BMW 3シリーズ ディーゼル(320d)試乗記。Dセグメントでこれはダメでしょう

     2017/04/01

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BMW・3シリーズのディーゼルモデルに試乗してきました。欧州ではすでに多数派となっているクリーンディーゼル。BMWが主力モデル3シリーズに搭載したディーゼルエンジンの走りとクオリティはプレミアムスポーツブランドに相応しい仕上がりになっているのでしょうか?

3シリーズのガソリンエンジン車の試乗レビューはこちら↓

BMWのディーゼル

BMWを含め、欧州各社はクリーンディーゼルエンジンに力を入れています。すでに欧州での販売は半数以上がクリーンディーゼルになっており、いまだディーゼルが少数派の日本でも各社販売に力を入れ始めています。最近ではボルボがディーゼルエンジンを5車種同時投入という思い切った販売戦略を打ち出しました(参考:ボルボディーゼル試乗記)。フォルクスワーゲンやアウディも2016年にはクリーンディーゼルの販売を始めるそうですね。

一方国産車では唯一マツダだけがクリーンディーゼル販売に注力していて、国産クリーンディーゼルの半数以上がマツダという状況です。マツダのクリーンディーゼル試乗記も別途掲載する予定です。

BMWはディーゼルとガソリンを併売している状況です。ガソリンエンジンも随時入れ替えていっているところで、特にガソリン1.5Lターボは直列3気筒にするというかなりリスキー(3気筒は音や振動が大きい)な販売をしていくようです。日本に入っているBMWでは1シリーズに3気筒が搭載されるようですね。本国では3シリーズにも3気筒エンジンが用意されるというなんとも危険な……いやいや。BMWミニの3気筒エンジンがあまりに酷かったのでBMWの3気筒はかなーり不安です。

今回はディーゼルエンジンのレビューということですが、まだガソリンも選べるのでクオリティと価格が見合ってなければガソリンを買えば良いだけのこと。アウディ・A4の試乗のときにディーラーマンが「BMWがディーゼルになったからウチに見に来る人も多い」なんて言っていましたが、まだガソリンも選べます。

3シリーズのラインナップ

3シリーズはセダン、ツーリング、グランツーリスモの3種類の車体形状があります。ツーリングはステーションワゴン、グランツーリスモはセダン風の形状に仕立てたワゴンです。今回は最もベーシックなセダンを試乗しました。

セダンは2.0Lディーゼルの「320d」、2.0Lガソリンターボの「320i」「328i」があります。320iと328iはECUの違いだけのようですが、トルクは+8kgm、出力は+60PSと大きく差が付けられています。

セダン 320d セダン 320i セダン 328i
エンジン形式 直列4気筒 ディーゼル 直列4気筒 ガソリン 直列4気筒 ガソリン
排気量 1,995 cc 1,997 cc 1,997 cc
過給器 ターボ ターボ ターボ
最高出力 184 PS / 4,000 rpm 184 PS / 5,000 rpm 245 PS / 5,000 rpm
最大トルク 38.7 kgm / 1,750-2,750 rpm 27.5 kgm / 1,350-4,600 rpm 35.7 kgm / 1,250-4,800 rpm
車重 1,550 kg 1,500-1,540 kg 1,560 kg
トランスミッション 8AT/ 8AT 8AT
価格 506 万円~ 483 万円~ 604 万円~

※ 価格と車重はAT仕様。最廉価の320i SE除く。他に4WD「xDrive」あり。

ツーリングやグランツーリスモには3.0L直列6気筒の335iが用意されていますが、セダンにはありません。ちなみに今年5月のマイナーチェンジで328i→330i、335i→340iと名前が変わりました。排気量変わってないのに……。マイナーチェンジモデルが日本に導入されるのはこれからです。

ディーゼルエンジンの音と振動

ディーゼルエンジンと言えば気になるのがディーゼル特有の音と振動です。最近のクリーンディーゼルでは改善されているものも多いですが、BMWはどうでしょうか?

