し(キーレスすら後付けしました)、現在乗っているアルファロメオ・ジュリエッタはSPのスマートキー以外すべて(オートエアコン・オートライト・オートワイパー・自動防眩ルームミラー・ボンネット遮音板)が付いています。無くてもまったく不便に感じませんでしたが、あればあったで便利ですね。

特にロードスターは車高が低くて後続車(特にトラック)のヘッドライトを眩しく感じることが多々あります。エアコンやワイパーは余裕があるときに手動操作すれば済む話でしょうが、眩しさは安全性に関わるのですぐに対処したいもの。ここが自動になるのは結構嬉しいと思います。眩しいっ!と思う前に暗くなってくれます。

S か SP か。それが問題だ。

装備差を見ると、20万円でこの内容は割安だと思います。ですが、差額が小さいこととその差が必要かどうかは別の問題です。

  • サーキットやジムカーナを走る人は迷わず「NR-A」
  • 前車やセカンドカーの快適装備がガッツリ充実している場合、カーナビが必要な場合は「SP」
  • それ以外はみんな「S」。(資金が潤沢ならそもそも「LP」か「RS」にすべき)

ザックリ言えば、「SかNR-A、SかSPで迷ってしまう人はSで良い」が結論です。

S Special Package と S Leather Package と RS

新型ロードスターのレザーシート

新型ロードスターのレザーシート

S Special Package(以下SP)と S Leather Package(以下LP)の差額は10kg,33万円です。外される装備は無く、Special Packageに豪華高級装備が付加されます。装備内容からすると、BMW Z4やポルシェ・ボクスターを意識したんじゃないかというような、プレミアムスポーツカーとして充実した装備内容になっています。

大きな差はその名の通りレザーシート(シートヒーター付き)でしょう。ロードスターに求めるものに「高級感」が入る人は34万円払ってでもLPにすべきだと思います。シートだけでなくインパネにもレザー(合皮)があしらわれていてプレミアム感に浸れます。

RSはLPと同重量でさらに17万円高くなります。LPに劣る装備は唯一ソフトトップの遮音布のみです。クローズド走行時のプレミアム感が増しますが、オープン時には無関係な装備です。あとはビルシュタインが車高固定式(NR-Aは車高調整式)なのを除いて全部入りがRSです。レザーシートではなくRECAROシートになるのもトピックですね。

寒い地方(冬は雪が積もりっぱなしのレベル)に住む人はレザーや高級感に興味が無くてもLPかRSを選んだ方がいいと思います。関東平野程度でも真冬のシートヒーターはすぐに暖まって快適です。レザーだと暖まるまでが冷たいですが、いつまでも暖まらないファブリックシートよりは快適です。東京やら名古屋やら大阪やらは温風ヒーターで十分です。NBロードスター(もちろんシートヒーター無し)で真冬でもオープンにしていましたから。

死角警報や自動ハイビームなどの先進装備は興味があれば、といった所でしょう。あった方が安全ですが、無いと事故をするってものではありませんので。

シートの高さ

標準設定されるシートは、ファブリック(S, NR-A, SP)、レザー(LP)、レカロ(RS)の3種類があります。ホールド感や表面の質感だけでなく、シートに座ったときの座面の高さにも差があります。

正確に測ったわけではありませんが、だいたいの感覚としては、[ファブリック < レザー ≪ レカロ]の順で、ファブリックが一番低く感じました。RSのレカロシートは結構高かったので、座面高さが気にならないか座ってみて確かめた方が良いと思います。

新型ロードスターのグレード構成まとめ

  • ロードスターの本質は「S」
  • 走りに特化した「NR-A」はサーキット用
  • 最近のクルマらしい装備を充実させた「S Special Package」
  • プレミアムスポーツカーに仕立てた「S Leather Package」(あと寒い地方用)
  • 走りもプレミアムも取り込んだ全部入りが「RS」
  • S にLSD, 剛性パーツのみを追加した走りのグレード「NR-A」

用途や嗜好に合わせて選んで下さいね!

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