まずアイドリング。車内にいてもディーゼル特有の音と振動がしっかり入ってきています。車外はもちろんもっとうるさいですが、ボルボのディーゼルがアイドリングでの車内がほぼ無騒音だったのでこれは残念です。エンジンを止めているときの車内の静粛性は結構高いのですが、ボルボのようにディーゼル音を遮断できるレベルには達していないようです。(ちなみにマツダはディーゼルエンジン自体が静かです)

加速時はさらに大きくカラカラとディーゼル音が発生します。振動もミニの3気筒エンジンほどではないにしろ、Dセグメントとしては大きすぎる振動が気になります。60km/h以上での定速走行では音も振動も治まってあまり気にならなくなりますが、走行速度が高くないときや加速中はガッツリ「ディーゼルだなぁ」と感じさせてきます。

停車するともちろんアイドリングストップするので、アイドリングでの音はあまり気にならないかもしれません。でもBMWディーゼルで最も酷かったのがエンジンの再始動です。ブルルンとDセグメントとは思えないような大きな音と振動と共に再始動して、しかも発進はワンテンポ遅れます。マツダのディーゼルの再始動が静かで高速なだけにこれは痛いです。

ディーゼルのクオリティではボルボにもマツダにも劣っているというのが私の感想ですね。

走り

ガソリンエンジン車と共通の部分は320iのレビューに書きます。ここではディーゼル特有の点について。

加速感

ディーゼルらしく低回転からトルクフルな走りが楽しめます。スペック的には1,550kg/184PS/38.7kgmなので、ボルボ・V40の1,540kg/190PS/40.8kgm、マツダ・アテンザセダンの1,530kg/175PS/42.8kgmよりは最大トルクがやや小さいですが、アクセルを大きく開いたときの走りはあまり大きく違うようには感じませんでした。

一方回すとあっという間にトルクが落ちていきます。これもディーゼル特有。2,750rpmでトルク上限に達するので、パワー上限の4,000rpmに向かう伸びが今一つありません。これもボルボやマツダのクリーンディーゼルに共通するところ。仕方ありませんね。常用域はトルクフルで走りやすいですが、踏んだら速くなるかというとそうでもありません。

回頭性

320iと320dは10kg(仕様によっては50kg)の差しかありません。一般的にディーゼルエンジンは同排気量のガソリンエンジンよりも重くなりやすく、さらに大がかりな排気浄化装置を取り付ける必要があるので、それでこの重量に抑えたのは素晴らしいと思います。ただ、それによってヨー慣性モーメントが増加しているのか、回頭性は320iよりも悪くなっているように感じました。かなり微妙な差ですが。

価格

320iと320dはいずれのグレードでもディーゼルが23万円高くなるように設定されています。維持費を含めた価格差はどうなるのでしょうか?

JC08モード燃費を信じるとして、年間1万キロ、10年間所有した場合の燃料費です。

320i 320d
燃費
(JC08)
16.0 km/L 19.4 km/L
燃料価格
(全国平均)
ハイオク
143.8 円/L
軽油
110.8 円/L
年間燃料費
(10,000km)
89,875円 57,113円
(-32,761円)
 生涯燃料費
(100,000km)
約 90 万円 約 57 万円
(約33万円安い)

差額は33万円です。車体価格と相殺するとディーゼルはガソリンより10万円安いことになりますね。

(CO2排出量がどうのという議論はさておき)たった10万円しか違いません。たった10万円の差なのに音や振動のクオリティはかなり違ってきてしまいます。ディーゼルのトルクフルな走りに惚れ込んでしまったなら別ですが、価格とクオリティのバランスはガソリン車の方が確実に上です。

まとめ

クリーンディーゼルにしろ3気筒にしろ果敢に挑戦しているのは素晴らしいんですが、残念ながらクオリティが(少なくとも日本で)BMWに求められているレベルに達していないのではないかなぁというのが正直な感想です。300万円程度のCセグメントならこれでもいいのでしょうが、500万円クラスのDセグメントセダンとしてはかなり厳しいでしょうね。

私がBMW・3シリーズを買うなら迷わずガソリンエンジンモデルにするでしょう。

3シリーズのガソリンエンジン車の試乗レビューはこちら↓

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